エヴァの告白のレビュー・感想・評価
全28件中、1~20件目を表示
Feminist Drama with Superb Cast
David Grey has proven to be of the best auteurs this century, both defying and fulfilling expectations with his two most recent Lost City of Z and Ad Astra. His earlier films skirted our attention when they came out, but look back and see they are outstanding vehicles for all performers and technicians involved as well as fine films in general. Renner shines. Cotillard is gorgeous. Phoenix shocks.
物語が動くまでが長くて間がもたない
ポーランドからアメリカへ渡った移民の女性の苦難を、マリオン・コティヤール、ホアキン・フェニックス、ジェレミー・レナー、というなかなか贅沢なキャストで綴るドラマ。
コティヤール演じるエヴァとフェニックス演じるブルーノの関係性にレナー演じるオーランドが割って入って、どのように変化するのか、生きるための努力は罪なのか?罪人と赦しとは?
最後まで観ると上手に組上がったプロットに感心するのだけれど、そこに至るまでがよくない。
時代感などの映像面は申し分ないし、キャストの豪華さで普通に観ていられるものの、そこまで好きなわけではない三人だけだと間が持たなかった。
ある程度始めのうちに秘密の一端を覗かせてもらえないと何を思いながら観ればいいのかわからないし、勧善懲悪の単純な物語でもないのだからキャラクターの一面だけを見るわけにもいかず、ブルーノやエヴァの行動の意味とか、裏に隠されたものを推測しようもなかった。
とにかく、主人公エヴァに対してさえ、彼女が可哀想だと肩入れしていいのかわからず、気持ちの入れどころが見つからなかった。
邦題にもなっているエヴァが告白するところから本格的に物語が変化していくのだが、これがまあまあ後半の出来事で、そこまでの暗闇状態が長い。
終盤も終盤、ほとんどラストくらいになってようやく物語の核が見えてくるが、そんなに驚くような深さもないし、前半の退屈さを覆せるほどではなかった。
多分、二回目を観たらかなり感心するのではないかと思うのだが、現段階ではそのつもりはない。
マリオン・コティヤールかホアキン・フェニックスかジェレミー・レナーが画面に写っていればそれで満足っていうファンの方にはオススメ。
エヴァの人生を歪めた本当の原因は…。
それは入国審査(入国管理)という法制度の適正な運用を蝕んでいた「情実」というものではなかったでしょうか。
本来、エヴァについて言えば身元の引受けが確実でないこと、エヴァの妹については伝染性の病気があることで、それぞれ強制送還になるはずのところでした。
それが、なぜそうならなかったのか。
それは、ブルーノが入管当局に利かせていた情実(賄賂の提供)であったことは、間違いのないことです。
ブルーノとしては、強制送還になりそうな女性の中から「上玉」を選りすぐって連れ帰り、彼女にさせる売春の上前をはねて、糊口をしのいでいる訳ですから。
自分がせっかく潜り込んだアメリカに居着くためだけではなく、「病気の妹も助けるためには、もっと稼がなければいけない」という、ブルーノが利用した状況は、エヴァが売春することについての大きな原動になっていることは、疑いがありません。
そう考えてみると、結局は、情実に応じた入管当局が、直接にエヴァに売春を強いたのと、どこが違うことになるのか、よく分かりませんでした。評論子には。
評論子が在学した学校(大学法学部)の刑法の教員が、まるで壊れたテープレコーダー(今風にはICレコーダーというへきか?)のように、「法律の解釈・運用に携わる者は、斬られれば赤い血が流れる人間でなければならない」という趣旨のことを、繰り返し繰り返し言っていたことが思い起こされます。もう20年近くも前のことになりますけれども。
本作でも、ブルーノから賄賂を受け取って職務を捻じ曲げている入国管理官(?)たちは、自分たちがそうすることでエヴァにどれだけの苦痛を与えているかには(当たり前のことながら?)まったく無頓着です。
情実によって法制度の運用を捻じ曲げることの恐ろしさ、醜さを垣間見せて余りある一本だったと思います。評論子は。
悪い男
惚れた女に売春させるキムギドク『悪い男』てのがありましたが、手元に置いておく方法はそれしかなかったかなあと思いました。自分が客として愛人にするほどは余裕がないというからか、まあ単に自分に自信がなかったのかなと思ってしまった。一緒に妹を救い出してからが人生だったかもなのに。
マリオンコーティアールの善人でも悪人でもない顔相はよかった。
一方でホアキンはこの作だとずっとどこかすねてる男の演技で悲哀とか呵責とかよりただ可愛かったかな、という印象でした。
ジェレミーレナーが最後までどこまで信用していいのか読めない、終始怪気がたちこめていてよかった。
タイトルなし
1921年戦時下
病に冒された妹を残したまま
出会ったブルーノの手を借り
ポーランドからアメリカへ渡ったエヴァ
そのブルーノは移民女性を働かせ
売春を斡旋する仕事を生業としていた
.
