プリズナーズのレビュー・感想・評価
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先が読めなくて緊張の連続!
2014年の名作TOP10には間違いなく入りそうな!!
展開の読めないサスペンスでありながら、同時に父親であるヒュー・ジャックマンにグイグイ感情移入出来て非常に楽しめる1本でした。
アレックスの腫れ上がった顔がリアルでめちゃこわ、、、
とにかく考えさせられる練られたドラマ
ゾディアックのようなドラマを楽しめました。一つの事件を通して、関わる人間達の人生が、この映画の場合、暗転していく。
謎解きに対する爽快な答えも用意されています。
人を救うために人を拷問する。
本当に犯人かもわからない状況で。
自分でもどういう判断をするかわからないなと考えさせられました。子供をさらわれた家庭が二つあるのも、二つの家庭のスタンスを通し、深く考えさせられるものがありました。ドラマ作りが深いです。
ハッピーエンドの裏に被害者ありという、結末もまた、深く考えさせられます。
壁一枚、隣の席、すれちがった人。このような非日常はどこにでもあるのではないかと思わされ、日常に潜む狂気に震えます。
時間を感じさせない、至高のサスペンス。
劇場で観ることが出来なかったので、レンタルで観る事が出来たのだが、やはり劇場で観るべきでした!良い意味で。元々主演の二人のファンではあったので、そこからして期待はしてたけど、映画自体もっと良かった。二人の演技と脚本の良さ!私自身あまり頭の良い方ではないので、謎解きとしては、もう一度観ないと全て納得できませんが…。あの寒々しい世界観と家族達の気持ちがマッチしているようで良かった。
最近の不可解な残酷な事件の背景にはこのような映画の背景と重なるのかなと子の親として思い、ヒュー・ジャックマン演じる父親の一線を超えてしまう気持ちもわからない訳でもない、他人事ではないとはこの事なのかもしれない。
観る人によっては、スッキリとした終わり方ではないかもしれないけれど、個人的には好き。
とても上質な映画でした。オススメ。
事件の顛末と人の心の闇にじっくり迫り、引き込まれる!
失踪した娘を捜す父親。
近作では「渇き。」などありふれた設定ながら、これが面白い!
映画は、設定はシンプルでいい。
それをどう見せるかだ。
これぞ、サスペンス・ミステリー!
「灼熱の魂」でも手堅い演出を見せたドゥニ・ヴィルヌーヴが、2時間半の長尺をじっくり見せる。
引き込まれ、緊迫感もあるが、作品はエンタメ系とは違う。
重く暗く、静かに、事件の顛末と人間の心の闇に迫っていく。
この作品がズシッと響く要因は、主人公が狂気に囚われていくドラマ性にある。
不審者が捕まるも、証拠不十分で釈放され、何の進展も無い警察の捜査に苛立つ父親は、遂にはその不審者を拉致・監禁、暴行を加える。
それは娘を愛するが故の行動なのは分かる。
しかし、もし犯人ではなかったら…?
聞く耳持たず、犯人と決め付け、暴行は拷問と化していく。
哀しい事にその姿は、娘をさらい娘を苦しめているかもしれない犯人と何処が違うと言えよう。
アナタならどうするか。
こんな暴挙はしないと口では言えるが、極限状態の人の心の闇はどんな行動を起こすか分からない。
その一方で、警察は少しずつ少しずつ、事件の核心に近付いていく。
捜査中に見つかったある家の床下のミイラ、浮かび上がった別の不審者、十数年前の失踪事件…。
本事件と一見繋がりがないように見えて、それらのピースが事件解決へ収束していく。
事件捜査モノのサスペンス・ミステリーとしての見応えと醍醐味充分。
ヒュー・ジャックマンが「ウルヴァリン」や「レ・ミゼラブル」とはかけ離れたダークな役所を熱演。
ジェイク・ギレンホールはプレッシャーを感じつつも事件解決に尽力する敏腕刑事を演じ、こちらも印象を残す。
テレンス・ハワード、マリア・ベロ、ヴィオラ・デイヴィス、ポール・ダノ、メリッサ・レオ…食指が動かずにはいられないほどの実力派が脇を固める。
また、ロジャー・ディーキンスによる美しい陰影の映像が、作品の雰囲気をより高めている。(この名カメラマンにオスカーを!)
主人公は根は善人だ。
それ故、自らの行いに苦悩する。
信心深いクリスチャンでもある。
罪深い行いは罰せられる。
暴挙に出なければ…。
ラスト、身を襲った悲劇は避けられたかもしれない。
重厚なサスペンス・ミステリーとドラマの世界に、ハラハラし、考えさせられ、非常に堪能した。
おもしろーーーい!!!!!
