「数年後にまた見たいと思う。」リトルプリンス 星の王子さまと私 momotoさんの映画レビュー(感想・評価)
数年後にまた見たいと思う。
原作が社会風刺を含んでいるので、自ずと映画の内容もそうなってきます。シンプルなストーリーなのに難解に感じてしまうのは大人になってしまったせいでしょうか、登場人物の陰に身直な友人や同僚等の顔が見えてしまい、いろいろと考えてしまう。(これは映画というより、原作に対しての印象かも)
前半は少女が本の内容を現実で追体験し、心を解きほぐしていくのですが、子供の心を忘れずに、そんな単純なメッセージのストーリーかと思いきや、子供心に従った飛行士の軽はずみな行動は騒動になり、少女は苦い経験をしてしまうハメに。世の中そんなにうまくいかないよね。
後半、少女の心の目で見た本当の世界。心象風景と一口に言ってしまうのは浅い見方かもしれませんが、そこに登場する王子は子供の頃を忘れてしまった私たち大人のメタファーかも。少女の導く姿が自分の過去へ目を向けさせてくれます。今の私はどうだろう、そんな自分の人生を振り返ったりしているとさらに頭が痛くなっていく。
ニート宣言をした王子様は本当に正しいのか、子供心に従った行動が周囲に迷惑をかけてしまう事への責任の取り方、ラスボスになったビジネスマンは本当に悪い大人なのか、そのビジネスマンが作ったシステムの恩恵を受けて暮らしている事も事実。それらに対しての答えは明確に提示されず、視聴者に託されているようにも感じた。
子供が見て楽しめる作品とはいえ、大人へ向けたテーマも織り込まれている。(そもそも原作がそういう作品ですからね)
数年後見たらまた印象は変わってくるでしょう、その頃は今よりマシな大人になっていたい、そう思わせてくれる作品です。
とても素晴らしい映画ですが、やはり原作を読んでからの方がいいでしょう、そのため星は4つにさせて頂きました。