「理不尽な命令が何だ!貧乏が何だ!奇策で試練を切り抜けろ!」超高速!参勤交代 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
理不尽な命令が何だ!貧乏が何だ!奇策で試練を切り抜けろ!
参勤交代を終えたばかりの湯長谷藩(現・福島県いわき市)藩主・内藤政醇は、幕府老中の陰謀で再び参勤交代を命じられる。しかも、8日かかる距離を4日で。金も無い、人も無い、時間も無い、しかしやらねば藩が潰される。あれこれ策を巡らした奇想天外な参勤交代が始まった…!
まず、参勤交代なんて言葉聞いたの、学校の勉強以来(笑)
大名の威厳を見せ付ける為の行列だったっけ?…と、うろ覚え。
実際は、小藩にとっては存続問題。妻子を人質として江戸に住まわせ、一年おきに江戸へ往復させて将軍への忠誠を示させ、莫大な費用もかかり、財政をも圧迫させる。
さながら、権力を使った藩潰し。
これは正直、知らなかった…。
そんな参勤交代を、面白可笑しく描いた本作。
最初予告編を見た時はコントみたいだなと思ったもんだが、これがなかなかに面白い!
なるほど、口コミヒットも納得。
走れ!荷物は置いてけ!グルグル回って人数を多く見せろ!近道で山を行け!
知恵と工夫で江戸を目指せ!
しかし道中、トラブル続出。
はぐれるわ、隠密に襲われるわ、そして裏切り…。
期日は目前!間に合うか!?
単なるコメディに非ず。
時代劇の醍醐味、殺陣やチャンバラシーンも。
これがなかなか本格的。
時代劇と言ったら、人情も忘れてはならない。
用意していた行列要員に逃げられた時、偶然通りかかった知り合いの藩主の懐深さに思わず感動。
良き人居れば悪人も居る。
今回の無理難題を企てた張本人、憎々しい老中にやられてなるものか。
田舎侍、舐めんでねぇ!
貧乏藩でも困っている藩があれば無償で助ける心優しき藩主を、佐々木蔵之介が好演。
西村雅彦(とある姿は爆笑必至)、寺脇康文、上地雄輔、六角精児ら個性派が殿を取り巻く。
殿は藩士を信頼し、藩士は殿を敬愛し、民に愛され…理想の姿。
陣内孝則が対するように、憎たらしい悪役を楽しそうに演じる。
深田恭子が華を添え、忍役の伊原剛志も印象に残る。
(それにしても、出演者に「相棒」関係者が多いのは偶然…?)
劇中のようにアイデア凝らせば、まだまだユニークな時代劇は作れる。
時代劇には珍しいオリジナル脚本もポイント高い。
我が福島、方言も耳に心地良い。
斬新でありながら、しっかり定番のツボも抑えたエンターテイメント!