劇場公開日 2017年3月24日

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「男女の目線で評価が分かれるかも」パッセンジャー Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0男女の目線で評価が分かれるかも

2024年10月14日
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鑑賞方法:映画館

旬の俳優、クリス・プラットとジェニファー・ローレンスW主演の本作、期待大だったがまさかの劇場スルーしてしまったという痛恨のミスを犯した。観に行かなかった分批評家サイト等をチェックしていたが、全米興収はまぁまぁという推移であり、評価もそこそこという結果だった為、勝手ながら期待値が下がった状態での鑑賞となったのだが、それなりに楽しめる作品だった。
不運なことに目的地の惑星に着く何十年も前に目覚めた男が、希望を見いだせず自暴自棄になりながら過ごす中、ある女性との出会いが彼を変えていく。終始宇宙船内部の出来事となるが、船に降りかかる災難や、二人の恋模様等の描写が丁寧に描かれており、116分を余す所なく使っている印象だった。

近年、地球外が舞台となるSFの良作が次々と現れるなか、本作はそれらと肩を並べられる程まではいかないかもしれない。どうすることも出来ない状況での絶望感や、彼の心情は良く描かれているものの、宇宙の恐怖を描いた「ゼロ・グラビティ」や火星での奮闘を描くリアルSF「オデッセイ」、壮大なテーマを持つ「インターステラー」に比べるとメッセージ性やストーリーのレベルはどうしても下がる。
だが本作の特徴である、「男女が目覚めるはずの無い所で目覚めた」という部分が他作品には無い印象を残し、この部分は男女できっぱり評価が分かれるだろう。その際に主人公の行動に「極限状態では仕方ない」と判断するか「最低の人間」と判断するかで大きく評価が分かれる作品となっている。
最後に、宇宙船のデザインは素晴らしいと思う。いわゆる方舟的存在の船のため、居住空間に重点を置いているのだが、何でもかんでもシステム管理されている宇宙船の弱点が物語の軸を握っているのも面白かった。物事には100%は無いが、「この船に不具合なんて起こるはずがありません」とキッパリ言ってしまう辺りは大勢の入植者を抱える船としての備えがゴミで笑ってしまった。

Mina