「戦争秘話として興味深い話だった・・・」ミケランジェロ・プロジェクト 瑞さんの映画レビュー(感想・評価)
戦争秘話として興味深い話だった・・・
ヒトラー関連の話は戦後70年を経った今でも、毎年のように公開されているが、この話は実話だと言うが知らなかった。「総統美術館」を建設しようとしていたなんて・・・ ヒトラーが画学生だったという映画が以前あったが、美術好きだったんだね。「偏愛」といってもいいかもしれないけど。現在タリバンやイスラミック・ステイツが偶像崇拝を否定するあまり、各国の遺跡や遺品を次々に破壊しているけれど、それに通じるものが感じられて背筋が寒くなった。でも、戦争が完全に終結していない中、よくも芸術のために戦場に向かったと思う。感心しちゃう。そりゃもちろん大事だと思うけれど、自分の命を危険にさらしてまで行けるかっていうと、私には無~理! 偉いと思うなぁ、あの7人の男たちは! 全員で同じものを探すのではなく、それぞれチームに分かれて探すところがよかった。各々のタッグに味があった。みんな美術を愛する気持ちは変わりないけど、お互いよく知っているわけじゃない。それぞれが手探りの状態で仲を深めてゆくところが微笑ましかった。紅一点のケイト・ブランシェットは、やっぱりすてきで、怯えながらも親衛隊の上司と対峙する場面や、モニュメンツ・マンの質問にも信じられるまでは毅然として答えないところがかっこよかった。そして美術品はどこに運ばれたのか、特に探している作品は見つかるのか、最後までドキドキしながら観た。ジョージ・クルーニーは一味違う戦争映画を作りたいと思って作ったそうだが、ノルマンディーやバルジなど映画でも数多く描かれてきた地が出てくるけれど、大規模な戦闘シーンはない。作戦が終わった後の風景が描かれるだけだ。そこが変わっていておもしろい。クルーニーの才気を感じた。最後にお父さんかな?という人が出てきて、キャストで確認したら、やっぱりそうだった。似ていた。