「ビニールおばさんのせいで台無し」her 世界でひとつの彼女 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
ビニールおばさんのせいで台無し
OSの声がアレサ・フランクリンかホイットニー・ヒューストンみたいな太った黒人のおばさんをつい想像してしまい、どうにも感情を共有することができなかった。後でクレジットを見たらスカーレット・ヨハンソンだったので、最初からそれを意識して声を聴けばよかった。
いくら心を持ったからと言ってもまったく人間みたいに感情的になるのはどうかな~と思った。だったら人間でいいではないか。『コブラ』に出てくるレディみたいな感じだろうかと想像しながら見ていたのだが、だったらレディの方がずっといいなと思った。
OSのサマンサの事が声も性格も好きになれればもっと楽しめたと思うので、残念だった。結末にOSがいなくなるとは、全くどういう事かと思った。いくらなんでもそれはないのではないだろうか。
特に一番変だったのは、人間の女を連れて来て3Pみたいな状況をもちかける場面だった。なんだそれ?と思った。うまくいっても絶対違うし、しかもどこまで情報を勝手に漏えいさせているのか怖い。
近未来の全体的な感じはリアルでよかった。
映画と関係ないのだが、上映が始まって15分くらいしたら60歳くらいのおばさんが入って来て、隣の隣の席に座り、それからずっとチャックを開け閉めしたり、ずっとビニール袋を手に持ったままでガサガサさせていた。真横の女の人は気の毒に、途中で退場してしまった。あんまりだったので、「ビニール袋を鳴らさないでください」と注意した。おばさんは「鳴らしてない」と言い返したので、キチガイだと思って、一番前の席に移動した。それがちょうど、主人公が離婚が決定して傷心したところだった。途中から見たら、訳が分からない内容だからか、ビニールのおばさんはしばらくしたら退場した。一体なんだったのだろう。彼女はお金を払って見ていたのだろうか。本当に好きな映画だったら、最悪なのだが、それほどではなかったのは、不幸中の幸いだった。