ジェイク・ギレンホールがいい
誘拐は過去の犯例から時間が経てば経つほど生存率が極端に低くなることが語られる。遅々として捜査が進まない状況の中、親の焦りは尋常ではない。自ら犯人探しをしようとする気持ちはわかる。同じ立場なら、ヒュー・ジャックマン演じる父親と同じ行動をとるだろう。ただ、どこまでも単独行動するのは、却ってマイナスが大きい。得た情報は警察と共有すべきだった。
冷静さを欠いた父親に対し、コツコツと情報を繋ぎ合わせて事件の解明に当たるロキ刑事を演じるジェイク・ギレンホールがいい。物静かで多くを語らないが、人質の生命を第一に置く捜査は地道だが熱い刑事魂を感じる。
それだけに、早く父親が情報を提供していれば、事件解決が早期に且つ安全に図られたのにと思ってしまう。
この作品、誰もが自分を父親の立場に置き換えたときどう行動するか考えながら観ることだろう。
ただ、犯人へと繋がるヒントを得られた、この主人公は恵まれている。現実にはまずあり得ない。警察に頼るしかない。手の出しようがないもどかしさはこんなものではないだろう。
緊迫の2時間半
ドゥニ・ビルヌーブのハリウッドデビュー作。
前作「灼熱の魂」も強烈な作品だったが、本作もまた強烈だ。
二組の被害者の両親、担当刑事、それぞれが異なる心情を抱えているが、そのどれもが理解できるものだ。
ヒュー・ジャックマン演じる父親は、狂気の行動にでる。
娘が戻ったときに父親が必要だ…と諭す刑事に対し、娘はなぜ父は助けに来てくれないんだと待っている…という悲痛な思いを怒りとともにぶつける場面で、その凶行に及ばざるを得ない父親の追い込まれた心情が露になる。
次々に現れる容疑者が、最後に線で繋がるストーリー展開も良い。
2時間半という長尺を緊迫感を落とすことなく引っ張る手腕は見事。
真犯人がちょっとホラーっぽくなってしまったような気はするが。
見てからも引きずる…
迷いもがくほどに魔物と化す
いやあ、怖かった。そして面白かった。
語り口が淡々としているので中盤辺りで
ウトウトしてしまったシーンもあったが
(最近仕事のせいか眠気がヒドイ)、
物語が進むほどに恐ろしさがジリジリと
増していく、上質なサスペンススリラーでした。
雪のようにしんしんと、冷え冷えとしていて、
身も凍るような恐怖の瞬間も幾度も訪れる。
他の方も書かれているが、この雰囲気は
『ゾディアック』や『羊たちの沈黙』
といった過去の秀作・傑作スリラーのよう。
* * *
容疑者アレックスの拙い語り。
地下室のミイラ死体。
奇妙なペンダント。
真夜中の侵入者。
失踪した老婆の夫。
蛇。
円形の迷路。
逃げ延びた少女の言葉。
散りばめられた点と点とが少しずつ線で
繋がっていき、その度に背筋を悪寒が走る。
しかもこれだけヒントを散りばめながら、
事件の全貌は最後の最後まで見えない
という巧みな脚本もスゴい。
遂に真犯人が明らかになった時の衝撃たるや!
* * *
ミステリとしても優れているが、
テーマの部分も興味深い。
怒りと焦りに心を囚われ、
モラルのタガが外れていく父親ケラー。
事件に翻弄されて自制心を失う刑事ロキ。
普段は善良で温厚な人間も、心の牢獄のような
この八方塞がりの状況に追い込まれれば、
一体どう変わってしまうのか?
僕らの被ったモラルの皮の下には
一体どんな怪物が潜んでいるのか?
* * *
犯行動機などについての自分なりの考察。
(このパート、長いので興味のない人は
*と*の間を読み飛ばしてください)
表情ひとつ変えずにあの老婆は語った。
「これは神との戦いなのだ」と。
あの老婆(達)の目的は、
子どもを殺すことではなかった。
子どもを救おうと必死になる人々を
焦燥と苦悶という感情の牢獄に閉じ込め、
彼等を恐ろしい“魔物”に変える事。
神の慈愛を信じる人間を堕落させることで、
神の威厳を失墜させる事。
それが彼女の『神との戦い』だったと思しい。
老婆がケラーに語っていた事が真実なら、
彼女とその夫もかつては
熱心なキリスト教徒だったようだ。
だが息子の事故死をきっかけに彼女らは変わった。
息子を奪い去った神に対し、
彼女らは激しい疑念と憎悪を抱いていた。
ケラーは彼女に己の信仰を試されたとも言える。
冒頭で神への感謝と祈りを口にするケラーだが、
娘の失踪そしてアレックスへの拷問によって
彼は神への信仰を殆ど失いかけてしまっていた。
僕のような無神論者にとっては、ハッキリ言って
神への信仰など大した問題ではない。だが、
信じる人々にとってそれは人としての徳を説き、
人生の理不尽さに耐える為の大切なものだ。
形はどうあれ誰もが自分なりの信仰のような
ものを持っているものではないだろうか?
