エヴァの告白のレビュー・感想・評価
全32件中、1~20件目を表示
Feminist Drama with Superb Cast
David Grey has proven to be of the best auteurs this century, both defying and fulfilling expectations with his two most recent Lost City of Z and Ad Astra. His earlier films skirted our attention when they came out, but look back and see they are outstanding vehicles for all performers and technicians involved as well as fine films in general. Renner shines. Cotillard is gorgeous. Phoenix shocks.
様々な感覚を覚えてしまう作品
2014年 少し前の作品
この物語は一言で片づけられない。
受け取った感覚も複雑だ。
邦題では主人公エヴァによって、物語の中で明かす真実や心情を象徴する表現で、よりドラマチックな印象を与えるが、原題名である「移民」はエヴァの立場や社会的背景に焦点を当てたシンプルかつ象徴的なタイトルとなっている。
時代背景である1921年
第1次世界大戦が終わったころで、妹の症状に見られるスペイン風邪
加えてこの年から始まった移民の制限 禁酒法
エリス島という場所 エヴァのような移民にとって非常に厳しい検査があった。
さて、
この物語に登場する似たような言葉
ゴミ 自由 神
ゴミは、移民船の中やごみのような生き方 そしてブルーノが自身を表現したクズ野郎
自由は、自由の女神像 移民が求めたもの
神は、エヴァ達キリスト教徒にとっての絶対 教会 聖母マリア
そしてブルーノ
彼は移民局でエヴァを見る。
彼は移民の中から「モノ」になりそうな女性をピックアップしていた。
商売はショーと売春
結局、移民などはこのようなことでしかお金を得る手段はないのだろう。
しかし、ブルーノはエヴァの美しさに惚れてしまう。
この彼の想いは最後のシーンによく表れていたが、そもそもブルーノはエミールと違い誰かを本気で好きになったことがなかったのかもしれない。
それがどんなことなのか、初めて経験しているのでよくわからない。
エヴァは掛け金を盗んだ。
それを見て見ぬふりをしておきながら、軽いスキンシップさえ拒むエヴァを激しく問い詰めた。
この時点でブルーノにはまだ恋心のようなものは無かったのだろう。
他の女性と同様のことをさせているうちに、徐々にブルーノの気持ちに変化が現れたのだろう。
移民とか女性は商売道具
ただし、手厚く保護することで、彼女らは言うことを聞き、思い通りになる。
お金が必要だというエヴァに売春をさせることもいとわない。
同時に感じる違和感
みんな同じ仲間のはずが、エヴァだけが贔屓されていることに仲間の一人が気づき始める。
少しばかり手にしたお金で叔母宅へ行き、翌朝警察に通報される。
この叔父の所業は、文字通りクズだろう。
警察にもコネがあるブルーノは、移民局へ移送されたエヴァを引き取りに行ったが、この時すでに彼の中には特別な思いがあったのだろう。
この彼の特別な思いが何だったのか?
ここが余白として秀逸で面白いが、ひとことで言えない。
移民がブルーノの元で働きながら自分なりの生き方を作り、それなりに幸せ感を持っているのが通常だった。
ところはエヴァはブルーノに助けられておきながら、彼をクズだと揶揄する。
彼女の視点は移民局に拘束されている妹を助け出すことだけに当てられていた。
この変わらない人間性を持った人物を、彼は見たことがなかったのだろう。
エヴァの言う通り、移民を囲って大儲けするブルーノ自身の人間性が、それしかないからそれをすせざるを得ないエヴァという人物の生き方とブルーノの生き方を比較させるのだろうか?
エミールとの出会いと、彼がエヴァを気に入ってしまったことをいち早く察知したブルーノ
ケンカ ナイフでの脅し そして殺人に至ってもなお、エヴァへの想いを変えることができない。
ブルーノは自分の生き方を神に問われれば、罪だと答えるしかない。
妹を必死で助けようとしているエヴァとの違いは根本的なもので、お金で買えるものではない。
それに気づいた時、ブルーノが最後にできることは、その奥の手を使わずにいたことで、それとはお金で妹を施設から出すことだった。
できることをしなかったのは、そうなってしまえばエヴァは確実に去るからだ。
それは随分前からわかっていたこと。
だから自身をクズ野郎と言った。
移民
あるアメリカ人から見た移民
それはお金を生むもので、単なる商売道具だが、それで彼女たちが幸せであれば文句はないはずだと考えていた。
ブルーノはそんな一般的な移民を数多く見てきて、そう結論付けていた。
しかし、ポーランドから来た娘は違った。
妹を何とか救いたい一心でお金を作っていた。
「恥を知れ」
お金を盗んだ彼女にそう怒鳴ったが、その言葉はそのままブルーノ自身に返ってきた。
警官にボコられ、フラフラになりながらエリス島にやってきた。
妹と再会出来、船に乗って去るエヴァと、鏡を通して部屋から去るブルーノの姿は、完全に別世界を意味するのだろう。
不可能なことを、あらゆる手段を使って成し遂げたエヴァ
彼女が勝ち取った「実」
反対に、お金儲けのために移民を使って働かせるという「現実」こそが正しい生き方だと思っていたブルーノだったが、人を想うということがどんなことなのかをエヴァを通して知ったのだろう。
目には見えないものは「虚」なのだろうか?
