劇場公開日 2014年1月10日

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「気難しい患者さんに注射を打つ時は複数人で対応するよう気を付けろ」インシディアス 第2章 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5気難しい患者さんに注射を打つ時は複数人で対応するよう気を付けろ

2014年1月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

あけまして既に半月経ちましたがおめでとうございます。
2014年もよろしくお願い致します。

新年1本目の映画は『SAW』1作目のスタッフが総結集して
制作された秀作ホラー『インシディアス』の続編!
1作目を未見の方は、そちらを予習してからの鑑賞を強く勧めます。

ただ、1作目がどれだけ怖くても、続編では新味が薄れて
恐怖が減衰してしまうのはホラーシリーズものの宿命。
今回も眼球を開いているのがツラいほど怖いシーン満載だが、
前作ほどの恐怖は感じなかった気がする。当社比85%。

だがそんなシリーズものの弱点を、今回は作り手側も見越して
いたのかもしれない。前作よりも凝ったシナリオや
拡張されたアイデアの数々が面白い!

* * *

死者の領域が生者の時間軸が通用しない空間であることは
前作でも示されていたが、今回はさらに踏み込んだアイデアが登場。
現在と過去がクロスオーバーするトリッキーなシナリオは、
清水崇監督の『呪怨』シリーズを彷彿とさせる面白さ。
前作との絡みもかなり濃厚で、単純な続編ではなく『第2章
(chapter 2)』と銘打ったのも頷ける内容だ。

シナリオだけでなくドラマ性もアップしたと感じる。
後半の“あの人”登場や、繰り返される曲の正体に
思わずウルッと来てしまった自分に驚いた。家族への情や、
痛みを抱えた人々に対する優しさが沁みる。
(監督の前作『死霊館』のワンクッションがこの辺りで
活きているのかもしれない)

* * *

もちろん怖いシーンも満載です。
相変わらず狂気を孕んだストリングスの音色は怖いし
(前作よりおとなしくなった気もするけど)、
ベビーカーにサイコロに糸電話にと
一見無邪気な小道具を活かして
怖がらせる手腕はもはや手馴れたもの。
『わたしはどこ』ゲームなんてしたくないよッ!
前作で大活躍だった“寄生者”のその正体は相当におぞましいし、
手持ちカメラ映像も駆使した廃病院や民家の探索シーンなんて
顔の筋肉が引きつりっぱなしだった。

そうそう、とめどない恐怖描写の中で唯一の息抜きである、
霊現象分析家コンビ・スペックス&スタッカーも大(?)活躍だ!
ハンター・ニンジャ・ベア!! ブリング・イッツ 、イェア!!

* * *

“彼方”が登場する辺りから若干恐怖が和らいでしまった感は
あるのだが、ホラー映画の続編でここまで前作のクオリティを
保っているのって、けっこう稀じゃないかしら?
ちょっと高過ぎるかもしれないが、『死霊館』より気に入った
ことと、新年早々存分に楽しませていただきましたという
お礼も込めて、景気よく4.5判定で!

残念ながらジェームズ・ワン監督はこの作品を最後に
ホラー映画制作を離れるそうだが、気鋭の作り手が
第3章を作ってくれると嬉しいねえ。

〈2014.01.12鑑賞〉

浮遊きびなご