それを取り上げられる事は、生きる術を
破壊されるのに等しい残酷な事だと思う。
だが、ケラーは赤い笛を見つけた娘の夢を見た。
そして、地下で偶然にも同じ赤い笛を見つけた。
ケラーにとってそれらは、娘の生存を伝える
神からの啓示のように思えたに違いない。
最後、ケラーは再び神への祈りを口にする。
「神よ、あの子を救いたまえ」と。
彼はぎりぎりのところで信仰を
取り戻せたのだろうと僕は考えている。
* * *
だが……
考えるも恐ろしいのは、短い人生において
2度も理不尽な暴力に晒されたアレックス。
彼は果たして、その後の人生を
何の問題もなく過ごせるのだろうか?
主人公の行為によって彼が今後、あの
模倣犯テイラー以上に歪んだ存在と
化してしまう事は無いのだろうか?
人生を歪められるほどの――人の善良さを
一切信じられなくなるほどの――理不尽な暴力。
ゾッとするが、そんな暴力に晒される事は、
誰にでも起こり得る事なのだと思う。
……願わくば、なるべくそんな目には
遭わずに人生過ごしたいもんですが。
<2014.05.10, 24>
冒頭から備えよ。
153分の長尺と聞いただけで、大概嫌な予感がするものだけど
今回はどうしても観たい作品だったので、一本(普段は二本)で
観に行った。観終えて…いや~お腹一杯^^;非常に面白かった。
まぁ題材からして、スッキリサッパリの爽やか系ではないうえ、
酷い拷問シーンやら蛇やらフリーメイソンやらロリコン?やら…
キモイのがたーくさん出てくるんで…嫌いな方はご用心ください。
明るいのは冒頭のみ、あとは終始重く辛く寒い極限が広がります。
だけど本当に…恐ろしく感じるのは、
あったじゃないですか!日本にだって、こういう誘拐・失踪事件。
例えば犬の散歩途中に忽然と姿を消した少女。
何日か後に無事保護されたのは良かったけれど、見つかるまでの
ご両親の憔悴、そして事件の真相に至るまで恐ろしいことばかり。
とても他人事とは思えないところが、まずはこの事件の肝。
厳格な父親ケラー(ヒュー)の一人娘が友人と共に忽然と姿を消し、
地元警察が怪しい青年を尋問するが一向に決め手が見つからない。
容疑者アレックス(ポール)は10歳程度の知能しか持っておらず、
証拠が掴めない警察は彼を釈放する。が、彼に疑いを抱くケラーは
アレックスを逆誘拐し、拉致・監禁・拷問に踏み切る。その間も
担当刑事ロキ(ジェイク)は犯人探しを黙々と進めるのだったが…
まぁとにかく(長いんだけど、その)長さを感じさせない巧い脚本。
観客をどんどん事件の闇に引き込み、謎を振りまいて蹴散らす。
真犯人はどいつだ?やっぱりこいつなのか?いや…違うのか?と
最後の最後まで掴みどころのない謎深さ。演じる俳優もさすがで、
どの場面のどの描写をとっても抜かりがない。憔悴していく家族と
血まみれになって闘う父親。もう正義もへったくれもありゃしない。
とにかく早く犯人を割り出してくれ!でないと誰かがまた死ぬぞ!
観客はもう冷や汗タラタラ。
そして後半。えーっ!!とビックリ仰天すること請け合いなのだが、
さぁ種明かし…冒頭からあちこちに撒かれてきた伏線の全体回収。
あーそうか。あーそうだったか。と頭の中はな~るほどザ・ワールド!
この脚本、完全オリジナルというから大したものだ。
確かに後半で、エ、そんなことできるワケが?なんて思いもするが、
あの犯人だから、できたワケなんですよ。つまりここで、
「常に備えよ」←(冒頭でケラーが息子にいう言葉)が活きてくるのだ。
これ、今作では全ての人間に共通していた言葉だったんだな。
備えあれば憂いなし。なんて日本人もよく言うけど、漠然とそれを
遂行してたんじゃダメなのね。常に最悪の場合に備える万事態勢。
ほんのちょっとの見落としが、大惨事に繋がるといういい例だった。
最後の最後は予想できたけど、いやしかし、恐ろしいのに面白かった。
ところでふと考えた。いちばん可哀想だったのって…果たして誰だ?
私は間違いなくあの人だと思うんですけどねぇ^^;
(しかしジェイクのお腹の出っ張り具合、良いんだわ~玄人っぽくて)
最後までわからない
お勧めです!!