目に見えない心の震えは「虚」なのだろうか?
「実」だと信じてきた商売やお金
それさえ振り切ってまでエリス島にやってくるほどの心の震えのなかに、ブルーノは「実」を感じたに違いない。
物語は、決して交わることのない二人の世界を描いていたが、鏡の中のドアから外へと去ったブルーノは、自分が最後にしたことの意味を考え始めるのだろう。
生きていくのにも困難な時代(今も)
皆追い求めているお金とは、実際には虚構であって、自分自身をその自由意志で動かすものの正体こそ、心なのだろう。
象徴的で一言では駆られない物語だが、いい作品だと思う。
役者陣の熱演ぶりは良かったが…
物語が動くまでが長くて間がもたない
ポーランドからアメリカへ渡った移民の女性の苦難を、マリオン・コティヤール、ホアキン・フェニックス、ジェレミー・レナー、というなかなか贅沢なキャストで綴るドラマ。
コティヤール演じるエヴァとフェニックス演じるブルーノの関係性にレナー演じるオーランドが割って入って、どのように変化するのか、生きるための努力は罪なのか?罪人と赦しとは?
最後まで観ると上手に組上がったプロットに感心するのだけれど、そこに至るまでがよくない。
時代感などの映像面は申し分ないし、キャストの豪華さで普通に観ていられるものの、そこまで好きなわけではない三人だけだと間が持たなかった。
ある程度始めのうちに秘密の一端を覗かせてもらえないと何を思いながら観ればいいのかわからないし、勧善懲悪の単純な物語でもないのだからキャラクターの一面だけを見るわけにもいかず、ブルーノやエヴァの行動の意味とか、裏に隠されたものを推測しようもなかった。
とにかく、主人公エヴァに対してさえ、彼女が可哀想だと肩入れしていいのかわからず、気持ちの入れどころが見つからなかった。
邦題にもなっているエヴァが告白するところから本格的に物語が変化していくのだが、これがまあまあ後半の出来事で、そこまでの暗闇状態が長い。
終盤も終盤、ほとんどラストくらいになってようやく物語の核が見えてくるが、そんなに驚くような深さもないし、前半の退屈さを覆せるほどではなかった。
多分、二回目を観たらかなり感心するのではないかと思うのだが、現段階ではそのつもりはない。
マリオン・コティヤールかホアキン・フェニックスかジェレミー・レナーが画面に写っていればそれで満足っていうファンの方にはオススメ。
エヴァの人生を歪めた本当の原因は…。
それは入国審査(入国管理)という法制度の適正な運用を蝕んでいた「情実」というものではなかったでしょうか。
本来、エヴァについて言えば身元の引受けが確実でないこと、エヴァの妹については伝染性の病気があることで、それぞれ強制送還になるはずのところでした。
それが、なぜそうならなかったのか。
それは、ブルーノが入管当局に利かせていた情実(賄賂の提供)であったことは、間違いのないことです。
ブルーノとしては、強制送還になりそうな女性の中から「上玉」を選りすぐって連れ帰り、彼女にさせる売春の上前をはねて、糊口をしのいでいる訳ですから。
自分がせっかく潜り込んだアメリカに居着くためだけではなく、「病気の妹も助けるためには、もっと稼がなければいけない」という、ブルーノが利用した状況は、エヴァが売春することについての大きな原動になっていることは、疑いがありません。
そう考えてみると、結局は、情実に応じた入管当局が、直接にエヴァに売春を強いたのと、どこが違うことになるのか、よく分かりませんでした。評論子には。
評論子が在学した学校(大学法学部)の刑法の教員が、まるで壊れたテープレコーダー(今風にはICレコーダーというべきか?)のように、「法律の解釈・運用に携わる者は、斬られれば赤い血が流れる人間でなければならない」という趣旨のことを、繰り返し繰り返し言っていたことが思い起こされます。もう20年近くも前のことになりますけれども。
本作でも、ブルーノから賄賂を受け取って職務を捻じ曲げている入国管理官(?)たちは、自分たちがそうすることでエヴァにどれだけの苦痛を与えているかには(当たり前のことながら?)まったく無頓着です。
情実によって法制度の運用を捻じ曲げることの恐ろしさ、醜さを垣間見せて余りある一本だったと思います。評論子は。
