「真のヒーローになった男」アイアムアヒーロー しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
真のヒーローになった男
レンタルDVDで鑑賞。
原作は第10巻まで既読です。
佐藤信介監督、マジで最高。日本でここまで高水準のアクション・エンターテインメントをつくれるのはあなただけ!
邦画大作でゾンビ物も珍しいですがいいチョイス。飛び散る血・脳漿・臓物!―振り切ったゴア描写にアガりました。
韓国の潰れたショッピングモールを使っての撮影も規模が大きく、パノラマ的で秀逸。低予算でセットを組めないのなら、既に存在しているもので撮ればいいなんて全くその通り!
原作でもこのくだりは好きだったので期待していましたが、ダイナミックに構成されていてとても楽しめました。
クライマックス、押し寄せるZQNたちとの激闘が興奮の極地で、息を止めて観入りました。個人的にお気に入りの跳躍ZQNが屋上に上がって来た時の絶望感足るや…
うだつの上がらない男・鈴木英雄(大泉洋)がヒーローに覚醒していく過程がよく練られているなと思いました。
はじめ、彼はせっかく持っている散弾銃を使おうとはしません。その理由とは単純明快、法律で禁じられているから。
辿り着いたモールでは「俺が法律だ」と発言する勘違い野郎がいて、散弾銃を奪われてしまう。その男の指揮の下、火炙り処刑まで行うえげつないコロニーが構築されていました。
法律は本来、私たちを守るために存るはずなのに…。英雄が憧れているヒーローも人々を守ろうと行動する存在ですが、法律の前ではそれすらも容易に叶わない現実…
人間は自身を雁字搦めにしている生き物だとつくづく感じました。その縛りを解いた時、人は強くなれるのかも。ある意味ZQNは縛りが無いから強い。でもそれはまた違う強さ…
絶体絶命の藪(長澤まさみ)と比呂美ちゃん(有村架純)を守るため、覚悟を決めた英雄の凛々しいこと。散弾銃を構え、小声で「はーい」と言ってからのファースト・シューティングは原作でも好きなシーンだったので胸が高鳴りました!
真のヒーローとは、殻を破って何かを成し遂げた者を言うのかもしれない。英雄にとっては法律が覚醒のきっかけとなりましたが、自分を取り巻く縛りから脱却することが肝心かも…
※修正(2023/04/07)