天空の蜂のレビュー・感想・評価
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沈黙する国民に向けて
東野圭吾のサスペンス小説の映画化です。小説は20年前に書かれており、映画は原作に比較的忠実なストーリーですが、古さは感じられません。仕事に没頭して家族を顧みないヘリ設計者の湯原、父を思うその息子、子供をいじめによる自殺で失った原発設計者の三嶋、日本の将来を憂えた行動により自衛隊を追われた雑賀、三嶋に疑惑を持ちながらも協力する赤嶺など各人物の思いがうまく描かれています。原発に反対しながら電気を浪費する「声をあげない」日本の多くの国民に向けた映画でしょうか。311の原発事故を経験しても何も変わっていないように思います。
豪華なキャスト
問題提起をしたいのはわかるけど、製作費がたくさんあるのはわかるけど、監督が俳優さんから人気があるのはわかるけど、って感じでした。
血なまぐさいところもかなりあって目をそらしてしまいました。
今年見た映画の中で一番考えさせられる映画
開始して早々主人公の息子がヘリに取り残されるハラハラドキドキな展開。最初たかひこが降りられなかったのは直前のお父さんの発言が原因だったんでしょう。
親子愛メインなのかと思いましたが、男性視点での仕事への想いや、親子愛、友情、無関心な人々への強いメッセージがあるのを感じました。最初から最後まで息をのむ場面がいくつもあり、2時間の映画でしたがあっという間でした。
俳優の方々の演技も素晴らしかったです。
途中骨が出てきたり指が切断されるシーンがあるのでグロいの苦手な方は注意が必要かなと思いました。
駄作メーカー・堤幸彦史上屈指の良作。
「天空の蜂」見ました。堤幸彦作品は「明日の記憶」が少し面白かったくらいで、他の作品は全くイイ思い出がありません。特に今年の「悼む人」と「イニシエーションラブ」を見たときは、こちらが馬鹿にされてるような感覚が不快でキレそうでした。そんな半笑いでの鑑賞でしたが、今作は面白かったです。
まず堤幸彦作品で毎回思ってたんですけど、ここは笑うトコとか泣くトコ、ハラハラシーンみたいなのが分かりづらい。と言うか、伝わらない。あとは、今作にはなかったけどフザケすぎて全く笑えないコメディ要素もよくある。真面目なテーマで作られている作品では、見せきらない中途半端なラスト。この辺りが堤幸彦つまんねーなって思ってた理由です。
でもこの「天空の蜂」は、今までにないくらいに話がしっかり描かれているし、人物も魅力的に描かれている。そのおかけで、しっかり感動できるし、ハラハラドキドキもできた。こんなに色んな感情が働くなんて想像もなかったのでビックリしました。特に子供を救出するシーンのドキドキは凄まじかったです。ちょっとスローモーションが多すぎてズルいとは思うけど、それは毎回毎作の事だから目を瞑ります。
あとは、本木雅弘さん。恥ずかしながら彼の出演作品は初めて見たんですけど、ホントに演技が上手いですよね。これを機にいろいろ見ようと思いました。あのムチムチボディとつぶらな瞳を見て、僕自身目覚めてしまいそうです。
総じて、面白かったです。「藁の盾」的なセリフの暑苦しさが苦手な人にはオススメできません。堤幸彦苦手な人にこそオススメしたいです。こんにちは。
この国
面白かった。
いや、とても興味深かった。
この作品が提示する未来について、誰かと語り合ってみたい。そう思わせる映画だった。
311以降、安全神話は崩れ去り、想定外という言葉が飛び交った。
今もまだその想定外のモノの後遺症とこの国は戦ってる。
利権、利権と政治家は騒ぎ立てられるが、僕らもその恩恵には少なからずあやかってる。
この作品は問うている。
原発は必要だとしても、絶対の安全なんてものはない。
リスクを開示し国民に背負わせろと。
どっちがいいか選ばせろと。
国民に嘘をつくなと。
政治家だけが、現場の人間だけが、巻き込まれた国民だけが、背負うようなものじゃないと。
惜しむらくは…本木さんと並び立てる役者がいない。
誰も責められないし、じゃあどうするんだという感じ
父親の愛なんて少数派だとおもう、それより、今原発を止めても運営していけている日本を、続けるための英知がほしい。また、原発頼みでない経済状態を地元地元で確立していかないかぎり、どうしても、原発再開は止められない気がする。それよりなにより、危険な仕事をしている人たちに見合った報酬が払われていないことがおそろしい。貧しいがゆえに結婚も子供も考えていない時代が来ているので20年前の感覚はやはり、甘いかな。日本海側にある原発銀座にどこかの国のミサイルがあたる そんな危険をいつもはらんでいることに気がつかされました。 それこそ、やめてほしい・・・・!!!
