名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー) : インタビュー
福士蒼汰×パトリック・ハーラン“20周年”が結びつけた「名探偵コナン」との出合い
毎回、多彩なゲスト声優を迎える人気アニメ「名探偵コナン」の劇場版シリーズ。今春公開されるシリーズ最新作「名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)」では、成長著しい若手俳優・福士蒼汰と、本業のみならず幅広いジャンルで活躍するお笑いコンビ「パックンマックン」のパックンことパトリック・ハーランがマイクに向かい、ともに物語のカギを握る元米軍特殊部隊隊員を演じている。福士は現在20歳で、パックンは来日して20年。“20年”の節目を迎えたふたりが、青山剛昌氏による原作連載20周年を記念する本作で、声優として出会いを果たした。(取材・文・写真/内田涼)
昨年「あまちゃん」の種市先輩が大反響を呼んだ福士は、本作で声優に初挑戦。日本でミリタリーショップを経営している元海兵隊2等軍曹ケビン・ヨシノに扮している。以前から声優業に関心があったといい、「初めての経験で不安もありましたが、それと同じくらい楽しみでした」(福士)。自身の声優ぶりを「自分ではないキャラクターから、自分の声が聞こえるのは不思議であり、新鮮な感覚です」と語る。
元海兵隊という設定上、英語のセリフも多いが「実は中学の頃、先生に英語の発音を褒められて以来、英語が大好きになって、自分でもずっと勉強を続けてきた」そうで、心配はなかった。それだけに「隣にパトリックさんがいるので緊張もしましたし、実際に自分の英語を聞いてみると、もっとうまくできたかなって反省も。次回機会があれば、もっと完璧に近づけたいですね。海外進出? そのためにも英語ですね」と意欲を燃やす。
初声優で学んだのは「声に色をつけること」だといい、「ふだんのお芝居と大きく違う点で、自分にとっても新鮮でした。例えば、今後コメディをやるとき、『声に色をつける』という経験がうまく生かせるんじゃないかと思っています。声優をきっかけに、もっと面白いキャラクターを演じたり、コメディに挑戦できればうれしいですね」と抱負を語った。
パックンが演じるのは、元陸軍大尉で現在は軍装備品製造会社を経営するジャック・ウォルツ。恰幅が良い外見は、スリムなパックンとは正反対で「もし彼が和食を知っていたら、あんな体型にはなっていないはず」と笑いを誘う。セリフは日本語と英語、両方あり「両方こなせるのは僕しかいないでしょう?! まあ、それはさておき、僕にとっては、日本語のセリフを任せてもらえるのがうれしいですよ。設定にも感謝ですね」と語る。
本作では「英語監修」として、パトリック・ハーランの名前がクレジットされた。「台本を拝見して、細かい点でいくつか指摘させていただき、こちらから『ぜひ監修させてください』とお願いしました。テイクを重ねるごとに、より自然で心地よい映画になったと思います。自分自身も演技がやりやすくなったし、もし蒼汰さんもそう感じてくれたなら、うれしいですね。蒼汰さんの英語? いや、もう言うことなしですよ」。
約20年前に来日した目的は「俳優になること」だったといい、「たけしさん(北野武監督)の映画に出演し、スカウトされて、東京経由でハリウッドデビューしようと思っていた。計画通りにはいかないものです」。だからこそ、声優としてコナンと共演するのは「光栄」だといい、「何より声優の皆さんの素晴らしさに感動しました。仲間入り……というのは恐れ多いですが、ご一緒できて感謝しています」と思いは格別だ。
シリーズ18作目となる本作では、東京で連続狙撃事件が発生。捜査を始める江戸川コナンと女子高生探偵・世良真純は、被害者の関連性から、米海軍特殊部隊ネイビーシールズの存在にたどり着く。コナン、警察、FBIを巻き込んだ劇場版ならではのスケール感が大きな見どころだ。
「長年、コナンくんが愛される理由は、すべての世代が楽しめる要素があるからだと思います。子どもにとって、コナンくんは接しやすい距離感だし、スケボーやサッカーボールなど楽しいアイテムがいっぱい。それと同時に、ストーリーには大人も迷わせるミステリーがありますからね。好きなキャラクターですか? もちろん、コナン君も格好いいけど、僕は工藤新一派です」(福士)
「今回でいえば、兵士の心の傷というシリアスなテーマを取り上げている。アメリカのアニメでは、まずお目にかかれないですよ。アクション描写はハリウッド顔負けだし、親子そろって楽しめるエンタテインメント性はさすが。僕が演じたジャックは決して善人ではないけど、家族思いの一面が見えるシーンもあって、共感ができた。キャラクターの“深さ”も大きな魅力」(パックン)