やさしい本泥棒のレビュー・感想・評価
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タイトルに騙されました
タイトルからちょっとコメディっぽい映画だと思ったら全く違ってました。ナチス政権下のかなりのシリアスものでした。ナチスものでハッピーエンドはありえないかと思っておりましたが、案の定想像以上に悲惨な結末でした。特に好きだったリーゼルのために、冷たい川の底に落ちた本を潜って拾ってあげた金髪の少年も結局空爆で死んでしまったのは実に切なかった。ただ、リーゼルとマックスが生き残っていたのは救いでした。
『永遠にレモン色の髪をしたあの少年も』
『永遠にレモン色の髪をしたあの少年も』レモン色?
図書館に『我が闘争』を置く事をどう考えるか?
図書館の自由と言うものがある事をご存じだろうか。
しかし、ヨーロッパでは、『我が闘争』を図書館に置く事は出来ない筈だ。
だがしかし、
日本は置ける。
それはともかく、ドイツよりも長くアメリカと戦った日本にはナチス・ジャパンはいなかったのか?いたとすれば、彼らは責任を取ったのだろうか?
大日本帝國の場合、なんだかんだ言って、誤魔化して来た歴史があると思う。誰かを利用して、数人の戦犯をアメリカに粛清させて、生き延びているんじゃないかなぁ?
しかし、当事者はもうこの世にはいないのだから、真実を明らかに出来ない。つまり、絶滅危惧種大和民族のアイデンティティと大和民族としての本当のナショナリズムの欠如が邪魔してんだろうね。残念だ。
この少女は連合軍に人生を翻弄されている事を先ずは理解させたいのだと思う。
英語でなぜ演じさせたのか?それだけが画竜点睛を欠く事になった。
天才子役!彼女のキャリアが伸びますように
どうやら、有名な原作をもとに映画化されたようですが、不覚にも私は聞いたことのない作品です。ただ、なんとなく気になるタイトルだったので見てみたら、主役の女の子にすっかり魅了されてしまいました。
『ギリーは幸せになる』(別タイトル『ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常』)で主役のギリー役を演じきったのが2016年。16歳の時。
映画的にはお父さん役のジェフリー・ラッシュが先にクレジットされますが『やさしい本泥棒』の主演を務めたのが13歳の時。まさしく天才。この少女は見る人に何かを伝える演技をもっています。
ナチス政権下のミュンヘンを舞台に、およそ5年間の戦争体験が綴られますが、ちょっと大人びた表情まで、見事に演じ分けます。
ドイツ人ですら、生きるのが大変な時代だったのだと、あらためて知りました。ましてユダヤ人は、歴史で語られる通り、いわれのない迫害を受け、生命と財産を容赦なく奪われます。
そんな時代に必死で生きた人々を、少女の目を通してていねいに描いた感動作。少し長めですが、おすすめです。
印象的な主題をさりげなく繰り返す音楽も、出しゃばり過ぎずに場を盛り上げてくれますが、なんとあの巨匠ジョン・ウィリアムスが手掛けていました。
ただし、ストーリーテラーを担当するのが「死神」で、映画の最後までその姿を見せませんが、彼がそれぞれの魂を迎えに来た時に、その人間がどう生きたかを総括するような役割を果たしています。この演出にはちょっとついていけません。
「人間はいつか死ぬ。じたばたするな。自己紹介が遅れたが、どうせすぐ会える。生きている人間とは距離を置く主義だ」「だが、この少女リーゼル・メミンガーは、なぜだか気になって惹きつけられてしまった」こんな調子の語りで、物語が進行していきます。小説を綴るうえで避けられないのが、一人称か三人称か、誰目線で物語を進行していくかと言うことですが、かなりの変化球で、あたかも登場人物の生殺与奪を「死神」が握っているかのような誤解を受けます。
実際には、死神の目を通して見た戦災孤児の物語なだけで、たとえば孫がおばあちゃんに聞かされた昔話でも、焚書から焼け残った本を守った少女の言い伝えとでも、どうにでも語ることが出来たであろうに、わざわざ死神目線で物語を進行するなんて、原作に引きずられ過ぎです。せめて彼らの死に際を見つめている人なり、人間以外の何かが映っていれば、話をすんなり理解できただろうに、演劇におけるナレーターと同じ働きにしか思えないので、「死神」である必要があったのか?と。感じました。
この映画は、死神の目を通して語られる、数奇な運命をたどる魅力的な少女の物語ですが、死神の能力は一切使われません。ただ死んだ人間の魂を迎えに行くだけのことなのに、てごころを加えて「この人間はまだ生かしておきたい」とか、そんな展開を期待してしまいます。
それ以外は本当に素晴らしい、心に沁み込んでくるようないい映画でした。
ソフィー・ネリッセ。いつか大女優になり、人々に感動を届けることを期待します。
2017.11.21
戦時中のドイツで、字を読めなかった少女が本を通して人々と交流し、心...
