ハーモニーのレビュー・感想・評価
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色々と考えてしまいました。問題作。
言わずと知れた2010年度フィリップ・K・ ディック特別賞受賞作品のアニメ映画化作品。
伊藤計劃による死の病床からの渾身の衝撃作。
彼は絶対死ぬ気が無かったと思う。
これ書きながら生き残る準備をしていたと思う。
人類にとっての健康とは何なのか?
人類にとっての本当の病魔とは一体何なのか?
それを知りたければまずはこれでも観て思い知れ。
泣きました〜
論文で伊藤計劃さんを書こうとした矢先、丁度いいタイミングで映画化。
文学やSFなんて全くわからない、ましてや原作なんて読んでるはずもない彼氏を引き連れて行ったのですが、私より彼の方が泣いてました。
中盤までは確かに説明ばかりで、もったりした印象はありましたが、原作を知らない人でも充分楽しめたのではないでしょうか。
個人的に、原作よりも映画の方が「復讐」よりもミァハへの「愛」を推している様でしたので好きでした。
けれど本当は計劃も「愛」を描きたかったはずなので、ラストで「復讐」を持ってこなかったのは制作陣営のナイスな選択だったと思います。(原作は何で復讐にしたのでしょうね。早川さんに動機を分かりやすくしろ!って注文でもつけられたのでしょうか)
綺麗だし、とても素敵な作品だと思いますので友人にも是非お勧めしたいです。
自我が生まれ死ぬまで
捜査官の主人公が事件の解決と落とし前をつける話
虐殺器官を鑑賞後勢い余って見ることに。
劇場とTVの差、作画の差などで大分げんなりしてしまったものの、話自体は面白かった。
アクションより事件捜査と回想に重きを置いた展開なので退屈と感じる人もいるかも知れない。
同じ世界の後日譚だが本作は平和の約束された日常、自我がどんどん削られて争いの無い世界。ちょっと過剰すぎる気がするがこれが世界平和の一つの形なのかも知れない。
世界のシステムを逆手に取った犯人のテロ、同一作者なだけに展開が似ている気がするが、主人公達は女性なのでそれならではの心の動き、感情がいい差別化になっていた。
親友のいかにも拗らせた様な性格も話が進むにつれて理由付けされていくし、最後の展開なども綺麗な決着だった。
ただ、世界観と緊張感があまり感じられず、大多数の人類が終末のを迎えであろう大規模な話な割りに、身内だけでなんだかこじんまりしてしまった感がいなめない。
犯人の動機は捻りがあったのだが自分としては納得があまりできなかった。いや理解が足りていなかったのかも知れないのだが・・・
自分の理想郷に人類を連れていこうとした訳だが、そこには友情も愛もない世界、主人公の事が気に入っていた様だがそんな感情も生まれなくなってしまう世界に行く意味はあるのか?
合理的に考えているのか感情的なのかよくわからなかったが、それでも決着をつける最後は切なく思えたし、綺麗な悲劇だと感じた。
原作を読めば理解が深まるだろうが、映画として一つの作品なのだから単体で納得させられる作りであってほしかった。
劇中セリフより
「理想を求めるか心理を求めるか」
どちらも欲しいが純度が高い物ほど一つしか手に入らない。
理想も心理も突き詰めると人間は人間でいられなくなるのではないだろうか。目指すのは勝手だが目指さないのも勝手なはずだ。自分の判断を押し付けてしまわないようにしたいものです。
もったいない
伊藤計劃の虐殺器官、ハーモニーは
いわゆるゼロ年代SFでは非常に評価されている
本作は小説の映像化という点で高評価
でも作品としてはやや評価を下げざるを得ない
もともとハーモニーは密度が濃い小説
ナウシカのネタやしょうもないギャグ、
フーコー、ヒトラーの雑学まで
「etml」なんてのは、この作品の根幹をなすのだが
大幅に削られている。これは映像化で当然
画面映えする表現を選択して描いているのは好感。
小説で想像していた世界が見事に表現されている。
町並みや建物の造形は主人公の感じる嫌悪感を反映しているのだろう
小説上では色彩の薄い立方体なのだが、この改変は世界観を表現するのに一役買っている。
またPassengerBirdのデザイン、螺旋監視官の制服デザインはずば抜けて優れている。
ただWatchMe、生府<ヴァイガバメント>、財布が使えれば~などの説明などもごっそり抜けている。
作品の大きな魅力が喪失しているので映画をみて面白いと思ったら小説は絶対に読んだほうが良い。
ハレルヤは流石に宗教色濃いので改変したのだろう。そこは脳内補完した
あくまでも映像化は成功している。
が、単体作品としては魅力が少ない。
面白かったですね。 良かった点 SFでどれも辻褄があっておりその映...
