海街diaryのレビュー・感想・評価
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優しい映画。
四季を通じて鎌倉を舞台に美しい四姉妹が織り成すドラマ。
四姉妹といえば「細雪」であったり、「姉妹坂」であったり、いろいろとある。そういえば相米慎二のポッキーのCMも四姉妹だったか。
死の影が全編を覆っている。だから優しい映画になっているのかもしれない。
死の影が覆っているということは、生きることを懸命に考えるということでもある。
思えば、是枝裕和は、いつも死について考えている作家だといえる。「ワンダフルライフ」にそれは顕著である。「歩いても 歩いても」も家族の過去の事故死が映画の核にあった。
喪服に始まり喪服で終わる本作は、四姉妹が手をたずさえて生きていく儀式を1年間かけて行ったものを描いている。
死の影に覆われながら、綾瀬はるかをはじめとする4人の生気が画面に弾けている。
この4人をいつまでも観ていたい、そんな思いにかられた。
鎌倉に行ってみたくなった。
自分の居場所が今ここにある幸せ
是枝監督の作品を観ていつも不思議に思うのは、
「どうやってこんな生き生きとした表情を撮れるのだろ?』という点。
で、役者さんが生き生きして見える映画ってのは、
映画そのものが生き生きして見えるようで好き。
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主人公三姉妹と、その腹違いの妹であるすず。
彼女らが少しずつ打ち解けていき、“四姉妹”と
なっていくまでが穏やかに細やかに描かれる。
他のレビュアーさんも書かれている通り、現実味が薄れて
しまいそうなほどの超絶美人姉妹が主人公な訳だが(笑)、
映画では言葉遣いや些細な所作、
目配せひとつの変化までもが繊細に切り取られていて、
ぼんやり映画を観ている時など、彼女らが役者ではなく
しばしば本当の姉妹だと錯覚してしまうほどだった。
綾瀬はるかはホンワカしたイメージが強いので
しっかり者の長女役のはまり具合にちょっとビックリ。
奔放な次女・長澤まさみもマイペースな三女・夏帆も快活で良かった。
このところ人気急上昇中の広瀬すずもグッド。
独りの時や打ち解けた人といる時のカラッとした笑顔と、
相手に気兼ねしている時のやや感情を押し殺した表情。
一言、巧い。
特に心を動かされたのは、山の上で長女と一緒に大声を上げる終盤のシーン。
それまで僕は「姉妹の父はどんな人間だったのだろう」
ということばかり気にしながら映画を観ていた。
あのシーンまで、すずが自分の母の話を
殆ど口にしていなかった事に気付いてもいなかった。
口にしたのも一言、母の行いを謝罪するような言葉だけ。
大好きだった母を悪く言われるのが怖くて、
皆の前では母のことをずっと口に出来なかったのだろう。
自分の大事な人を恥じ続けなければいけない気持ち
というのは、一体どれほどに苦しいものなのだろう。
そんな苦しさから解放されたあの場面でようやく彼女は、
自分が姉妹の一員でいること、あの街で生きることを、
自分自身に許すことが出来たのだと思う。
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四姉妹以外では、大竹しのぶ演じる母親が流石の演技。
どんなモンスターペアレントが飛び出てくるか戦々恐々だったが(爆)、
娘たちや亡夫への複雑な想いを抱えて自ら距離を置いている、説得力ある役。
「家を売りたい」という身勝手に思えた言動も、
四姉妹にとって大事な家も(そして観客にとって魅力的な場所も)、
彼女には苦い記憶の詰まった場所でしか無かったのだと、後の場面で気付かされる。
不仲だった長女と母が少しだけお互いを理解して別れる所も優しい。
梅酒をじっくりと味わって飲む母の様子が浮かぶよう。
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と言うかねえ、出てる役者さんがひとり残らず良い!