戦時中のドイツで、字を読めなかった少女が本を通して人々と交流し、心を開いていく。
時代の波に逆らえず、人間として当たり前な行動が出来ない時代。
ましてや戦時中にはとても勇気がいること。
そんな中でも信じてわずかな望みでも見出そうとする人々がいた。
キャストも素敵でそれぞれに思い入れができた。
とても切なく涙するシーンもあり、そして少女が健気に行動していることに、観ていて何か希望が持てるような映画でした。
1938のドイツで、両親が共産党員だったので里子に出されることにな...
1938のドイツで、両親が共産党員だったので里子に出されることになったリーゼル(ソフィーリネッセ)。ハンス(ジェフリーラッシュ)とローザ(エミリーワトソン)という夫婦の家にもらわれる。この家族と、リーゼルが越して来たその日に一目惚れしてきたルディという少年。ハンスの命の恩人の息子マックスというユダヤ人の青年。の5人が主なキャラクター。
ナチス支配下でハーケンクロイツ掲揚しないと反逆とされてた時代に、人間らしく生きた人々がいたみたいな映画。
ローザが最初は凄い憎たらしくて、目を尖らして二言目にはロクデナシと罵るどぎつい感じの女性なんだけど、それは生き抜く為のポーズで実はめちゃめちゃ優しい。
マックスが回復したのをわざわざ学校の教室にきてリーデルに知らせる場面や、夫を徴兵された後でアコーディオン抱き抱えて疲れて眠る姿に泣けた。まさかこの人に泣かされるかという感じ。
リーゼルの弟が冒頭で死ぬんだけど、その時に墓堀り人の手引書という本を拾う。字が読めないリーゼルだったがハンスと一緒に最後まで読む。その後ナチスの命令で街中にある本が集められて燃やされるんだけど、燃えカスの中からまだ形のある本を拾うリーゼル。その様子を遠巻きに見ている人がいてヒヤヒヤするんだけど、これキッカケで沢山の本を読めるようになる。
親衛隊とかゲシュタポに連れてかれるから迂闊な事は出来ない中で、本を通じて言葉を学びリーゼルが成長していく物語。凄く良かった。
泥棒じゃなくて借りているだけ
2021年5月29日
映画 #やさしい本泥棒 (2013年)鑑賞
ナチス政権下のドイツを舞台に、里子に出された少女が、読み書きを学び、本に出会い知識や希望を得るが、ナチスは読書を禁止する。本を読むこと、正義を貫くことについての感動作で、
良作。ドイツ映画っていい!
#ソフィー・ネリッセ が魅力的です
さりげないやさしさで溢れた映画
悲しい映画ともいえる。あっけなくみんな死んでしまう。
でも、それと同時に人間の美しさにも気づかせてくれる。
リーゼルをひきとった父も、言葉がキツくて怖いように見える母も、隣に住む少年のルディも、そして市長の妻も、みんな心根が優しい。
だからこそとっさに庇って、目をつけられることも。でも行動は間違っていない。そうするしかなかった。
最初は言葉が読めなかったリーゼル。父と一緒に勉強し、本を読む楽しさを知る。
そして言葉がマックスとの繋がりとなり、彼女自身の糧にもなっていく。
言葉にすること、それを残していくことの大切さを思った。
素晴らしかった
里親映画と教えてもらって見る。里子と言っても、けっこう大きくて里親も我が子として育てようなどという気持ちは特になさそうで、しかもママは意地悪ばあさん。しかしユダヤ人をかくまうことで、チームとして一体となり親子や家族などを超越したかのような連帯感が芽生えて行く。親子や家族であっても心がバラバラなケースもあるだろうから、それよりも心と心が結びている関係が育まれるならなんだっていいのではないかと気づかされる。
空爆でみんな亡くなってしまうのだけど、ユダヤ人の青年と再会できて涙が出た。
活字に魅せられた少女をとおして自由を束縛されたナチスドイツを端的に...
