劇場公開日 2015年2月14日

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「食べて、癒されて、生きていく」リトル・フォレスト 冬・春 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5食べて、癒されて、生きていく

2019年4月20日
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鑑賞方法:DVD/BD

単純

幸せ

萌える

食べて、マイペースで、憧れて。
都会から故郷の東北の山村に戻ったヒロインを描くスローライフ・ムービー後編。
前作は夏/秋で、今回はその続き、冬/春。

前作のラストで、突然家を出た母から手紙が届き、今回はちとドラマチックに展開するのかと思いきや、
まあ確かに、前作よりかはヒロインの背景や母親の事が描かれてた気もするような、しないような。
前半の“冬編”は基本的には変わらず。
とことん、この作風に癒される。

今回も美味しそうな地元飯がいっぱいいっぱい。
山菜の天ぷら、ばっけ味噌、獲れたてのじゃがいも…。
中でも、はっと汁。
前後編併せた食べ物で、一番食指をそそられた。
マジで美味しそう。あれなら白飯数杯イケる。
東北の郷土料理らしいが、こちら福島にはないなぁ…。

引き続き橋本愛のナチュラルな好演。
彼女が舞うクライマックスを飾る神楽も見事。
それにしても、橋本愛や松岡茉優ら可愛い子ちゃんが居る田舎なら、私はすぐにでも引っ越してしまうだろう。
…と、まあ、そんなアホ目線ではなく、
一年かけて撮影された舞台の東北の山村の風景。(劇中では“小森”とされてるが、岩手県の山村らしい)
前作での蒸し蒸しするような暑さ、涼しげな秋、
そして今回は、東北ならではの厳しい冬。大積雪と凍てつく寒さ。
軽はずみな憧れなど、一瞬で凍りついてしまう。
一転して、温かな陽光と花や木々や自然の香り立つ春。
実際の季節の移ろいが本当に素晴らしい。

後半の“春編”で、ちとドラマ的な展開が。
母が突然出て行った時の事、本音は愚痴がこぼれる自給自足の一人暮らし、幼馴染みのユウ太への仄かな想い、そして…。
全てが素晴らしい訳では決してなく、気苦労や悩み、葛藤も。
それらを抱え、自然に抱かれ、時に対しながら。
毎日、毎日、毎日、毎日…円や螺旋の如く。
いつかはまたこの地を出ていくかもしれない。
この地でやれたんだから、一度は逃げてきた都会でもきっとやれる。
食べて、癒されて、生きていく。
再び活力を育ててくれた“リトル・フォレスト”。

近大