不機嫌なママにメルシィ!のレビュー・感想・評価
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毒母
昨今「毒母」なんて言葉が流行ってましたが、主人公ギョームは母親の「女の子であって欲しい」という願望から、自分が何者なのか分からないまま大人になります。男なのか女なのかそれともゲイなのか。
彼は悩む。彼はゲイパーティに行く。男性と寝ようとする。だけど、、違う。
そして彼は初めて女性に恋をしました。
この時にようやく、「女性性」という母親の呪縛から解き放たれることになります。
ゲイを含む男性監督の作品は、母親への思慕が強烈に強かったり、母親がファンタジー化していたりすることが多いと思うのですが、ギョームは異色ですね。客観的に母親と自分の関係性を見つめ、冷静に自分のアイデンティティーを確立しました。そして、芸術家らしく作品を通して母親から巣立ちました。しかも、憎しみではなく愛という形で。
母と子の依存関係に向き合ったギョームには、ママはもう不機嫌には見えません。ラストの、本物のママはとても美しかったです。
僕の巣立ちの物語
ママが男性が演じてるとは思えない女性らしさでした。ギョームの女性の仕草じょうずでした。
見てるほうもギョームはゲイだと決めつけてましたが、人はそんなに簡単に区分できるもんではないですね。自分のリテラシーも鍛えられます。
予告の感じだともっとコメディなんだろうかと思ってたけれで割と抑えた感じで、かなり真面目な話でした。
ママが娘が欲しかったからなのか、ギョームが女の子っぽかったからなのか、ギョームは家族にゲイと思い込まれていました。
本人は自分は女の子だと信じていました。女の子だから男の子に恋をして、でも実を結ばなくて。
ママにはあなたはゲイでしょと言われてしまう。じゃあゲイとして男の子と恋をしようとしても、どうものれない。
僕はなんなの?という話です。
自伝を一人芝居として描いたのちの映画化だったようです。
よくできた巣立ちの物語だったと思います。
母親を客観視し、共依存に気がつくところは
世の大人たちの苦手とするところ。
彼は年若くしてその難題を解いてみせ、
さらには戯曲に映画にして人を楽しませるところまで
昇華させたわけですよね。
この映画のラストで強く打ち出したママへの愛は、決してマザコンと揶揄されるものではないと思います。
成熟した大人が親に送る、成熟した愛だったと思いました。
高校生役には若干メタボなお腹が不釣り合いでしたが…
好きなテイストです。ちと濃いめの下ネタありです。
なんでアラブ系しかだめなの?とか、労働者階級の地域のくだりとかイマイチわからんかった部分もありました。そこはフランス文化への理解度でしょうね。
能役者の写真飾ってましたね。日本語でギョームさんへってメッセージ入ってました。ほんとに能役者さんからもらったんでしょうね。演劇人なんだなぁとおもいました。
男の子たちとギョーム、ごはんよー!と
女の子たちとギョーム、ごはんよー!の対比が効いていました。
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