活字に魅せられた少女をとおして自由を束縛されたナチスドイツを端的に描いている。
キャスティングの上手さとしっかりとした構成でむずかしいテーマを完成させた作品。
心の奥底に響く作品。
大好きな映画がまた増えた!!
色彩も、
音楽も、
キャラクターも
衣裳も…
何から何まで好きな作品。
やさしい涙を流せる一本。
自分も本が好きだから、他人事ではないのです。
おてんばなリーゼルと、
周りのみんなが大好き。
サントラも気になる!!!!!
「サラの鍵」には敵わない
ちょっと期待外れ。すごく自分好みの内容で、評判も悪くなかったので楽しみにしていたのだけれど。よくよく考えたらこれも英語か。さすがに「縞模様のパジャマの少年」ほどの違和感はなかったけど、やっぱりみんな英語なのはおかしいし、この作品は中途半端にイエスとかノーに相当するとこだけドイツ語で、逆に違和感を助長している。
それを無視したとしても、なんだかいろんな内容を詰め込み過ぎた印象があった。もう少し主人公とMaxの関係に絞ったりした方が何の話をしたいのかがはっきりしてよかったと思う。やっぱりホロコーストやこの時代背景でいえば「サラの鍵」か「ライフ・イズ・ビューティフル」が一番かな。
過酷な状況下でも支えがあればこそ生きていける
世界的ベストセラーの映画化。
1938年、ドイツ。母が共産党員故、里子に出されたリーゼル。ある時広場で焼かれた本の中から一冊を盗み、本に魅了された彼女は、本を通じて読み書きを覚え、本を糧に厳しい時代を耐え抜く…。
戦争×子供という鉄板ジャンル。
個人的にも、戦場シーンは描かず戦時下の庶民の姿を通して戦争の愚かさを訴えるという好みの作風。
レンタルを密かに待っていた。
戦時中のドイツ言うと、悪いイメージしかない。
でもそれは、あのちょび髭独裁者とそれに心酔した者たちのせい。
一庶民には何の罪も無い。戦時中の日本や今の北朝鮮も然り。
いつだって庶民は振り回される犠牲者なのだ。
ヒロインのリーゼルも過酷な道のりを歩む。
その時支えになったのが、本。
本を通じて広がる、知識や考え。
ろくに読み書きも出来なかったリーゼルが終盤、爆音響く防空壕の中で覚えた本を語り聞かせるシーンは、ジ〜ンとさせるものがある。
演じたソフィー・ネリッカは実力派女優として成長するだろう。
もう一つ、リーゼルの支えとなったのが、周りの人々。
里親のハンスとローザには、実の親と変わらぬほどの温もりを感じた。
演じたジェフリー・ラッシュとエミリー・ワトソンはさすがの名演。
いつも優しいハンスといつも怒ってるローザは、「赤毛のアン」のカスバート夫妻を思い起こさせた。
友達となる少年ルディはちょっとウザいが、純真。
里親夫妻が匿う事になったユダヤ人青年マックス。この時代、バレればタダでは済まされないが、人としての正しさを訴える。
監督ブライアン・パーシヴァルは本作が映画監督第一作目とは思えない正統派の演出。
エンタメ大作系とは違うジョン・ウィリアムズによる音楽も美しい。
また、ナレーションの“人物”がユニーク。
日本では昨年初夏公開だったのが、突然の中止に。
他愛無い作品なんかより劇場未公開がもったいない、見て損ナシの良作!
