「エンジニア東野圭吾」天空の蜂 ダウンサイジングさんの映画レビュー(感想・評価)
エンジニア東野圭吾
原作は1995年、東野圭吾がDENSOに所属していたころに書かれた作品。
原作小説はすべて読んだわけではないが、エンジニア目線で、冷静に書かれている印象がある。
映画はそれに比べると、少々演出過多な印象を受けた。
時節柄、原発のリスクに目が行きがちだが、映画の印象は人間ドラマであり、国の政策、世論に問いかける内容であった。
もう一つの目線は”エンジニアの良心と苦悩”である。
私自身、20年エンジニアをやっているので、同調する部分は多々あった。
今後、国策として原発、武器の開発・輸出に携わることで、エンジニアが苦悩するシーンは増えるであろう。
20年も前に、これだけのシミュレーションをし、時代の趨勢を予見していたとしたら、さすがは東野圭吾としか言いようがない。
実際には3.11以降、原子炉をターゲットをするにしても、ヘリを墜落させたり、ミサイルを撃ち込む必要はない。
数名のテロリストで暴走させることは造作もない。
日本という国、真相をみようとしない民衆、電気を人命より重んずる政府、多々のジレンマはきちんと描きこまれている点は見事である。
率直に言って、一見の価値は十分ある。おすすめしたい。
個人的な好みとしては、人間ドラマや脚色を少し薄めて、原作に近いとさらによい。
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