生き残るために身を落としたことに
罪の意識を抱くエヴァ… なんですが…🤔
.
『祈りは叶わず、希望はつぶされ
愛に裏切られ、ただ生きようとした。
それが罪ですか…』
のキャッチコピーに…🤔
.
エヴァの罪は
2人の男の人生を狂わせたこと😌☝️
.
.
思うことたくさん。
評価も様々ですが私は好きかな
移民はいつの時代も苦労が多い
移民船から降り立った時には何かギャング映画になるんじゃないかとヒヤヒヤしましたが、怪しい劇場という点では似たような暗黒世界だと感じてしまった。いや、ブルーノ、本当に惚れたの?惚れた女に売春させるか?と疑問符が漂いながら見続けてしまいました。
一旦逃げ出し、叔母夫婦の元へと駆け込むが夫が警察に通報。あっという間に入国管理局へと送られてしまう。そこの慰問団のマジシャン、オーランドと知り合うも、彼もまたエヴァに惚れてしまったようだ。実はブルーノとオーランドはいとこ同士だと発覚するも、女の争奪戦が始まってしまう。
ストーリーもあっさりしているし、主要登場人物3人の描写もあっさり気味。時間も短く感じたから、一体どこに重点を置いていたのだろうかと不思議な感覚にもなった。みんな貧乏で金銭欲ばかりが先行し、警察や移民局なんてのも贈収賄が横行しているところはいつの時代も同じなんだなぁと感じるし、神父への告解の答えもあまりにも容赦ないものだった。生きる希望だけは持ち続けたけど、なぜかいい未来も見えない・・・俳優の演技に助けられている作品。
人物描写の半端さ
エヴァの宗教観念から身を落としてしまう感情や嘆いている現状の起伏が乏しいように感じあまり感情移入が出来ず魅力的でも無い。
ブルーノは序盤からミステリアスであり徐々に感情表現が豊かになりエヴァよりも人間的で魅力的に演じたJ・フェニックスが良い。
感情表現が乏しい寧ろ棄てたようにも思えるエヴァに不器用な一方通行の愛を密かにブルーノの滑稽さと男と女の物語が地味に進む感じで!?
劇中であまり事が起こらないし主要人物の気持ちもイマイチ理解出来ず中盤以降から興味の持続も薄れて若干、退屈になった。
キリスト教へのイブの抵抗
男尊女卑のキリスト教へのイブの抵抗を根本に想定したのか。エヴァはイヴ。キリストは登場せず、聖母マリアに祈り続けたのが象徴的。渡米時点で妹と離れ、安全もないと感じたエヴァ。そこに声をかけた男が有力者と分かり決意した。美貌で売春し生きると。それは希望ではなく、確信だったのがこの映画のミソ。エヴァは美貌を確信していたから生きることに不安はなかったのだ。あとは男を利用するだけ。告白で全てがあきらかになる。金ずるの男ふたりがダメになり、叔母に無心するところがメーン。生きるためなら罪とは何?最後はやはり男を利用し、妹と旅立つ。男社会への抵抗は結実した。聖母マリアへの祈りは続く。
いい人ほど利用されて終わるのね
どうしようない貧困と、妹への想いで、体を売るしかないエヴァ。
マリオン・コティヤールの幸薄い雰囲気がぴったりの役柄でしたね。
ホアキン・フェニックスは『ウォーク・ザ・ライン』でも見事な堕落っぷりでしたが、本作品の方がクズっぷりは上(勿論誉めてます)!