好評なので期待してしまった(原作未読)
とても好評なので見てみました。
これ、面白いですか?
少数の方が言っていますが、色々とチープ過ぎる。
得体の知れない箱を普通に積み込んでるとか、風圧は?とか、洗濯機くらいとか、スポーツ観てるような実況とか、一か八かの作戦でわざわざ3つしか道具持っていかない、これから先行く手立てしない、実行犯の部屋に多数飾られているただのPCパーツ、危険な犯人相手に軽装、技術者なのに基盤みて何かわからない、アチッって言いながら半田ごてで結線、華麗なるドリフト、電波増幅などせずに手を伸ばす、自殺した子を持つ親に対して子を持つ親としてなんていう、ヤる事はヤっちゃう。
あと、邦画にありがちな、イミフなスロー演出。
みて見ぬ振りのくだりと、原発従業員の漢気だけが見所に感じた。
「立ち止まって考えて」というメッセージ
…東野圭吾氏自身が「今まで書いた
作品の中で一番思い入れが強いのは
どれかと訊かれれば、これだと答える
だろう」
…という作品。
…私が受け取ったキーワードは
「蜂の習性」「原発」
「自動遠隔コントロール装置」。
…電気というエネルギーは、我々に
とって「蜜」なのか、それとも、
我々を絶滅に追い込ませるものか、
刺し違えるDNAを発動させるもの
なのか…。
…それとも「電気」という
エネルギーは、「目の前の餌」であり
我々は、それに群がる思考を奪われた
奴隷なのか…。
そんな事を考えていました。
例えば地上に、地下に上下に移動する
のに、階段では大変な駅や図書館など
公共施設を設計し、エスカレーターや
エレベーターを設置しては
「便利だ」「楽だ」という「蜜」を
吸わせて、大量の電気の消費を
当たり前そして「必需品」と思わせる
システムにより…洗脳されている我々。
今後、更に爆発的な電気を必要とする
リニア中央新幹線や電気自動車の
普及も、
「速い」「快適」「楽」「お得」…
という『システム』が用意する「蜜」
なのでは無いかと勘ぐりたくも
なりました。
「蜜」を吸わされては、
”自動操縦装置で操作されるかの
ように”抵抗もせず、考えること無く
ついていく私たち…
例えば、私の住んでいる市の市管轄の
エスカレーターやエレベーターや
照明代、空調費のの電気代は
公開されないまま、
誰もが税の費用対効果も考え
させられること無く
…自由に”使わされて”います。
…このまま飼い犬、いや、システムに飼育
される『社畜』でいいのかと。
劇中でも出てきましたが原発誘致地に
住む人、電源の存在をを意識する事
無く、
面倒だったり、罪悪感を感じることに
”目を瞑る”全ての電気を使う、
この国の殆どの人に対して
『考えろ』というメッセージに
感じました。
また、劇中で犯人に身体中を致命的に
傷つけられても、手錠をして
犯人を引き止める為に引きずられても
必死に抵抗するというシーンが
ありました。
…このシーンを観て
犯人が「原発推進するシステム」だと
したら、それに「抵抗無しについて
行っている」のが、今の日本人ではと
感じました。
…しかし劇中では命をかけて、
この日本を救おうと愛する妻子を
残して抵抗する人も存在する。
…自分には必死に出来るのか?
