「とにかく素晴らしい出来栄え」天空の蜂 えのきちさんの映画レビュー(感想・評価)
とにかく素晴らしい出来栄え
『天空の蜂』を鑑賞。
東野圭吾の同名小説の映画化作品。
監督は堤幸彦、主演は江口洋介、本木雅弘。
1995年、最新の大型ヘリ「ビッグB」が何者かに遠隔操作され奪われる。犯人は稼働中の高速増殖炉の上空にホバリングさせ、日本全国の原子力発電所を破壊する事を要求。
ビッグBが燃料切れで墜落するまでの時間は8時間。
しかもビッグBには、子供が取り残されていることが判明。
限られた時間の中、様々な対策が練られる。
結論から言えば、実に素晴らしい出来栄えである。
これほどの作品は日本映画としても1年に1本観られるかどうかというほど。
緊迫感、重厚感、社会性、エンターテイメント性、どれを取っても一級品である。
俳優陣の熱演も素晴らしい。
原作小説は私も何度か読んだが、映画化にあたりよくぞここまで表現してくれたとまずは拍手を贈りたいと思う。
20年前、原子力発電所の存在意義と危機についてこれほどの原作小説を執筆した東野圭吾氏にも脱帽だが、映像化不可能と言われた作品が、2015年になって公開される意味をしっかりと理解しなければならない。
ヘリからの子供の救出劇や、犯人の計画や犯行動機など、一瞬たりとも目を離せないシーンの連続である。
そして原作にはないラストシーンでは、何故今なのかが強烈な説得力を持って描かれる。
上映時間138分、原発をテーマにしているが、エンターテイメント性も強く、誰でも楽しめる作品に仕上がっており、そのおかげで万人が原発について深く考えられる作品となっている。
日本映画の今年最高作品として是非オススメしたい。
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