冒頭から、この姉妹どうなっちゃうんだろう、と引き込まれましたが、後半も飽きることなく鑑賞できました。
殺人シーンはもう少し派手でも良かったかな~と思うので、星4.5です。
神からエヴァへの試練
エヴァへの告白っていうタイトルはちょっとえ?ってなっちゃうので私なら「神」っていうのを入れたい。
結構暗い映画でシリアスな感じ。そこがすごくいいし雰囲気が出ている映画だった。
エヴァは容姿が美しいし、移住してきた外国人ということもあり周りからも気に入られる。とくに男性から。
ブルーノはやはり最初はエヴァの容姿から好きになった。けれど妹のために身を犠牲にしてまで頑張る姿やブルーノを頼りにしたり教会でのことからどんどん内面にも惹かれていったのだと思う。でもやっぱり好きでも利用したり、そんな自分に気づいておきながらやっぱりお金のためにエヴァを利用する。そしてエヴァと一緒にいたいためにウソまでつき彼女を引き止めておく。
エミールもエヴァに惚れたのは容姿、そして雰囲気から。なぜ彼女が身を犠牲にして働いているのかは途中まで知らなかったけれど、何かあるのは分かっていたはず。そしてブルーノの近くにいるということ。ブルーノは危険だと知っているエミール。しかし彼はコネがあるから彼女を救えるのは彼だけ。それは分かっていたと思う。エミールはブルーノのとは対照的にいい人として描かれていたけれど、過去に何かはあったんでしょう。
ブルーノとエミールは従兄弟で昔は仲が良かった。エミールはなんとかしてエヴァを危険なブルーノから遠ざけて自分と一緒にいてほしかった。けれどブルーノはエヴァを愛していた。だから手放したくなかった。だから実の従兄弟であるエミールをとっさにナイフで刺してしまった。エミールは誰も殺す気はなかったのに。
ブルーノとエヴァの恋愛というよりは、エヴァへのブルーノの愛という感じだったと思う。一番最後のシーンがすごく印象的だった。エヴァが妹と船で去り、鏡にうつるブルーノは独りで去っていく。お気に入りです。
エヴァの告白というタイトルだが、告白はどっちのシーンのことだろう。エヴァがおばさんのところで生きることについて語るところだろうけれど、教会で自分の行ってきたことを告白するところとも取れる。
悪いのはエヴァでもブルーノでも神でもない。
悲しいい女と男
裏社会で売春を仕切る男に助けられてやがて売春で金を稼ぐことに。序盤で金を盗む場面やたり心許したマジシャンも死んでしまったり始終暗い。叔父夫婦にも裏切られる。最後はなんか少し叔母から金をもらい妹と生きていく。役者はフェニックスとジェレミーレナーはなかなか良かったしマリオンもなかなか良かった。
タイトル負け。
日本版タイトルとキャストに惹かれてみたけど、原題のThe immigrantの方がストーリーにあってるかと。終始あまり盛り上がりのない映画でした。地味なストーリーでも見られたのはまだキャスト力かも。ホアキンは個性派で名優☺︎
いいんだけど、あと一歩が欲しい
ジェームズ・グレイ監督への期待は私の中で変わらずにあり、こうやってやっぱり観ようという気持ちになるのです。そしてやっぱりこの監督を今後も観たいという気持ちにはなるのです。
でも、やっぱりあと一歩、何かが足りてない気が今回はしましたね。それが脚本なのか、演出なのか、詳しいことは分からないのですが、たとえば、もっと序盤はホアキン・フェニックスを怪しげに、胡散臭く、如何にも信用ならないように描いてくれてたら、もっと面白かったように思うんですよね。そんな怪しげな奴が実は良い奴だったりとか、そんでラストの告白に至ったりとか、そういう起伏がもうちょっと欲しかったかなぁ、と。
決して悪くない作品ですし、十分面白かったのですけど、やっぱり私としては『アンダーカヴァー』の時に感じた衝撃を期待しちゃってるんですよね。
1ミリとして動じない女の頑なさ
原題:「THE IMMIGRANT」 (移民)
監督:ジェームス グレイ
ストーリーは
1929年
ヨーロッパから戦火を避けて新天地アメリカに自由と平和を求めてやってきた難民たちを満載した船がニューヨークに向かっている。自由の女神を見つめる、人々の不安げな顔、顔、顔。彼らに戻れる故郷はもうない。船はエリス島の出入国管理局に到着する。
ポーランドから、この移民船に乗ってエバとマグダ姉妹は、遠い親戚を頼ってやってきた。故郷では両親を殺されて、生きていくための糧も失った。しかしエリス島の移民局で妹のマグダは結核を病んでいることを知られて、マグダは隔離され二人は引き離されてしまった。エバは身元引取り人の親戚に拒否されて、強制送還されることになる。病んだ妹一人をアメリカに置いて自分だけがいったん捨ててきた故郷に帰ることはできない。エバは、必死でそこを通りかかったポーランド語の通訳をしていた男に救いを求める。ブルーノと名乗る男は、いったんエバの求めを無視するが、懇願を繰り返すエバを不憫に思って、賄賂を係官に渡してエバを引き取る。