観た後にどんどん好きになっていく
中身のパンパンに詰まった上質なSFであり、エンターテイメントもきちんと保っている作品を観た。
なにぶん会話シーンが多く、それをカメラの動きでごまかしているような気になってしまう、(レストランでの会話シーンなど)少し残念な所もなくはないですが
語りしろの多く、鑑賞後深く考えさせられるというのは映画としてとても正しいと思います。
一見クールなようで、高校時代のこじれによってその後の人生が振り回されている感じ、主人公のトアンもなかなか人間くさいのです。
ラストはそんな彼女の人間臭さが、ミァハの想像を超える。そんな風に解釈しました。ホントは星4つけたいぐらい。
鑑賞後、二人のオタク男子ペアの連れてこられた感じ満載の片割れが
寝ちゃったわあと漏らしていたのを聞き、お前なんかハーモニーされちまえと思うに至りました。
原作を踏まえた新しい作品
原作が好きで見に行かれた方々は映画オリジナルの結末に不満を抱かれているようですが、私はとても美しい結末だと感じました。
原作小説は読んでいません。映画から入っても充分楽しめました。
なのでここに書くのは純粋にハーモニーという映画作品を先入観無しに見て受け取った感想です。
所々に入る13年前の回想ではミァハとトァンの関係性を描写するものが多く、トァンは自分が知らないことを知っている・見えないものが見えているミァハに惹かれていって、トァンがミァハに対して強い憧れ・親愛を抱いていることがみてとれました。それに比べトァンとキアンの繋がりに関する描写は少なく、序盤のキアンに対するトァンを通したイメージがキアンという存在をそれほど重大なものではないと思わせました。なのでトァンにとってのキアンの死はあくまでもミァハの生存を示唆する程度のものとしか受け止めませんでした。父親のヌァザに関する印象も同様で、和解の描写がヌァザが銃弾からトァンを庇った直後少しのみで、それ以前のトァンの父親に対する厳しいセリフと比べると、一応確執は払われたが復讐に燃える程ではないように感じさせました。死ねなかったトァンのミァハに対する申し訳なさや、ミァハが生きていることを知った時のトァンの描写、13年前の唯一の理解者としての関係性等を考えると、トァンがチェチェンへ行くラストは単純に、ミァハに会いたいんだろうなという印象でした。なので後日見た原作の、父とキアンの復讐のために二発の銃撃でミァハを殺す、という結末を知った時は逆にとても驚きました。要は上記のように映画では二人の死を重く受け止めたり復讐に燃えたりしているトァンが描写されていないのです。むしろ演出の重点はトァンのミァハに対する想いに置かれていて、世界の命運がトァンに懸かっているというセリフに対しても、本気で言ってんの?、と返したり、トァンの中の優先度も、ミァハを止めること<ミァハに会うこと、であるようにはっきり書かれていました。回想シーンでも思春期の不安定な心を描写していてトァンがミァハに愛情を持つ過程が見られます。自殺前にミァハが本を燃やすシーンでは己のうつし身である本を殺すことをトァンに代執行させているわけです。これを踏まえると、ミァハはチェチェンでトァンが殺しに来てくれるのを待っていたのだと思いました。
私が映画を見ただけで持った解釈は、
ミァハの望みは、人間的な生き方。それが叶わない13年前の世界で、ミァハは死を選ぶ。13年後、世界中に本来の人間的な営みを自覚させる。私は、ハーモニー化はミァハにとって死と同義だったのだと捉えました。本を燃やすことと死ぬことが同義であったように。意思が消滅するなら、ミァハはトァンに自分を殺してもらいたいと思っていて、トァンもまた、自分の中のカリスマであったミァハですら意思が消えてしまうことに耐えられなかったのではないでしょうか。私は映画の結末は、最後まで世界を憎悪したかったミァハと・今度こそミァハと一緒に、また愛する人を愛しいままにしたかったトァンの心中だと受け止めました。なので映画だけを見た私としては、最後に、私の好きだったミァハのままでいてほしい・愛してる、といって銃声が一発響くことはすんなり受け止められましたし、そこに120分の物語が全て集約されていてその壮大な要素が見事に成就したなと思いました。そのまま人物を映すことなく終わるのも、映画オリジナルの解釈の幅を持たせるためだと思いました。横から頭を撃つのでもなく、密着した状態で相手の背中に銃口を自分側に向けて突き立てるのもそういった意図があったのだと感じました。
とにかく、原作如何は考えず映画単体として見たときは本当に素晴らしい作品であると思います。そしてそのラストも一つの作品として見れば自然な流れで美しくまとまっています。監督がインタビューで、結末は当初の予定から変更して最後にアレンジしたと言ってますが、それはまさに、映画を最初から見ていくとそれが自然な流れに見えたからでしょう。もちろん、原作通り復讐でミァハだけが死んだとも捉えられますが。
作者の価値観や主張がうかがえる、魂のこもった大変素晴らしい映画でした。
作者の伝えたかったことは?
