「Once+ラブソングができるまで=最高にハッピーな音楽映画!」はじまりのうた こっこさんの映画レビュー(感想・評価)
Once+ラブソングができるまで=最高にハッピーな音楽映画!
音楽の魔法から始まる再生の物語。
形は違えど、傷ついた2人の主人公がニューヨークでばったり出会い、音楽を通じて自分を取り戻していくお話です。
監督と脚本を担当したジョン・カーニーお得意の街の息遣いを物語にしっかりと落とし込んでいくという作風も存分に楽しめる、ニューヨークの風を感じるような良作です。
同監督の前作「ONCE ダブリンの街角で」ではアイルランドを舞台にその街の重苦しい空気に合わせた、物悲しいお話でしたが、今作はヒュー・グラントとドリュー・バリモア共演で同じく音楽を題材にした「ラブソングができるまで」のようなアメリカン・ラブコメディの風通しの良さと、明るさを前作にミックスしたような楽しさがあります。事前にこの2作は見ていた方が楽しめるかもしれません。
肝心要の音楽も最高でした。
劇中に散りばめられた書き下ろし楽曲が映画をぐっと引き締めています。
物作りしている人には、わかってもらえるかと思いますが、良いものができてる時のあの無敵な高揚感。それがこの映画で疑似体験できてしまいます。
主人公たちは、劇中で実際にアルバムを制作するのですが、主人公たちが感じている高揚感がスクリーンから溢れ出ています。自由に、思い描いたものを思い描いた通りに、誰も見たことのない手法で作り上げていく。
閃くアイデアに、溢れ出る才能に、自分が天才かもしれない。そんな思いを確実に手にしながら前進しているバンドとプロデューサー。
みんなと作り上げる作品の手ごたえが、観ている側にもひしひしと伝わってくるのです。
この演出は、もう魔法でしかなし得ない。たくさんの要素が複雑に絡み合って、できあがっているんですよね。お見事です。
この映画を盛り上げている音楽ですが、もちろん誰が歌うかも重要です。
その点から見てもノーギャラ出演で話題となったマルーン5のアダム・レヴィーンの歌唱力はさすがの一言。圧巻です。
最近のマルーン5にない、グルーヴ重視の生バンドアンサンブルでアダムの歌が映画館の大音量で聴けるという、ファンとしてはうれしいことこの上ないシチュエーション。
自分的には、主題歌である「Lost Stars」がアカデミー歌曲賞獲ると思ったのになぁ。悔しい。
主人公であるキーラ・ナイトレーの歌声も彼女のキャリア史上初披露となった点でも貴重な映画なのですが、こちらも透き通る淡い歌声が気持ちよくさせてくれます。
さらに彼女自信がチョイスに加わったという古着を活用した衣装も見所。ニューヨークにとけこむ、新旧織り交ぜたスタイリングに、女子ならときめくことでしょう。
性別に関係なく、笑って泣けて元気になれるそんな映画です。ラストのキーラ・ナイトレーの笑顔を見たとき、きっとあなたも同じように笑顔になってるんじゃないかなぁ。