劇場公開日 2014年11月1日

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美女と野獣(2014) : インタビュー

2014年10月28日更新
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レア・セドゥー、クリストフ・ガンズ監督と組んだ実写版「美女と野獣」を語る

アブデラティフ・ケシシュ監督作「アデル、ブルーは熱い色」で、第66回カンヌ映画祭パルムドールを受賞したレア・セドゥー。独特の雰囲気をまとい、魅力たっぷりのキャラクターをつくりあげてきたセドゥーが次に選んだ作品は、クリストフ・ガンズ監督の「美女と野獣」だ。これまでにも実写、アニメと映像化されてきたおとぎ話に飛び込んだセドゥーが、本作を語った。(取材・文・写真/編集部)

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ガンズ監督が映画化を熱望してきた「美女と野獣」は、1946年にジャン・コクトーによって映画化されている。ガンズ監督は、1740年に初めて書かれたビルヌーヴ夫人版の物語を原作に、「ジャン・コクトーの映画では語られなかった人間と自然の関わり、神と人間の関係性といった神話的な部分」に焦点をあて、宮崎駿監督をはじめとしたスタジオジブリ作品、「大魔神怒る」(三隅研次監督)など日本映画へのオマージュを盛り込む形で映像化に挑んだ。

父の代わりにバラ盗みの罪で城に幽閉されたベル。セドゥーは、幼少期からコクトー版「美女と野獣」に親しんできただけに、ベルをこれまでとは違うキャラクターにしたいという思いがあり、おとぎ話が好きだった自分と同じような少女たちが「自分を投影できるようなベルにしたい」と演じた。

「よりモダンだと思います。コクトー版のベルは、登場した時点で大人の女性でしたが、今回は愛を発見することによって、少女から大人の女性へ成長していくのです。処女喪失のシンボルとしても描かれているのだと思います。もうひとつ、ベルが自分の手で運命をどうにかしようとして能動的に動いている点が現代的ではないでしょうか。コクトー版は野獣を中心にしていますが、今回は現代的なベルを中心にお話が展開しているのです」

そんなベルのなかに、「どこか共通点はあると思います。ちゃんとした意思を持っていること、恐怖に立ち向かうことができる点が似ている」と自らとの共通点を見出す。さらに、「私はベルが意志を持っている女性にしようと思って演じました。運命に盲従するのではなく、恐怖やこの場合は野獣と対じする女性にしたかったのです」と語る。

本作の見どころのひとつは、映像美だ。ガンズ監督は「サイレントヒル」などで見せた世界観が印象的だが、本作でもCG・VFX技術を駆使し、フランス第一帝政時代の仏絵画の光や色使いをイメージした、過去と現実が融合した世界を構築した。絵画的世界のなか、セドゥーがまとう鮮やかなドレスが美しいスパイスとなる。撮影を振り返ったセドゥーは、「プリンセスラインのドレスはとにかく見ごたえがあるので、いくつものパターンのドレスを見せようと監督に言ったんです。さまざまなシルエットのドレスを着るということは、子どものころの夢がかなうようで、すごく楽しい経験でした」と微笑んだ。

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セドゥーは、ドレスの華やかさを楽しんだだけではなく、馬に飛び乗り森を駆け抜けるなどアクティブなシーンにも挑戦している。ドレス姿での演技は難しかったようで、「これまで私が経験した撮影の中で、肉体的に1番大変な撮影でした。今回は芸術的なことよりも、こういう動きをしなければいけないといったテクニカルな制限が多く、そういった難しさがありました」。城を抜け出し凍った湖を逃げる場面では、「完成形ではひとつのシークエンスとしてつながっていますが、走るシーンはグリーンスクリーンの前で撮り、湖の上でもみ合う場面はまた別のショットなんです。水に落ちるところはプールで撮影していて、ハーネスがついたドレスでコントロールされるというように、さまざまな要素がありました」と説明した。

悲しい過去から恐ろしい姿に身をやつした野獣。ベルを捕らえながら、夕食をともにすることしか要求しない謎めいた行動をとる野獣に隠された秘密とは……。野獣を演じたバンサン・カッセルは撮影中、野獣メイクを施していたわけではなく、顔にモーションキャプチャー用の印をつけた状態で演じていたという。「野獣のビジュアルは、プロトタイプとして見せてもらっていました。でも、撮影はそういう状態だったし、バンサン・カッセルさんはすごく冗談が好きな人なので、笑ってしまって大変でした」と笑いも起こった現場だったことを明かす。

セドゥーは、カッセル扮する野獣と恋を紡いでいくが、ラブストリートしての本作の魅力を「ハッピーエンドであり、ふたりにとっての解放の物語」と分析。「野獣は普通とは違っているし、ベルも家族の中であまり理解されない。ある意味、アウトサイダーであるふたりが結びつくということが面白いと思います。ラブストーリーというものは、どの話をとっても唯一無二のユニークなものだと思うんです」

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幼いころからおとぎ話にあこがれていたセドゥーは、「夢見がちで、想像の友だちと遊んでいるような子ども」だったという。そんな少女が18歳で女優を志し、「Mes copines」(2006)でデビュー。わずか7年後、青髪のミステリアスな女性を熱演した「アデル、ブルーは熱い色」で、パルムドールに輝いた。

「パルムドールを受賞したことでいろいろなことが変わり、大成功だと言えると思います。でも、カンヌ以前からの積み重ねがあって、少しずつ有名な監督と仕事ができるようになり、重要な役を得られるようになっていたのです。もちろんパルムドールは大きな賞ですが、影にいたものが急に光のなかに出るというような変化ではなかったのです」と歩んできたキャリアへの自信をのぞかせる。

作品選びでは監督が1番のポイントになるそうで、「もちろん物語や演じる人物、共演者の顔ぶれも要素になりますが、私にとって選ぶ基準となるもっとも重要なカギは監督なのです」と明かす。ガンズ監督と組んだ本作は、セドゥーに何をもたらしたのだろうか。「これまで私が出演してきた映画は、作家主義的な作品が多かったのですが、今回初めて大衆向けの映画に出演することができました。例えば、道を歩いていると小さな女の子が私に気が付いてくれる。そんな変化があるのです」と女優としての新たな世界を楽しんでいるようだ。

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