「新時代の創世記」パッセンジャー Jan Maria Patrickさんの映画レビュー(感想・評価)
新時代の創世記
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内容に関しては、裏切られるような展開はないものの、その分安心して見られる作品だと思う。登場人物も魅力的であったし、映像もかなり良質だった。
ジムの目覚めた理由に関しては、もう少し必然性を感じさせる仕掛けがあってもよかったのではないかと思う。
宇宙船のシステムが、復旧のためのエンジニアを選び意図的に起こしたのかと思えば、ただの不具合による偶発的な事故だった。
あるいは、その偶発的な事故を通してシステムの不具合の核心に迫るのかと思えば、そういうわけでもなかった。
つまり、ジムの目覚めは単なる事故の延長線に過ぎない。
予告を見ても「理由があるはず」のようなことを言っているが、それとこれを結びつけるものが薄かったのは残念。
こういった点を踏まえて星は4.5だった。
それにしてもこの作品は、旧約聖書の創世記を彷彿させる。
最初に男が目覚める。そして孤独の末、女を目覚めさせることになる。創世記を知っている人間なら、アダムとイヴを意識していることは明白であろう。
最後のシーンに至っては、宇宙船が「ノアの箱舟」のように感じたのは私だけではないと思う。
作品の根底に創世記を持ってくることで、人類移住計画というものを新たな人類の歴史の1ページとして描いている、云わば「新時代の創世記」として表した作品だと思った。
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