エクスペンダブルズ3 ワールドミッション : 映画評論・批評
2014年10月28日更新
2014年11月1日より丸の内ピカデリーほかにてロードショー
遂に世代交代!? タフガイたちが解散の危機に全力で抗う荒唐無稽アクション
80年代のアクション映画にどっぷり浴してきたファンにとって、このシリーズはまさにオールスター感謝祭だ。とりわけ囚人移送列車の襲撃シーンとともに幕を開ける本作は、新たにウェズリー・スナイプス、メル・ギブソン、アントニオ・バンデラス、ハリソン・フォードといった豪華な面々を惜しげもなく投入。シリーズが貪欲に伝説を更新し続けようとする姿勢を力強く印象づけてやまない。
加えて物語も一筋縄ではいかない。今回の「消耗品」軍団は任務遂行中に宿敵ストーンバンクス(ギブソン)の返り討ちに遭い、あえなくメンバーのひとりが瀕死の重傷を負う。責任を感じたバーニー(シルベスター・スタローン)は、もう若くない仲間たちが無惨に殺される姿は見たくないとチームの解散を宣言。代わりに腕の立つ若手のリクルートに着手しはじめるのだが……。
つまるところ、彼らの前に立ちはだかった最大の壁は「老い」そして「世代交代」。78年生まれの新鋭パトリック・ヒューズ監督は、荒削りなアクションシーンを通じて、親子ほど歳の離れた新旧メンバー12人を豪快に突き動かし、そのキャラひとつひとつに強烈な個性を刻み込んでみせる。
一方、本作に出演するレジェンドから若手までアクション俳優そのものが、ある意味、生き馬の目を抜くハリウッドにおける「消耗品」という見方も成り立つだろう。本作の深読みの面白さは物語と現実をオーバーラップさせることで、二種類の「消耗品」の生き様を存分に味わえるところにもある。
やがて勢いはクライマックスに向けて果てしなく加速する。行き着く先に待ち受けるのは、老いも若きもチーム全員が死力を尽くす総力戦だ。
軍用ヘリや戦車まで持ち出しおびただしい数の敵が迫りくる中、崩壊寸前のビルの中で各々がアドレナリン大噴出の銃撃戦へと身を投じていくこのノリ。この荒唐無稽さ。この火薬の量。これぞレジェンドたちが80年代に築き上げたアクション言語ではなかったか。何かと小難しさが先立つ映画の多い中、久しぶりにその懐かしい言語に触れられた気がした。
(牛津厚信)