悪い男
惚れた女に売春させるキムギドク『悪い男』てのがありましたが、手元に置いておく方法はそれしかなかったかなあと思いました。自分が客として愛人にするほどは余裕がないというからか、まあ単に自分に自信がなかったのかなと思ってしまった。一緒に妹を救い出してからが人生だったかもなのに。
マリオンコーティアールの善人でも悪人でもない顔相はよかった。
一方でホアキンはこの作だとずっとどこかすねてる男の演技で悲哀とか呵責とかよりただ可愛かったかな、という印象でした。
ジェレミーレナーが最後までどこまで信用していいのか読めない、終始怪気がたちこめていてよかった。
タイトルなし
移民はいつの時代も苦労が多い
移民船から降り立った時には何かギャング映画になるんじゃないかとヒヤヒヤしましたが、怪しい劇場という点では似たような暗黒世界だと感じてしまった。いや、ブルーノ、本当に惚れたの?惚れた女に売春させるか?と疑問符が漂いながら見続けてしまいました。
一旦逃げ出し、叔母夫婦の元へと駆け込むが夫が警察に通報。あっという間に入国管理局へと送られてしまう。そこの慰問団のマジシャン、オーランドと知り合うも、彼もまたエヴァに惚れてしまったようだ。実はブルーノとオーランドはいとこ同士だと発覚するも、女の争奪戦が始まってしまう。
ストーリーもあっさりしているし、主要登場人物3人の描写もあっさり気味。時間も短く感じたから、一体どこに重点を置いていたのだろうかと不思議な感覚にもなった。みんな貧乏で金銭欲ばかりが先行し、警察や移民局なんてのも贈収賄が横行しているところはいつの時代も同じなんだなぁと感じるし、神父への告解の答えもあまりにも容赦ないものだった。生きる希望だけは持ち続けたけど、なぜかいい未来も見えない・・・俳優の演技に助けられている作品。
人物描写の半端さ
キリスト教へのイブの抵抗
いい人ほど利用されて終わるのね
神からエヴァへの試練
エヴァへの告白っていうタイトルはちょっとえ?ってなっちゃうので私なら「神」っていうのを入れたい。
結構暗い映画でシリアスな感じ。そこがすごくいいし雰囲気が出ている映画だった。
エヴァは容姿が美しいし、移住してきた外国人ということもあり周りからも気に入られる。とくに男性から。
ブルーノはやはり最初はエヴァの容姿から好きになった。けれど妹のために身を犠牲にしてまで頑張る姿やブルーノを頼りにしたり教会でのことからどんどん内面にも惹かれていったのだと思う。でもやっぱり好きでも利用したり、そんな自分に気づいておきながらやっぱりお金のためにエヴァを利用する。そしてエヴァと一緒にいたいためにウソまでつき彼女を引き止めておく。
エミールもエヴァに惚れたのは容姿、そして雰囲気から。なぜ彼女が身を犠牲にして働いているのかは途中まで知らなかったけれど、何かあるのは分かっていたはず。そしてブルーノの近くにいるということ。ブルーノは危険だと知っているエミール。しかし彼はコネがあるから彼女を救えるのは彼だけ。それは分かっていたと思う。エミールはブルーノのとは対照的にいい人として描かれていたけれど、過去に何かはあったんでしょう。
ブルーノとエミールは従兄弟で昔は仲が良かった。エミールはなんとかしてエヴァを危険なブルーノから遠ざけて自分と一緒にいてほしかった。けれどブルーノはエヴァを愛していた。だから手放したくなかった。だから実の従兄弟であるエミールをとっさにナイフで刺してしまった。エミールは誰も殺す気はなかったのに。
ブルーノとエヴァの恋愛というよりは、エヴァへのブルーノの愛という感じだったと思う。一番最後のシーンがすごく印象的だった。エヴァが妹と船で去り、鏡にうつるブルーノは独りで去っていく。お気に入りです。
エヴァの告白というタイトルだが、告白はどっちのシーンのことだろう。エヴァがおばさんのところで生きることについて語るところだろうけれど、教会で自分の行ってきたことを告白するところとも取れる。
悪いのはエヴァでもブルーノでも神でもない。
悲しいい女と男
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