という疑問。
…一人では難しいかもしれません。
…でもこの映画を見て何かを感じた人
たちが、安保問題で団結したSEALDs
(シールズ)を中心にした若者達の
ように未来の日本を思いつながれば…
という可能性も感じました。
また別のシーンでは原発関係者の
子供がいじめで自殺する場面があり、
原発への悲しさ、怖さが脳内で変換
され、怒り、攻撃力となり、
それらが弱者に向けられるという
事も描かれていました。
私たちは「悪いこと」と知り
ながらも、”やってしまった”
事に対して意識的、無意識に
罪悪感を持ちます。
仮に感情に流されたり、悲しみが
脳の自己防衛機能によって、
攻撃に変換される本能によってでも
です。
それは、私たちの中にある本質…
「すべての存在に対し与えたい、
愛したい」に反するからです。
ですので…
「罪悪感を持たない為に、あなたが
命をかけれる事は何ですか」
…改めて自分に問いたいと思いますし、
今後は、自動ドアと手で開けるドアや
エスカレーターと階段が併設されて
いる施設を前にした時に、
私は、あなたが、どちらを
意識して選ぶのか?…という形で
自問する形で「考える」事、罪悪感を
なくすにはどうしたら良いのかを、
忘れないようにしたいです。
…この作品は1995年発表で、311が
起きる前の作品ですが、まるで
311を予測した後の世論を語るような
内容には驚きました。
…予告にあった「映画化不可能」と
言われた…は、実は技術ではなく、
スポンサー不足なのではと感じました。
…製作委員会の顔ぶれを見る限り、
普段出てくる、大手マスコミ
(TV会社や新聞社)、
など原発村に関わりそうな企業が
不在なのが分かります。
参考「天空の蜂」製作委員会
(松竹、木下グループ、講談社、
ローソンHMVエンタテイメント、GYAO!)
最高の仕上がり。
ここまで骨太に、本物のエンターテイメントを追及してくるとは思わなかった。それだけ土台の原作に力があるのだろう。
映画としては片寄りすぎず、様々な要素を巧く纏めていて、最高の仕上がり。リアリティを越えたリアルを感じた。
それぞれの俳優の演技は見事。個人的には航空自衛隊のヘリパイロットと息子救助に向かう隊員が非常に良かった。國村隼も素晴らしい。仲間由紀恵は小さくて儚くてなんて美しいんだろう。
綾野剛の存在感は唯一無二であると確信。あの異常で危険な雰囲気は簡単に出せるものではない。これから更に面白い俳優になっていくだろう!香川照之と少し似ている。
逆に湯島の妻だけが残念。もう少し若ければ寺島しのぶあたりも良かったと思う。松島花はなりきれていないので残念。これだけの大作なのだからそれなりの役者を使ってほしい。
とにかく誰にも観て欲しい一本であることには間違いない。
原作を昔読んで気になっていきました( ̄▽ ̄)
10年くらい前に分厚いハードカバー読んで面白かった事だけ覚えてたので見にいきました。よかったです。面白かった。ただ昔の原作なので最後の部分だけは個人的にモヤッとしました。映画としては最後2013年のとこはいらなかったかなと、、、
好みの問題
普段は洋画ばかりですが、ちょうど時間が合ったため良い意味で裏切ってほしいという気持ちで観ました。
結果として、正直裏切ってくれたまでは至りませんでした。
素晴らしいなと思ったのはこの作品を文章で表現している東野圭吾さんの才能でした。天才は本当にいるのだなと。
内容自体はすごく引き込まれます。
が、私自身が劇場では世界観を存分に味わいたいというタイプであるという部分も相まって
くさいセリフをそのまま言っているシーンなど、やはりメッセージ性の強い小説から映像化は個人的には好む分野じゃないなと感じました。
やはり劇場では非現実の夢舞台に身を投じるに限ります・・・
作品自体は素晴らしいと思います!ただ自分の好みには合わなかったです。
良かったけど,不満も
全体としては,原作に沿って作られていて,良かったです。ただ,いくつかの点で不満もあります。
まずは,犯人A(最初から犯人と分かる方)がなぜこの事件を起こすに至ったかを,もう少していねいに描いてほしかったこと。
