アバウト・タイム 愛おしい時間についてのレビュー・感想・評価
全379件中、1~20件目を表示
名匠リチャード・カーティスが最後の監督作でたどり着いた柔らかな境地
日常の中でふと、この映画について思い出すことがある。自由な時間が無限にある若い頃には気づかなかったかもしれないが、大人になって、歳を重ねて、自分がもう後戻りはできないのだなあとつくづく感じる瞬間に、「時間」や「人生」について描いたこの物語の優しさと切なさがぎゅっと胸を締め付けるのだ。
主人公は代々、タイムスリップする能力を有している。が、どれだけ行使しようとも、決して完璧な人生が送れるわけではなく、むしろ大切なのは、誰か大切な人と共にある「ありふれた時間」ということに気がつくのだ。かくも登場人物が何ひとつ特別な何かを成し遂げるわけではないからこそ、観る者はそこに映画と現実の隔たりを感じることなく、彼らに深く共感せずにいられなくなる。ささやかだけれど、ここにリチャード・カーティスが「最後の監督作」として描きたかった境地があるのだろう。自分を見失いかけた時、そっと寄り添ってくれる名作である。
タイムトラベルは、日本映画のお家芸
「異人たちとの夏(1988)」は、英国でリメイクされている「異人たち(2023)」。古いソニーのラジカセが出てきたときに、日本に対する配慮が感じられたが、それは私のうがちすぎか。
それにしても、タイムトラベルは、この映画の本筋ではないと思った。確かに、前半では、さえない奥手のティムが、メアリーと出会う時、さんざん利用したことは間違いないにしても。後半は、むしろ父親が目立った。「生きる(1952)」のリメイク「生きるLIVING(2022)」で出てきた、私の好きな俳優さん、ビル・ナイ。彼は、ティムに二つの言葉を残す。普通の暮らしをすること、一日を二度繰り返してみること、その結果、何がおきたか。ティムは、タイムトラベルをしなくなる。
勿論、どうかなというところは一杯ある。タイムトラベルは、都合よく使われているし、父親ばかりで、母親の存在感が薄い。母の弟、デズモンドが出てくるのは何のため。でも、それも許したい。この話の下敷きには、英国のことわざ 'Have a skelton in the closet(誰にでも隠しておきたい秘密がある)'があったのでは。実際、セリフにも反映されている。
それでいて、あの若い二人は、本当に困った時、何が救いになるのか、よく知っていた。これが、一時は老大国と揶揄された英国の強さにつながっていたのでは。
舞台になったイングランド南西部コーンウォールの海が美しかった。映画「Mr.ホームズ」でも、近くの景色が出てきたが。
人生謳歌
25-083
初めて観ましたが、
きっかけ
オシャレな映画
メグ・ライアンに会いたい
愛おしい時間
何気ない日常を愛おしく味わうには、同じ日が2回必要だそうだ。
父親が教えてくれた。
そんな大切なこと息子を教えるタイミングもまた絶妙だ。
日常はあまりにも目まぐるしく過ぎてゆく。
一日を振り返る余裕もなく次の日が訪れ、1週間、1ヶ月が過ぎる。
元日には今年こそは豊かな時間を刻もうと心に決めた筈なのに。
ちょっと弾けた可愛い妹、キットカット。
彼女が交通事故に出くわすことと、ティムの子供が男の子に変わってしまうことを天秤にかけるシーン。
もし妹が事故で死んでしまう設定なら、ティムは過去に戻って事故を阻止するんだろうな。
なんてことを妄想しつつ、ハッピーストーリ、ハッピーエンドの映画に感謝。
原題の「About Time」に「愛惜しい時間について」を付け加えた人に拍手。
レイチェル・マクアダムス推し
思ってたんと違った!心にぶっ刺さる名作!
