「Sad & Beautiful」her 世界でひとつの彼女 Alexaさんの映画レビュー(感想・評価)
Sad & Beautiful
新しいタイプの恋愛映画。今の時代にぴったりの作品だった。
OSに恋をするっていう話。それだけ聞いたらただの寂しいやつ、狂ってるとしか思われないかもしれないけど実際は違う。
この映画の中では今よりもっと技術が進んでる。まだ紙の本が少し残ってるけどほとんどOSに生活を支えられている。友達や家族という存在の中にOSは大きな意味を持っていて人と関わらないわけではないけれども、気づいたらOSと話しているという状況で、熱中しすぎて周りが見えなくなることがあるようだ。
中盤まではすごくゆっくり物事が進む。その中で色んなシーンを入れることで飽きない。そこまででは、形の変わった恋愛もありで将来起きることがあるかもしれないと感じられる。友人などにどんなに言われても自分はOSと恋をしていると主張できるのは難しいが美しくも思える。
しかし問題も存在する。完全にネタばれだが、OSというのは気づけばみんな使っていて共有なものでもある。自分のために動いてくれて生活を支えられても、いつしかOSが一瞬でもなくなったとき、そして周りを見渡せばそのOSは自分だけのものではないと気づく。そして、一番怖いのは技術が進むにつれて新しいものが出てくることだ。新しいOSが出てアップデートが始まる。そして機能は良くなっても前に存在していたものが完全にいつか消えてしまう。これが現実であった。難しい話だけれも、どんなに技術が発展し住みやすくなっても問題は消えない。いや、消えないからこそ良いこともあるのだ。
やはり人間は人間によって一番支えられるのではないか。
余談だけれども、音楽も映像も本当に綺麗でキャスティングもうまかった。これ以上にBeautifulという言葉が似合う映画はなかなかないだろう。期待以上の映画で、久々にこんなに記憶に残るものを見つけた。やっぱり現代のこの時代に生きてるからこそ楽しめる映画であり、共感もできるのであろう。