2つめは,犯人Bの性格描写。原作ではもっと淡々とことを進めていたように思います。精神的に大きなダメージを受け,この事件を起こすことを決めた時,心は渇いてしまっていたのでしょう。それが,映画では感情ムキムキって感じで,ちょっと違うんじゃないかなあと。
3つめは,主人公が犯人に拳銃を向けるシーン。原作にはないシーンですが,あの場面でそれをする必然性が全然感じられませんでした。見てる人をハラハラさせたいっていうだけのシーンのように感じたのは私だけではないはず。
ほかにも細かい不満はありましたが,でも多くの人に見てもらいたい映画でした。見終わったら原作も・・・。
快適性の裏側
迫力や緊張感があるシーンが随所にちりばめられており、見ていて飽きず映画館で見てよかった。ただ、犯人像は初めから分かっている設定であるので、サスペンス感はそれほど強くない。
家族の絆と原発の危険さを伝えた映画だと感じたが、原発の危険さについては原発そのものというよりも政府や各種機関への批判のような点が多くみられ詰め込み過ぎだと思った。最期のシーンで「この国に命を懸ける価値はあるのか」というセリフがあり、少し考えさせられた。現在は安保法案は重要として、オリンピックのエンブレムなども問題として挙げられているが、それよりももっと重要なこと、やらなければならない事があるだろと思う。その点では、日本には命を懸ける価値はどんどん失われていると思うし、若者が自分の将来よりも、国や社会の将来に不安を抱いているという指摘も理解できる。
綾野剛はいいね
解決に向けた背景が判明していくまでは面白く観れたのだが…。
何と言っても違和感が拭えないのが、終盤、江口洋介が拳銃をモックンに突きつける流れ。あのシーン単体だけ取り出せば緊迫感があり悪くないのだが、今までのお話しを台無しにしてると感じる。その後も、タイムリミットが迫ってるのに情感的なシーンが多く挟み込まれ、テンションが一気に萎んでしまった。残念。
そんな中、綾野剛とモックンは良かった。
原作読んでても!
原作読んでてもとてもワクワクドキドキの展開に目が離せない仕立てになってます。さすが 堤監督!多少原作にはない脚色はありますが、それも全体ストーリーを締めているリソースでしょう。(江口洋介親子の上手くいってない関係をちりばめている点や子供が成長してどういう 職業についたか?など)サスペンスとしては素晴らしい仕立てだし、緊迫感もスピード感も申し分ない。
138分と長めではありますが、あっという間に終わりました。よい映画だということだと思います。邦画サスペンスの久しぶりの秀作だと思います。
今年度No.1級の快作!
兎にも角にも、最初から最後までスリルたっぷり、急展開の連続で、「これぞまさに極上のエンタテインメント!」作品。
特殊撮影も実に見事!ハリウッドの大作にも負けない作品に仕上がった!
個人的に気になっていた「反原発一辺倒」な点はほとんど無かった。一部で反原発デモのシーンがあったんだけどな。それでも政治的な意図は感じられなかった。
それにしても、モックン、いい俳優になったわ...あと、江口洋介も、イイ!
ラストシーンが最高
東野圭吾原作は15年前の作品でも古さを感じさせない。難解な社会派の人間を描いた人気小説。しかし映画にすると江口洋介と本木雅弘の重厚な演技、何とも屈折した雰囲気の犯人と思われている綾野剛の鬱々とした雰囲気。周囲をベテランが固めて確かな作品となっていた。しかし私が一番心に残ったのは3・11の被災地に赴くラストシーンの成人して自衛隊のパイロットになった高彦(向井理)と被災地でボランティアをする父の湯原(江口洋介)のふたりのシーン。言葉は少ないが心と心で通じ合ってる雰囲気を凄く感じ、父を尊敬し父の遺志を受け継いでいる息子の父への眼差しと、そんな息子を誇らしげに見る父の眼差しで終わるラストシーンが見て鳥肌が立った。この映画を見て良かったと思わせてくれた。息子が向井理だったのが当たりだと思った。ここが要のシーンだからだ。さすが堤監督だと思った。このシーンがあってこそ、今「天空の蜂」を映像化する意味があると思った。このラストシーンが「天空の蜂」を感動作にランクアップさせたと思う。
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