「緊迫感とリアルを感じたミステリー作品」プリズナーズ モリリンモンローさんの映画レビュー(感想・評価)
緊迫感とリアルを感じたミステリー作品
約2時間半の長編映画をあっと驚くほどの緊迫感とリアルさでみせられた作品でした。
物語は実際に現実でも起こりうるようなリアルな話であり、娘の誘拐により平静を保てず、刻一刻と迫る死へのカウントダウンが夫婦の精神状態を極限まで追い込む。
警察の取調べに全く応じない容疑者に対して捜査をやめてしまう状況にヒュー演じる夫が不信感を募らせ、ついに監禁、拷問による尋問に手を染めてしまう。いけないことだとしてもやらなければ娘の死が近づく恐怖から拷問はエスカレートしていく。
その間にも動いていた捜査官はあらゆる可能性を模索しては空振り、なかなか事件の真相を掴めずにいたが、疑いをかけていた夫を追跡したところ思わぬ人物が事件の容疑者であることを特定する。そして事件は収束に向かう。。。
しかし、事件の真相を警察よりも先に掴み独自の行動で娘を見つけようとした夫は真の容疑者の罠にかかり地下に生き埋めにされてしまう。
失踪した夫を探す捜査官の耳元に最後に聞こえた笛の音。捜査官は事態をのみ込むとその状況に焦りを見せ動き出す。
ミステリアスな要素で話の先を読ませず、緊迫感を持たせながら最後になって全てが噛み合うようになる物語の脚本には脱帽しました。
そしてヒュージャックマン、ジェイクギレンホールの迫真の演技によりその脚本がリアルさを持って展開されていく様子に時間を忘れてのめり込んでいきました。
最後のシーンでは力のない笛で助けを求め続けていた夫に捜査官が気づいたところで終わりを迎えましたが、あえてあの後のシーンを描かなかったのは描く必要性がなかったからだと思います。あの捜査官だけは事件を通して決して諦めない人物だったからこそ、最後にあの笛に気づいた瞬間から夫の救出は見えていたため、そこは描かなかったのだと思います。
事件はすでに解決しており、本題の部分以外に時間を持たせる必要がなかったからだと思います。
しかし、この映画は自分たちの身にも起こりうるリアルなことであり、実際に遭ったとき、自分が正しい判断ができるのか、警察に全てを任せていいのか考えさせられる映画でした。
結局事件の真相を突き止めたのは夫であって、そのまま任せっきりにしていたら娘は死んでいたかもしれない。
個人的にこれまで見たことのあるミステリー映画の中では1番良かったと言っても過言ではない作品でした。