エバは、ブルーノに言われるまま、マンハッタンのアパートに落ち着く。移民局では一見紳士に見えたブルーノは、移民としてやってきた女たちを集めてキャバレーのダンサーとして働かせ、一方では売春させているような男だった。アパートの女たちは、恩人ブルーノのことが大好きだ。エバにもやさしく、気の良い娼婦たちだった。
ブルーノは、おとなしく付いてきたエバを、当然のように自分の女にしようとする。しかしエバは、恋愛の経験もない生娘だった。ブルーノはエバの拒否にあって、怒りまくった末、上客に売り飛ばす。エバは、妹を救い出してアメリカで暮らしていくために、仕方なく運命に身を任せる。しかし、ブルーノの怒りに触れて心底怯えて客を取らされたエバは、すきを見て娼婦館から逃げ出して、遠い親戚の家を探し出して保護を求める。何十年かぶりで再会した叔父と叔母は、ぎこちない笑顔でエバを迎い入れるが、翌日、エバを警察に引き渡し移民局に送る。叔父たちはエバが娼婦に身を落としたことを知って、不法入国者として通報したのだった。エバは強制送還されることになった。
そんなエバに、ブルーノが再び会いにやってくる。エバは、妹を取り戻すためにどうしてもアメリカに残らなければならない。ブルーノにいわれるままエバは娼婦館に戻った。ブルーノは、強い意志をもったエバに、次第に惹かれていく。もう他の女など、目に入らない。
一方エバは、キャバレーのマジックショーを演じているブルーノの従兄のオーランドという男と出会う。オーランドは一目で出会ったばかりのエバを愛してしまう。しかし密かにエバに会いに来たところをブルーノにみつかって殺されそうになる。ブルーノとオーランドの争いは警察沙汰となり、ブルーノは警察に拘禁され、オーランドは、別の土地に向かって巡業に出ることになった。遠く旅立つオーランドに、エバは自分の夢を語る。妹を引き取って、カルフォルニアのような温かい土地で二人で暮らしたい、それがエバの望みだった。オーランドは旅立ち、ブルーノは警察から釈放される。
しかしエバをあきらめられなかったオーランドは帰ってくる。ついに諍いの末、ブルーノはオーランドを殺してしまう。エバは教会で懺悔する。生きていくために、愛してもいない男に言われるまま身を落としてきた。そんな罪を犯してきた自分は神に許しをもらえるのだろうか。真剣に祈るエバの姿を見て,ブルーノは、エバを自由にしてやろうと心に決める。監視に賄賂を使って、隔離されている妹を引き取り、エバと妹にカルフォルニア行きの切符を渡してやる。エバは妹と再会して振り返りもせずにブルーノのもとを去っていく。エバを強制送還から救い出し、無一文だったエバに住居を与え、食べさせて世話を焼き、心から愛してきた。エバを横取りしようとする男を嫉妬から殺しまでした。エバを本当に愛してきた。しかし、エバは去り,ブルーノには何も残っていない。というお話。
マリオン コテイアールの頑なな信仰心と、超然とした美しさ。一方ホアキン フェニックスの酒と金とアルコールにどっぷりつかったダーテイーな姿が際立っている。二人とも、とても良い役者だ。どちらにも共鳴、共感できる。とても悲しい映画だ。
エバは娼婦になっても1ミリとして動じない。少しも譲らない。そんな自分を通していて、無垢な処女の強さと純粋さを維持している。それに比べるとブルーノはずっと人間的だ。移民で来て、生活に困った女たちや、不法移民を救い出して、娼婦にして小金をため、女たちといつも飲んで騒いで愉快に暮らすことが大好きな男だ。それが、とんでもなく美しい女に惚れてしまって自分の人生が狂ってしまう。ついに殺人まで犯して逃亡犯になったうえ、女をあきらめなければならなくなって、無一文となる。背を向けて、振り返らずに去っていく女に「自分はこの女の一体何だったのか」と、泣きじゃくる男を見ていて、ついほろっとなる。人は妥協して生きていくものなのに、一歩も譲らない女のために自分の人生を捨ててしまった男の悲しさ。譲らない女と、それの翻弄された男。何としても妹を自分が守って生きていきたいという強い願望と処女性。男からみたら、こんなジコチュー女のために自分の一生を棒にふることになって、こんなはずじゃなかった、というのが実感だろうか。マリオン コテイアールの美しさよりも、ホアキン フェニックスの落ちぶれ方に、すっかり魅せられた。
全28件中、1~20件目を表示