「日本語吹き替え版キャストに大不満」ミケランジェロ・プロジェクト うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
日本語吹き替え版キャストに大不満
映画の内容そのものは、特に不可もなく、可もなく。
近年の戦争映画にしては、やや緊張感に欠ける、よく言えばユーモアが全編に漂う雰囲気の映画。登場人物たちに、命がけで人類の遺産を守ろうという悲壮感は残念ながら感じられません。
それでもチームを結成してから、活動を本格化していくうちに、誰かは命を落としていくわけで、この映画の雰囲気がそれを台無しにしてしまっているのは、良くも悪くもキャスティングにあると思います。
ジョン・グッドマン ビル・マーレイ とてもいい役者さんですが、出る映画を間違えたとしか言いようがない。
ビルは銃を持った敵兵とにらみ合いの情勢になったときに、機転を利かせて危機を脱しますが、彼ならではの切り抜け方だと思います。まあ、それは良しとしても、美術品に命をかけるタイプには思えません。
ジョン・グッドマン なぜ彼に銃弾が一発も当たらないのか。
さらに、台無しにさせているのが日本語吹き替え版のキャスト。
郷田ほづみ 大好きな声優さんで、サイモン・ベイカーの声は彼以外あり得ないと信じていますが、残念ながらジョージ・クルーニーは合っていません。
ラストの、ある仕掛け=クルーニーの実父ニック・クルーニーをキャスティングしていますが、この仕掛けが見事に外しています。(なぜ自分で演じなかったのか)親子なのに、あまり似ていないのが致命的に映画のクオリティを落としている。
それでも、郷田ほづみが声を当てたことで、特徴のある声質で時間の経過を飛び越えて、ストーリーで何を語りたいかの意図は伝わりますが、プロデューサを兼ねて映画に関わると、出来の悪さが客観視できなくなるというデメリットが生まれます。ジョージ・クルーニー作品はお友達キャスティングがひとつの武器ですが、これもキャスティングの失敗。
最悪なのが工藤静香…
私は、声優以外の吹き替え版起用にはどちらかと言うと賛成なのですが、彼女は歌手です。演技においてこれと言った代表作もないのに、なぜキャスティングされたのか。一人だけあきらかに声が浮いています。