飛行機の中で
ちょうどドイツからアジアに戻る途中の機内にて鑑賞。
万時マークのナチス国旗など、先ほどまでいた国だけに、そこまで遠い感じがしない。
全体的に暗く、
私は苦手です。
ストーリー的には結構好きなんですけどね(*^◯^*)
Rudy男前ですw
強く反戦を訴える
ドイツ系オージー作家、マルクス ユーサックのベストセラーを映画化した作品。作家はまだ若い人でメルボルンに住んでいる。自分が祖母から子供の時から聞かされてきた体験談を、自分だけのものにしておくのが惜しいので、少しでも多くの人と共有したくて、6年あまりかかって小説という形で完成させた、という。原作は、若い人のみずみずしい感受性が現れた詩のように、美しい文章で描かれている。
ストーリーは
1938年、ドイツ。ヒットラーを総督とする軍部の力が日に日に増強している。公然と赤狩りが行われ、共産主義者や自由主義者が、地下に潜伏しなければならなくなっていた。共産党の活動家だった両親は、二人の子供を養子に出すため汽車で移動中だったが厳しい逃亡の末、男の子は病死する。残った13歳の女の子ライゼルは、ベルリンの街に着き、無事に養父養母に引き取られる。男の子を引き取るつもりでいた養母ローザは、ライゼルを見て落胆を隠さない。いつもガミガミ夫やライゼルをしかりとばしているばかりの養母の態度に傷つくライゼルだったが、養父ハンズは優しく、ライゼルを一人前の女性のように扱ってくれた。
ライゼルは13歳になるのに字が読めない。隣の家の仕立て屋の息子ルデイーは、ライゼルといち早く仲良くなり、字が読めずに学校で馬鹿にされるライゼルに親切にしてくれる。二人はすぐに無二の親友同士となる。養父ハンズはペンキ屋だった。家は貧しく、養母はお金持ちの家の洗濯物を引き受けて小銭を稼いでいた。貧しくて家族の食費捻出にも苦労していたこの家庭に、ある夜マックスというユダヤ人の青年が助けを求めて転がり込んでくる。栄養失調で衰弱していて介護が必要だ。養父とマルクスの父親とはかつての戦友で互いにどんな時でも、どんな状況に陥っても互いに助け合うと誓った中だった。ハンズとローザは迷いなくマルクスを迎い入れて、かいがいしく世話を焼く。マックスはやがて回復して、ライゼルの読み書きの勉強を助けて、頼もしい話し相手になる。
ライゼルは本が読めるようになって嬉しくて、本が好きで好きでたまらない。しかしナチス軍政を支える市民は、軍に忠誠を誓うために街に本を持ち寄って焼きつくすイベントを繰り返していた。今や文学などに浸っている時期ではない、ヒットラーのナチスドクトリンだけを読んで強いドイツを統一しよう、という社会運動が広がっていた。ライゼルもルデイも いやおうなく学校からこういった市民の集会に参加して、ヒットラーを讃える合唱曲を何の疑問もなしに歌うが、内心では、ライゼルは、焼かれていく本を見ていて、ひとりで胸を痛めていた。本が読みたい、今まで知らなかったことを沢山教えてくれる知識の源を、もっと自分のものにして心を豊かにしたい。ある夜、ライゼルは、街で焼かれた本の山から一冊の、まだ焼却されていない本を盗んで自分のコートに隠して持ち帰る。そこを車に乗った夫人に観られてしまった。それが、あとで養母ローザの洗濯物を届けに行ったときに、市長夫人だったことがわかって ライゼルは、叱られるのではないかと怯える。しかし、市長の妻はライゼルを自分の家の図書室に導いて、いつでも本を読みたいときに訪ねてきて良いと言ってくれた。本を自由に読むことを許されてライゼルは嬉しくてたまらない。家に帰れば読書好きの自分を温かく見てくれる養父ハンズが居り、何でも知っているユダヤ人のマックスが居てくれる。ライゼルは幸せだった。
しかしマックスが隠れる地下室は冷たく湿気が多い。隠匿生活も2年を過ぎるとマックスは重い肺炎になって死線を彷徨う。ライゼルは毎日マックスの枕元で本を読み聞かせた。彼は何の反応も見せない。しかしライゼルは物語が人の命を保つための気力を与えてくれると信じて、祈るような気持ちで、毎日市長の家から本を持ち出してはマックスのために本を読んだ。家族の懸命な介護のおかげでマックスは奇跡的に回復する。