まるで姉妹の母親のような優しい雰囲気の風吹ジュン、
ふんわりした笑顔に想いを滲ませるリリー・フランキー、
神様よりもカッコいい銀行員・加瀬亮、
短い出番ながらもすずへの冷めた想いが垣間見える中村優子、
ダメ男で優男・きっと姉妹の父はこんな人だったのかもと思わせる堤真一、
毎度ながら、話すことすべてが真実に聞こえてしまう樹木希林(笑)。
みなさん魅力的でした。
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この映画は、自分の居場所に関する映画なのだろう。
中学卒業以来、かれこれ15年以上も故郷から離れた土地で暮らす僕としては思う。
気を許せる家族が、友人が、そして土地が目の前にある。
ここにいてもいいんだよ、と言ってくれる人がいる。
自分らしい自分を受け入れてもらえて、皆と屈託なく笑うことが出来る。
それって本当に、本当に幸せなことだ。
けれど幸せな日々というのは永遠ではなくて、
滞りなくつつがなく続いていきそうな日常も、
少しずつだが変化していってしまう。
大事な人はいつか去ってゆき、他人も自分も
昔のままではいられなくなっていく。
だから、
このささやかな幸せを受け取れる日々を噛み締めなければ。
日記に綴るように、ひとつひとつを大事に心に留めていかなければ。
そんな事を思わせる映画。
<2015.06.30鑑賞>
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余談:
役者さんについてもう少しだけ。
子ども漫才コンビ“まえだまえだ”の前田旺志郎くんが良い。
是枝監督作品には『奇跡』に続き2回目の出演だが、最初は彼だと気付かなかった。
そういや『ソロモンの偽証』に出演してた兄さんもなかなか良かった記憶。
良い監督さんに会えたからというのもあるだろうが、
二人とももうコンビ名を出さなくても良いかもしれないねえ。
匂い立つ
四季が、人が、距離が、匂い立つ作品。
葬式の後のお線香の匂いが
冬の朝の白い吐息が、
人の記憶と思い出と、
カレーの匂いと、
etc。
言葉にしてしまうのにはもったいないくらい程に美しい、風景や佇まいや豊かな表情やあたたかいものや人間らしさが描かれていて、見た後に、個人的にはこれでもかというくらい幸福な気分になりました。
こんな風な幸福な気持ちになれたのは、お葬式、鎌倉の高台から海が見えること、梅酒をつくるなど、そうゆうこの国にあるものを少しづつ経験していたからかもしれません。この作品を見て日本で生活していることの幸せを感じました。
そして、監督の懐の深さというか、見ているものの確かさというか、をあらためて感じました。そして、作品そのものが独立していて、関わったスタッフと出演者の人達によって、その瞬間の最高のものが生まれたんだなぁと思います。
これは、なんか、みんな嫉妬しちゃうくらいの作品だよな〜としみじみ思います。
日本的な情緒が満載の作品
予告編を観た時点ではそれ程食指が動かなかったのですが、是枝監督作品であること、すず役が特に素晴らしいとの映画評がきっかけで観ました。良い意味で期待を裏切られる良作と言えます。俳優陣の役のハマり方、風光明媚な鎌倉の雰囲気、飽きの来ない展開など、海外でこの情緒が理解されるかはともかくとして、後世に残る一作と思いました。
すずちゃん可愛い❗
このキャストが発表された時はまだ広瀬すずブレイク前で、綾瀬はるかと長澤まさみの初共演が話題だった。
しかし、この1年で広瀬すずのステータスは大きく変わって、彼女は誰よりも旬な女の子になっている。
1年と言わず、もっと先まで見ていたい
是枝監督、そしてこのキャストの時点である程度間違いないとは思ってましたが、やはり最高でしたね。
まるで本当の4姉妹のようでした。
しっかり者の長女、自由奔放な次女、マイペースな三女、そして腹違いの四女と、この4人のバランスが本当に素晴らしかった。
日本を代表する4人の女優を見事に料理した是枝監督は、さすがの一言ですね。
物語としてはそんなに劇的な話ではなかったですが、何と言いますか、日常に寄り添った話だからこそ共感できることばかりで、思わず見入ってしまいました。
仲が良いほど喧嘩するじゃないですが、姉妹喧嘩は見ていて微笑ましかったですし、それぞれの恋、悩み等、本当に日常の一コマのようで、とても自然体でしたね。
父に捨てられた(母にもか)三人と、腹違いの妹すず、それぞれが心に整理をつけて、少しづつ家族になっていく様子は本当に見応えたっぷりでした。
広瀬すずの存在感にもとにかく驚かされましたが、彼女を包み込む愛を見せた三人もさすがの演技、特に綾瀬はるかは普段の言動とは似ても似つかぬしっかり者の長女っぷりで、これぞ女優だねぇ~と、とにかく感心させられましたよ。
死があるからこそ生が実感できる、そして愛おしくなる、そんな作風も心にグッと響きました。
四季折々の風景も素晴らしかったですね、とても癒されました。
満足感、幸福感で一杯です!
しかし4姉妹が可愛すぎる・・・。
原作を壊していない
仕事で疲れたときにビール飲みながら、癒される映画(僕はしらふで観てたけど)。
原作の全てを描くことを捨てた事で焦点が絞られ、原作の空気を壊さずに映画化することに成功している。
複雑な親子関係(親族関係)を持つ4姉妹が葛藤や不満などを持ちながらも(ある意味日常的な)幾つかの出来事を通し、周りの人および風景の優しさに包み込まれ前向きに生きてくという感じ。
原作同様に弱い人間は出てくるけど悪人が出てこないので、こちらもやさしい気持ちになれるそんな作品。
・・・と、ここまでいい評価を与えてますが、それでもやはり吉田秋生の世界観とはずれもある。やさしい登場人物とやさしい風景(つまり鎌倉)がこの作品のキーになってるのだけど、映画では風景にどうしても引っ張られる。やはり、視覚(や音)の印象は強烈なのだなと実感。
鎌倉♡
鎌倉が舞台だからという理由で、観てみた。観て思ったこと、鎌倉はあそこまで田舎ではありません。確かにあんな雰囲気の家は今もあるけど、あまりにも鎌倉を田舎に描写し過ぎているなと感じました。
鎌倉の冬に広袖を着ている人なんて、聞いたことも見たこともありません!笑
内容は…多分すごく端折っているんだなとわかるくらい、ムダがなく、退屈を感じさせず、纏まっていました。
観やすかったです。共感も出来た。
すずちゃんと長澤まさみが可愛かった!