もう少し
良い映画
一人の女の子が自殺する話
終始丁寧にその世界観と人物の所作を描かれていた。小説での表現を上手く映画という媒体に落とし込まれていた。そして、物語は原作とは少し異なった結末を迎える。これは映画の作り手の考える、ヒトの意識を示したものではないだろうか。映画におけるハーモニーは、トァンの引き金を引く理由が違うだけではない。映画の製作者の考えそのものをどう思うかは個人によるが、原作に忠実な流れも実はその結末へ至るべく演出されている。
正直、説明不足という批判は的外れにも程があるものだ。それほど丹念に作品の細部まで描かれている。最後で台無しという批判も同じだ。全編通して一貫性を持っている。
屍者の帝国が序盤から異なる物語の流れへと足を踏み入れながら、半端にも原作の言葉を使い、綻びを無視して原作と同じ結末で終わらせたのとは対照的だ。
伊藤計劃の小説をもととしながら映画としての独自性を持った良い作品だ。
難しくて美しい。恐ろしい角度から“生きる意味”を問う異色作。
【賛否両論チェック】
賛:全てが管理され、皆が同じように生きている社会に、疑問を投げかける内容に考えさせられる。主人公の切ない葛藤も印象に残る。
否:話そのものはかなり難しく、聞いていてよく分からない内容も多い。グロシーンも結構あり。
まず、体内監視システムによって人々の健康が管理されているという、奇想天外ですが決して荒唐無稽ではない設定が、斬新でもあり、どこか恐ろしくもあります。食事を摂る度に、コンタクトレンズにカロリーが瞬時に計算されて出てきたり、踏み台を上がろうとすると“段差注意”の警告が出たり。そういったところはあると嬉しい機能だったりするかも知れません(笑)。一方で全てが監視され、人々が皆、均一的で違いのない世界は、そこに相容れない者にとっては、かえって不気味さを醸し出しているようにも感じます。
主人公が日本を語る際に、
「優しさでじわじわと絞め殺されるような世界。」
と言ったり、
「まがいもののような世界。」
と言ったりするのも、なんとなく頷けてしまうような気がします。そんな中で、自らの存在意義について自問自答していく主人公の葛藤が、切なくも美しく描かれていきます。
ただお話そのものは、非常に詩的というか専門的というか、難しい言葉が難しい表現で紡がれていくので、とても難解で理解しにくい内容でもあります。
人間というものの存在意義やあり方について、じっくりと考え直してみたい人には、オススメかも知れません。
伊藤計劃の遺作ということで期待しすぎたかな
私は伊藤計劃という人物をこのproject-itohで初めて知ったほどSF作家には疎いほうです。日本のSF文学に多大な影響を残した夭折の作家が病床で描き上げた作品が今作<harmony/>だと調べてわかりました。
伊藤計劃をまったく知らない私がなんで今作を北海道からわざわざ東京まで行って(もちろん別の用事がメインではあるのですが)視聴したかというと監督のなかむらたかしさんの大ファンだからです。日本のアニメーター界の至宝がスタジオコロリドに落ち着きショートムービーの「寫眞館」を発表後、体制安定後初の長編映画の指揮をマイケル・アニアスとの共同監督として参加したと聞いちゃあファンとして黙っておられません。めちゃくちゃ期待して観に行きました。
今作のPVはそんな私の期待を高鳴らせる良い出来だったと思います。
本作の冒頭は白いモニュメント、人類の生存管理システムである<メディケア>のWatchMeのサーバーだと思われるその表面にプログラミング言語として記述され、メモリーされていく様子から始まる。ある程度の前知識ある人はこのストーリーはエピローグから始まっていることを理解できるし、できなくても中盤でのトァンの心境の独白が過去形だったことから「終わった物語」をトァンの視点から「記述」されたものをソースにそれぞれブラウジングしている物語という理解を得ることになると思う。
原作が小説で、且つこのような構成から物語は一人称、独白、ナレーションで説明くさい。原作は未読だが、これだけのprojectが動くほどの作品であるならば当然、言葉巧みに描写されているのだろうと想像できる。問題はそれをどう映像化していくかというのが恐らくproject-itohの肝なのだが<harmony/>においては総合的に見ると失敗しているねというのが私の見解だ。