しかし戦争が広がり、ユダヤ人迫害が、日に日に激しくなっていた。ある日近所に住む青年がユダヤ人の血が混じっているというだけで、軍に引き立てられていった。ハンズはそれを見て、たまらずに軍人たちに向かって連行を妨害しようとする。その事件によって彼は反政府危険分子のレッテルを張られて、すでに中年を過ぎて老年に達しているのに兵役に徴兵されて前線に送られる。地下に隠れていたユダヤ人のマックスは其れを機会に、家族の安全のためにひとり出ていく。
しばらくして、ハンズは前線から傷を負って帰ってくる。やっと家族がそろって過ごせる幸せも、長くは続かなかった。ベルリンの街が爆撃され、ハンズの家も直撃弾を受け倒壊した。朝になって、ハンズとローザの冷たくなった遺体が掘り出される。ライゼルは夜中まで地下室で本を読んでいたため生きて、がれきの中から助け出される。しかしライゼルの目の前には、変わり果てた虫の息のルデイが横たわっていた。ルデイは力なくライゼルに微笑みかける。ライゼルは心から本心だったアイラブユーを彼に伝え、ルデイの消えていく命を抱きしめてキスをしたとうお話。
ライゼルは再び孤児になり、紆余曲折の末アメリカに渡り結婚して子供を産み、自分の経験を子供や孫に語り聞かせた。それを今は、オーストラリアに住む孫が書き留めて本にして、ベストセラーになった。
ドイツ人夫婦を演じているジェフリー ラッシュと、エミリー ワトソンという熟練役者が素晴らしい。エミリー ワトソンは100%ロンドン生まれのイギリス人だが、ドイツ人特有の 飾り気ない素朴でがさつで怒鳴り散らしてばかりいるが、強くて心は温かいドイツ人のおっかさんを演じている。100%オージーのジェフリー ラッシュも貧しいペンキ屋で自分たちが食べていくだけでも大変なのに、地下にもぐった活動家の娘を養女に迎え、見つかれば家族ごと処刑されるのを覚悟でユダヤ人を、二年間もかくまったりする、度胸のある頑固親爺をしっかり演じている。彼らの姿を見ているだけで勇気が湧いてくる。
主人公にライゼルを演じた13歳の役者、ソフィー ネリスの可愛らしいこと。この少女に恋する14歳の役者二コ ラースクも負けずに可愛らしくて、二人がかけっこをしたり、ナチ教条主義の同級生に虐められたりする姿に目が離せない。
ナチズムの波が徐々に 普通の市民の生活の中に浸透していく姿が恐ろしい。人々が物をいうのを控えるようになり、自由な行動をとらなくなり、互いに顔を見合わせながら押し黙っていく一方、軍人たちが自由自在にのし上がっていく様子が手に取るようにわかる。昨日の人が、今日になると別人のようにナチ礼賛者になっている。学校で組織化されたナチ少年隊が声高らかに威勢の良い歌を合唱し、本を焼き、軟弱者を虐める。昨日までサッカーボールを追いかけていた少年が、今日はナチ少年隊の制服に身を包みナチドクトリンを斉唱している。自分と同じことをしない少年を、臆病者と決めつけて暴力をふるう。異端者や落伍者を作り出して虐めることによって、集団を強化する。集団ヒステリーの中で自己陶酔する。
そういった先に、どんな結果が待ち構えているのか 私たちはすでに知っている。だから、それだけに時の力に巻き込まれて自分の口を閉ざしてしまうことの誤りを強く認識させてくれる。「本を焼く」という、長い人間の歴史を作り出してきた知の集積を否定するような社会を再びどんなことがあっても許してはならない。この映画では、ベルリンに戦時下暮らしたドイツ人家庭の姿を描くことによって、反戦を強く訴えている。とても良い映画だ。しみじみと、作者のおばあさんへの愛情が伝わってくる。
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