最強の四姉妹
原作が好きで、映像化のスタッフとキャストを知って、かなり期待して観た。
結果はサイコーだった。
原作のイメージからすると、長女役の綾瀬はるかに不安があったが、第一声を聞いてあっさり解消。しっかりとお姉さんになっていたから、さすがだ。
とにかく四姉妹が一緒にいるだけで、なんとも言えない素敵な時間が流れて、それをずっと眺めていたいと思った。
四姉妹の梅酒
元々、少女漫画のようでいて ちりばめられている現実的な原作の描写がすきで単行本を購入しています。
はじめはきれいどころ四姉妹の配役(特に夏帆の三女役)に違和感がありました。テレビでどうせやるだろうと思って見送ってましたが、友人に映画館でこそ観るべきと勧められたこともありふらりと観てきました。
姉妹たちの日常、特に大人組の家族・恋愛・仕事といった様々なしがらみは現実的ながら周囲の絶景や音楽によってきれいに彩られています。
複雑な背景をもつ四女の鎌倉での学生生活も、まさに青春できらきらとした部分が際だちほっこりとした気持ちになりました。
終盤の姉妹ふたりきりでのキン、と音が響くシーンが最も印象深かったです。
それまでのゆるやかな起伏がある流れがすべてそこに収束していました。
原作から入っている身としてはもう少し長女の内面を掘り下げてほしかったなと思いますが、一本の映画として四女が家族になるまでを描く上ではすっきりとしてわかりやすいまとまり方だったように思えます。
次はいったいどうなるのか ハラハラドキドキするような映画ではありませんが、日常に疲れてひとりでゆったり過ごす週末にこそ、じんわりと楽しめる映画です。
この映画に出会えた嬉しさ。
ひとりひとりのキモチ
ひとつひとつの風景
セリフから伝わってくる
深い思いや 感情が
自分自身を フィードバックさせました。
重なる場面や
実際にありえる現状、
シーンから伝わる味わいが
この映画を
より一層素敵なものにしてくれました。
現代版の「細雪」、日本を代表する映画
素晴らしいの一言。
ストーリーは、四姉妹の日常を織りなす物語です。また、それぞれの姉妹に気になる男性がいて、その距離感も楽しめます。
四姉妹というと、日本では、有名な小説「細雪」があります。細雪と相違する点は、
細雪⇒四姉妹のうち、長女および次女が嫁いでいる。
海街diary⇒四姉妹すべて独身。
細雪⇒四姉妹の親は、同じ。
海街diary⇒四姉妹のうち、四女のみが腹違いの子。
出演者で言えば、
長女でしっかり者で看護師をしている綾瀬はるか
次女で銀行員をしている長澤まさみ
三女でスポーツショップ勤務の夏帆
四女で中学生の広瀬すず
また、他には、くせのあるお母さん役で大竹しのぶ
喫茶店のマスター役でリリーフランキー
が出演しています。
演技では、しっかり者の綾瀬はるかの演技(セリフ)も味があったのですが、素晴らしかったのは、長澤まさみが発しているオーラでした。長澤まさみの映画を観たのは、「世界の中心で、愛を叫ぶ」以来です。その映画は、私の地元(香川県)でもロケがありましたので、私も観ましたが、それから長澤さんも大人の女性に変身したと思いました。また、リリーフランキーは、いつ見てもいぶし銀のような演技を見せてくれます。「そして父になる」でのお父さん役でも、子煩悩で優しいお父さんの演技を見せてくれていました。
二つ、個人的に気づいたことがあります。一つは、四女を引き取る、といったようなことは、経済的な問題も絡むので、手に職を持ちしっかりと稼いでいる女性でないと難しいこと。二つ目は、治安が良いことが必要だということ。治安が良くないと、女性4人だけで暮らすということは危険だと思いましたので、治安の良い国、日本で良かったと思いました。
今回の映画、「海街diary」は、日本を代表する邦画であると言っても決して過言ではないと思います。みなさん、素晴らしい映画ですので時間があれば、ご覧になってください。
ありがとうございました。
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