「むっつり」複製された男 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
むっつり
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原作はノーベル賞作家サラマーゴ。
現代人の超絶な孤独を描いた小説だった。
で、監督は灼魂のドゥニ・ビルヌーブ。
この組合せで想像してた映画とは、ちょっと違ってたなあ。
例えて言うなら、「知的なオジさま」と思ってた人が「むっつりスケベなオッサン」だった感じ。
(サラマーゴの観念的な世界を、ビルヌーブが生理的な映像に作り替えたのがイイ。)
むっつりスケベの「中年クライシス:レーベンスヴェンデ」な本作、そのむっつり具合が面白い。
アンソニーがメアリーを窃視するシーンとか、粘着質な映像で、ホント楽しいなあと思う。
その他、カッコいい遠景(ビル群のシーンはサラマーゴっぽい)、ホラーな音楽、煽るカメラワーク、そしてスパイダーなど、テンコ盛りな味付け。
俳優陣も、ギレンホール、いい具合にジットリしててナイス。
サラ・ガドンがきれい。面倒くさそうな映画は全部ガドンにまかせりゃイイとすら思う。
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原題エネミー=スパイダー=自分でもあり。
スパイダー=女・母性でもあり。そう考えると、I.ロッセリーニの無駄な存在感が光る映画であったなあ。「中年クライシス」というより、遅めの反抗期的な映画だったのかもなあ。
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