タイムトラベル・ラブコメだと思ってたんですよね。実際前半はそうでしたが、後半やばかったですね…。
前半ティムがチート無双過ぎて、笑えるんだけど共感出来ずになんだかなぁ…って感じで観てたんですが、キットカットが事故る辺りから雰囲気が変わってきて、ラストの頃にはいつの間にか涙が溢れて止まりませんでした。
過去に戻れるとしたらいつに戻る?なんてことは誰でも考えたことがあると思いますが、完璧な答えがこの作品にあります。観終えた後は自分の生き方に向き合って、人生の一瞬一瞬を大切にしたいと思える作品でした。
……などと言っておりますが、「最高の人生の見つけ方」や黒澤明の「生きる」を観たあとも同じようなことを思って、結局だらしねぇ生活を送ってるんですよね(笑)いや!観ていなかったらもっと酷い人生だったかも!こういう素晴らしい作品をたくさん観て、メッセージや意思を自分の心に蓄積させながら、少しずつ成長していきたいものです😊
一日一日を大切に
ある家庭で、男たちだけは特殊な能力を持っている。
それは《タイムトラベル》が使えること。
過去に戻り、やり直しはできるけれど、
未来には行けない。
方法は「クローゼットに入り暗くするだけ」
クローゼットを出ると少し過去に戻っていて、
やり直すことができる。
21歳になったティム(ドーナル・グリーソン)は
父親(ビル・ナイ)に特殊能力(タイムトラベル)があることを
告げられる。
ティムはほとんどを女の子との、出会いや告白とか、
ラブの成り行きに使っちゃうんです。
メアリー(レイチェル・マクアダムス)との、心温まる会話や
デート風景が楽しい。
これちょっと“反則では?“と思ったのは、
はじめてメアリーの部屋へ入った日のこと、
初ベッドインの一回目・・・
ティムは緊張して、ぎこちなく、やや不調‼️
そこで、クローゼットに入って初ベッドインの二回目・・・
さらに初ベッドインの三回目⁉️に挑戦、
妙に場慣れしてきて、メアリも、訝しがります。
(これって都合良すぎません?)
でも爆笑でした。
そんな調子で、気儘にティムは
妹ボーイフレンドを、、
遊び人から真面目な彼に交換したり・・・
思いの外、ほっこりするいい映画です。
何気ない日常の一瞬、一瞬が大事だと
気付かせてくれます。
時空を超えて、ちょっとユニークな
心温まる映画でした。
父の辿った道のり、息子が歩む人生
男だけに過去と現在を行き来できるタイムトラベル能力が受け継がれる一族。
21歳の誕生日に父からそれを告げられたちょっと冴えない息子が主人公です。
ヘマをする度に時間を戻ってやり直せる。なんとも魅力的な能力に思われますよね。
けれど、何度かのやり直しと父との対話を経て、人生で変えたいもの、変えたくないもの、変えるべきではないもの、変えてはいけないもの。それが主人公の心に形を成してゆきます。
プロポーズを決意するエピソードなんて、もう最高!
過去に戻ってやり直しをすれば、いつか理想の人生を歩めるのか?
その答えを求める人は是非、観てください。
同じ監督の別の作品がデジタル・リマスター版で公開されるに先立ち、見逃していた本作をAmazonプライムで視聴しました。
細部にわたるまで素晴らしい
ストーリーはもちろん、背景に至るまで作りが緻密で丁寧で、完全に没入。
泣けるし、見終わってからも、しみじみする。
日常美を描いた作品だと思う。
ちょっとしぼんだ気持ちの時に思い出したり、
とても楽しい気持ちの時にも思い出したりする、そんな映画。
好きだなあと思った細かいシーンは、主人公の妻(彼女の時も)が、眠くてベッドからでないシーン。たしか2回あったと思う。起きなきゃいけなくても眠くて仕方ないから無理、という感じで、そして幸せそうにすやぁっ、むにゃむにゃ、するところ。
日々の幸せと愛情を感じられている人にしかできない演出だなあと思った。実に細やか。
後悔の毎日
後悔ばかりの人生に祝福を与えてくれる映画
上手な生き方ができなくて、いつも後悔ばかりの人生。タイムトラベルの能力があれば、ぜひ使ってみたい誘惑にかられる。でも、この映画は教えてくれる。何度人生をやり直しても、結局は同じ。それよりも、未来から来た自分として、その日を精一杯生きること。そんな幸せの秘訣を、コミカルに教えてくれる。生涯ベストの映画です。
全379件中、1~20件目を表示