劇場公開日 2015年5月1日

  • 予告編を見る

「善し悪しあった実写化プロジェクト、最後も是非!」THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0善し悪しあった実写化プロジェクト、最後も是非!

2015年11月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

知的

これまで中編として全7章続いた人気アニメの実写化プロジェクト。
満を期しての完結編となる長編!
面白かったものつまらなかったもの含め、中編は全て見ていたので、待ってました!
…が、残念ながら手放しで歓迎出来るものではなかった。

突如東京上空に現れた最新鋭光学迷彩ヘリ“グレイゴースト”。神出鬼没、未曾有のテロの脅威に、解体が決まった第二小隊が立ち向かう。

長編だけあってスケールと迫力はアップ。

オープニングのレインボーブリッジ破壊。
警視庁や特車二課基地までも標的に。

アクションの見せ場は3つ。
敵アジトに潜入した第二小隊とテロリストの銃撃戦(勿論カーシャが活躍!)、グレイゴーストと自衛隊ヘリのドッグファイト、そしてグレイゴーストVSレイバー。

中編第7章からの直結の物語であり、劇場アニメ2作目の後日譚。
アニメ版のクーデターの首謀者・柘植や南雲しのぶについて言及されており、ファンの好奇心をくすぐる。
南雲しのぶ登場シーンは、そう来たか!

分かり易い勧善懲悪に非ず、複雑な正義の是非について考えさせられる。

…と、これだけ挙げればなかなか見所見応えありそうだが、実はそうでもないのだ。

シリアス作品を手掛けた時の押井の特色。
価値観・考えは難解で、好き嫌いもしくは賛否分かれる。

一見さんお断り。
ある程度の予備知識は必要。
最低限、中編第7章とアニメ版2作目を見てないとまず話に着いていけない。

「パトレイバー」らしいとぼけたユーモアは健在。
が、アニメのようなユーモアの中の緊迫感は今一つ。
同じテロの脅威を描くなら、アニメ2作目のような…と言うのは幾ら何でも高望みか…。

で、次が最大の難点。
ド派手なVFXロボット大アクションを期待すると肩透かし!
結局、レイバーが動くのは最後だけ。
そこが一番の見せ場の筈なのに、グレイゴーストと自衛隊ヘリのドッグファイトの方が迫力アリ。
一応VFXも迫力もそれなりに頑張ってはいるが、やはり予算不足は否めない。

全体的に尻切れトンボ。
森カンナのクールビューティーさと抑えた演技が良かっただけにもっと見たかった素性が謎のグレイゴーストのパイロット、第二小隊と面々のその後、思わず「これで!?」と言いたくなるような呆気ないラスト。
不完全燃焼。

最後に、簡潔に総括。
中編7章長編一本、一番面白かったのは、やっぱり第3章エピソード4「野良犬たちの午後」だったかな。
元々のアニメが名作で素晴らしい出来だったので、どうしても見劣りしてしまうのは仕方ない。
が、1年以上続いた今回の実写化プロジェクトに果敢に挑んだ事については素直に労いの言葉をかけたい。
お疲れ様でした!

もし続編が作られるとしたら、何だかんだ言ってまた見ちゃうかな。

近大