2時間30分という長さを感じさせない
2時間30分という長さを全く感じさせないスリリングな展開。真犯人も最後までわからず、一体誰が犯人なのか自分の中で色々と詮索しながらの鑑賞だったのでどっぷりと映画の中に入り込むことが出来た。事件が解決した時のその陰に秘められた真実もショッキング。キャスティングも絶妙で、父親役のヒュー・ジャックマンが、容疑者を追い詰め常軌を逸した行動を取る姿や、10歳児程度の知能しか持たない容疑者役のポール・ダノの時折見せる残忍さなど素晴らしかった。
倫理観を持つ者が一線を越えた際の狂気と葛藤が執拗に描かれていました。
良かった。
失踪した娘の父親と捜索する刑事、両者の視点で交互に描かれる本作。
或る時点で一線を越えた父親は「信頼できない語り手」としても機能しています。
繰り返される常軌を逸した行為。
行為を知らされ感化される者。行為に気が付かない者、知られまいとする者。
周囲の人間が禍々しい濁流に巻き込まれる中で正義も真実も見えなくなります。
そのため最後まで展開の選択肢が複数残ると同時に自らの倫理観に訴えかける話運びとなるため、自ずと話に惹き込まれていました。
役者陣は総じて良かった。
特筆すべきはヒュー・ジャックマン演じる父親ケラー。
或る時点を境に狂気に憑りつかれた彼の顔や佇まいには思わず威圧され怖れを抱きました。
また揺り返しで何度も訪れる自問自答、葛藤。
その弱さや自己肯定の過程の表現も素晴らしかったです。
対するポール・ダノ演じる容疑者アレックスも良かった。
知能指数が小学生並みの彼がフッとした瞬間に浮かべる掴み処の無い表情。
そして何かが含まれた怪しい言動。
彼の存在がケラーの原動力となり、話自体も引っ張っていました。
また或る時点の彼の姿。
余りの光景に思わず息を呑み…劇場全体の空気も止まっていました。
話の中で散りばめられた要素が終盤一気に回収され。
題名の意味を初めて理解すると共に残るのは爽快感…ではなく別の感情。
様々な感情が入り混じり整理が付かない感情を抱えたまま劇場を後にしました。
倫理観を持つ者が一線を越えた際の狂気と葛藤を描いた本作。
正直、或る登場人物の存在が話のリアリティラインを著しく下げている。
ひいては上映時間153分、と無駄に間延びさせてしまったという残念な点はありますが。
主要人物達の葛藤に次ぐ葛藤を描くための要素と考えれば全く不要とは言えず難しい所でした。
お子様を持つ方々であれば更に父親ケラーの気持ちが理解出来て、話の展開と共に整理出来ない気持ちが更に渦巻くと思います。
タイプの異なる親達を『自分であればどうしてしまうか』という観点で追いかける見方もあると思います。
オススメです。
フィクションに留まらない、これがアメリカの暗黒部。
【賛否両論チェック】
賛:幸せな家族に突如として訪れる惨劇を、刻々と表現。追い込まれ、暴走する父親の姿をヒュー・ジャックマンが見事に演じている。上映時間は2時間半あるが、それを感じさせないスリリングな展開。
否:主人公の行動は、日本人の倫理観からすると賛否両論ありそうなところ。グロシーンも多数あり。
娘を愛するあまりに、一線を踏み越えてしまった父親。その姿は、日本人の倫理観からすると、やや感情移入しがたいところではあるかもしれません。それでも、家族を助けようと必死になる姿は、観ていて胸に迫るものがあります。終わり方も好みが分かれそうな感じではありましたが、個人的には結構好きです(笑)。
グロシーンも多数ありますのでご注意を。2時間半という長さを感じさせないようなハラハラドキドキの展開の連続に、思わずハマること請け合いです。
緊迫感溢れる映画でした。
効果音の使い方がうまく、ハラハラしながら次の展開を見ていました。
自分の子供が誘拐されて狂気的になるお父さん。これは「もし自分が事件の当事者だったら同じような行動をとっていたか?」とか考えて見てしまいました。
作中には結構ナゾのまま伏線を拾わない箇所があったように思います。
•アレックスは本当にIQが低いのか?それとも最後まで秘密を貫き通したのか?
•子供服を買っていた迷路男は一体何だったのか?
あと、出演者の演技がみんなうまい。怒りに震えるシーンや無口なアレックスを演じる人など。
インターネットでいろんな方のレビューを読んでて、この作品の裏テーマが分かりました。それは、
•「もし自分が子供を誘拐されたら、自分で解決しようとするのが正しいのか?警察に任せるのが正しいのか?冷静に考えろ。」
•「フリーメーソンのみが事件を解決できる。」ロキ刑事の指輪や迷路がその暗示。
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