冒頭の裏取引からのWarBird撃退戦、中盤のインターポールとの市街戦、これらの戦闘シーンにおいてさえ没入感が足りなかった。どちらも脅威が感じられず、予定調和のようにさえ思えた。
極端な管理社会である<生府>の世界、それと外の世界である<トゥアレグの民>の対比も唸らせる演出はなかったように思える。場面比率は圧倒的に<生府>のシーンが多いためか、終始閉塞的な、それでいて陳腐な空気感は終盤まで続き私の視聴意欲を削っていく。
途中から私はなんでこうなったんだろうと内向的に思考するようになってしまった。周りの観客の反応まで気にしだす始末。結論としては原作に忠実なんだろうと考えた。原作に忠実に作ったらこうなりましたってことなんだろうと。そもそも伊藤計劃という人物が書き上げたストーリーをそのまま真っすぐ素直に<harmony/>に綴られた言葉をコンテクストをそのまま読み解いてはいけない。
病床の縁で描き上げられた作品は単なる生命倫理への問題提起に留まらず作者の慟哭を伝えるメディアなのだ。本作は商業的に作られすぎた。そう結論する。
中盤から終盤にかけて私は伊藤計劃の創作意欲の源泉に関して探るために本作を視聴した。僅かな生存率に掛けて非人道的とも言える多くのものを失うであろう終末期の抗癌剤治療を続けながら書き上げた本作の行間を読み解こうとストーリーにセリフに傾聴する。しかし特に特筆すべき主張というものを汲みとることは出来なかった。そんなもんだろうと思う。伊藤計劃はどちらかというとトァンよりもミァハ寄りだと思うし、自我に拘泥するわけでも自我が深層心理で共有化されることを願ってるわけでもなく我欲に忠実だったんだろうと思う。そうであれば本作はもっと衝動的に展開されるべきだった。もっと勢いというものを、直感的に創造してもよかった。
本作におけるキャスティングは見事であったしメインの3キャラは素晴らしかった。沢城みゆきさんは舞台挨拶の動画で初めてみたけどネットの評判よりも全然美しく落ち着いてて、あれだったらもうちょっとトァン魅力的になるんじゃねって思ったほどだ。それでも本作のイチオシはやはり御冷ミァハなんだが終盤のシーンは大好き。もっと官能的で美しく視聴者にも恍惚を感じさせれたらそれだけでこの作品には星5与えたいほど。生々しく欲情に任せた自然な美しさに狂気をプラスってまあ映像化していいのかっていう問題もあるけどこれに挑戦できる下地ってのを私はなかむらたかし監督に期待しているんです。
もっとなかむらたかし大事に使えよって言いたい作品でした。
主題歌の「Ghost of a smile」も今の自分の心情に沿っているタイムリーな綺麗な歌なのでネットで落とそうかと思います。
総合的に残念な出来ではあったけど、ところどころ流石と思えるシーンも多く、評価が難しい作品ですね。せっかくだから原作も読んでみたいと思いました。
意識-意思=気≒木→木偶の棒
「大災禍(ザ・メイルストロム)」と呼ばれるその事件の後、世界は新たな組織「生府」によって統治されることになった世界。
※以下はネットで調べて下さい。
自分のような学力の劣っている馬鹿には、かなり難解なストーリーである。元々SF小説だから、分からないところ、不明なところは読み返してみたり、語彙を調べてみたりしてから徐々に理解してくるのだろうが、なにせ映像はドンドン先に進んでいく。当然だし、だからこそ小説を一読してからではないとおいてきぼり感に満たされてしまうことをひしひしと感じた。とはいえサイバーパンクが激しく香り、とても興味をそそられる内容ではある。
小説未読の観客から言わせれば、話題に上がっている『ラストシーン問題』は、あまり気にならない。当然なのだが、どっちが正しいかは観客それぞれの気持ちでいいのだとおもう。自分としては、そもそも思春期にある女子校特有のステレオタイプ的な関係性みたいなものをベースにしているのだから、あいいう結末が自然なのだろうと思うのだが。父親よりも愛する女性に想いを抱くのは仕方がないこと。
画面いっぱいに彩られるピンクのトーン、そして街はまるで毛細血管に覆われた肺のようなデザイン。人間の体内で起こっているかと錯覚するような、メタファーを含んでいる演出を感じさせた。
今年見たアニメでは最高な出来栄えだと感じる。
個人的には、ハーモニープログラムを発動させて貰って、人間を捨てたいけどねw
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