「映画化が20年遅かった」寄生獣 完結編 shadow-81さんの映画レビュー(感想・評価)
映画化が20年遅かった
【一回目観賞の感想】
原作との最も大きな改変は、里美がミギーの存在を中盤で知ってしまうという所だろう。
このために不評のセックスシーン(シーン自体は原作にある)があそこに挿入されたと思われるが、これが最終的に本作品にとってプラスになったのかマイナスになったのか、テーマの一つを根本的にひっくり返してしまったのかそれとも些末な点なのかは、もう一度観てゆっくり考えてみたい。
しかし、脚本、演出、演者、特撮、編集、音楽、どれも全体的に出来が良くて驚いた。邦画もバカにできない。
【二回目観賞の感想】
セックスシーンはおそらく、結局人間はこうやって子孫を残すことが大事なんだよ~、みたいなイメージを伝えたかっただけだろう。
以下、気がついた点。
主役の男の子は、言われたままの演技。若いのもあるが、根本的に演技のセンスがないと思う。
対して、深津絵里の狂気じみた演技は素晴らしい。この圧倒的な演技力を観るだけで価値がある。
後藤とのラストシーンでの主役の台詞で、この監督が原作を理解していないことが分かった。
全体的な説教臭さに反発する若い人がいるのは解るが、これは原作通りで、そもそも岩明作品に共通しているもの。
やはり20年前の作品。映画化が遅すぎた。原作通りの演出では苦しい。特にエピローグはアレンジして良かったと思う。
>このために不評のセックスシーン(シーン自体は原作にある)があそこに挿入されたと思 われるが、これが最終的に本作品にとってプラスになったのかマイナスになったのか、 テーマの一つを根本的にひっくり返してしまったのかそれとも些末な点なのかは、もう 一度観てゆっくり考えてみたい。
新一と里見のラブシーンをどう評価するべきか・・・・
映画の流れにうまくマッチしていたか否か確かに迷うところですね?
でも、あそこにあの濡れ場を入れた事により、激しいアクションや生々しい殺害
によるストレスの緩衝帯となって観客の心を休めてくれましたね。
また、戦いの連続に疲れ爛れた新一の心身を、穢れない乙女の肉体で受け止めい
やし、新一の立ち直りに大きな効果を果たし、映画のストーリーをより豊かに高
目ていたように思います。
スメタナの交響詩我が祖国の「モルダウ」を連想してしまいました。女性は何で
も受け入れ運び去って人々を育んでくれる河なんでしょう・・・
この映画に橋本愛さんが起用された意義はここにあって、彼女の演技の幅をさら
に広げるものになるでしょう。彼女の年齢を超えた思い切りの良い演技に敬意を
払いつつ更なるご活躍をお祈りしたい!