風の谷のナウシカのレビュー・感想・評価
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何度目だナウシカ
小学校の体育館上映以来、ラピュタと並んで1番観てる映画かもしれない。
今みると、宮崎駿という人の本性が割とあられもなく出ている作品だと思う。
なにしろ戦争ものの色合いが濃くて、けっこう大量にそれもライトに人が死ぬ。飛行機の空中戦や、銃に戦車にと兵器が愛情たっぷりに描かれており、表向きのエコロジカルなメッセージとは裏腹な血湧き肉躍るミリオタマインドがまったく隠せてない。
とくにかっこいいのはペジテのブリック?からナウシカがメーヴェで離脱、ガンシップと合流する一連のシーン。音楽も、打ち込みを多用してた頃の久石譲の劇伴ががっちりと盛り上げてくる。
あとはアスベルとヘビケラから逃げるところの曲もモロにニューエイジって感じでかっこいい。センタードームの王蟲のところも。このチープなエキゾチック感が好き。
「デューン」の砂の惑星に影響を受けているとは言われているけど、腐海という人を寄せつけない世界の描写、さまざまな異形の蟲たち、妙にリアリティのある人々の身なりや生活様式など、端的にSFとしての没入度が高い。
そして人間の目先の利害より蟲に肩入れするヒロイン。なんとなく弱きものに寄り添ったり、エコ的なことを言ってるからごまかされてるけど、端的にいってクシャナよりヤベー奴だと思う。囮になった蟲との場面とかめちゃくちゃ感動的なんだけど、よくよく考えるとどうかしてる。城オジたちを尻目にアスベル助けに行ったりとかも無謀すぎる。
実際「もののけ姫」ではクシャナに相当するエボシ御前は少なくとも人間の世界における優れたリーダーとして描かれていて、まあそういう人物だからこそ「自然」の敵になるっていうのは一貫してるのかな。
原作マンガは確かにもっとテーマを深く掘り下げられているし、映画で描かれたのはほんのさわりに過ぎなくて、この後も騎馬戦とか巨神兵との交流とか数々の名場面が待ち構えているわけだけど、やっぱり映像としてこの世界に浸ることができるというのはなかなか得がたい価値だと思う。
願わくば、あの場面とかあの場面も映像で浴びかったな…
でもこの後の宮崎駿は「紅の豚」を経てだんだんと戦争好きの本性を偽るようになり、もはや望めなくなってしまった。言っても詮無いことをつい言いたくもなる血中活劇濃度の高さ。
庵野秀明が続編を作る噂もあったけど、ひとつ確実に言えるのは、カントクはストーリーテラーじゃない。「巨神兵東京に現る」だって、目的は別にあるにせよ、ストーリー的にはただのポエム。「On Your Mark」の短い時間に凝縮されたドラマを詰め込んだ宮崎駿とは対照的な資質の持ち主だと思う。
そして映画ナウシカ。確かに話の途中で終わってるし、よく考えるとおかしな部分もあるけど、場面場面の演出や流れが鮮やかなためまったく気にならない。
1回マンガにしてるから整理しやすかった、というのもあるのかも知れないけど、風の谷、王蟲と腐海、クシャナ、アスベルとナウシカ、ペジテなど複雑にからみあう利害を見せつつ、ひとつのストーリーラインに収束させている。
大人になった今だからこそ、冒頭から一切の無駄な描写がないことを痛感させらもする。
だから何度目でも楽しいです、はい…
うーん、よくわからん。
物語のテーマ性とか巨神兵のシーンの美しさとかは流石名作だなと感じる。というかナウシカともののけって同じ事やってんだね。
ただこの作品、キャラクターが全くつかめない。全員記号的にその思想に達していると描かれているだけで、そのバックボーンが描かれないのである。
特にナウシカ、彼女はストーリーを通して博愛主義的で人間も植物も虫も平等に包み込むのだが、なぜ彼女がそこまで強い意志を持つようになったのかが見えてこない。
幼い頃に王蟲を匿うシーンがあるのに、そこに至る過程がないのである。見ている側からすれば、なんでそこまで出来るの?ってなる。
普通に劇中世界で暮らしている人間であれば、有毒なウイルス出す森なんて燃やしちまおうぜ!ってなりそうだけどな。
クロトワ(参謀)は1人だけ世界観違ってカッコよかった。ルパン世界から来たのかと思った。
ジブリの原点であり伝説のアニメ。
世界最高のアニメーションの一本‼️
『デューン』から『アバター』へ
安田成美さん
完全版の製作を願い、あえてこのアニメ映画版は低評価
多少の不満が残る本作でも本当は評価四つ星なんだけどね・・・
その不満点というのはナウシカが暴走オーム集団に跳ね上げられ押しつぶされるのではなく、言葉の十全の意味でミラクルファンタジック「お花畑」となってしまった「あらまぁ・・・」なクライマックス場面。
これは漫画完全版を知らずに初めて見た時から感じていたことだった。
だから映画初視聴から数十年経って漫画完全版を知り、6時間かけて全部見終えた時の衝撃と絶望は言葉に出来ないほど大きかった。「失われた数十年が悔やまれる・・・・」と。
もっともジブリには完全版映画製作なんて気は毛頭ないようだし、年に一度という感じで図書館の豪華装丁版上下2巻を一気読みし溜飲を下げています。※薄い冊子版は7冊だったかな
上の話はさて置き、この映画版も見飽きたと思っていても見始めると見事しか言いようがない宮崎駿的ナウシカの世界観に年甲斐もなく浸りきってしまうのだから何おかいわんや。
何度か涙ぐんじゃったりしてね・・・
さて近々図書館行って漫画完全版見るか。笑
原作とは異なるけど
満点でしょ!!
子供の頃は内容が難しくてよくわからなかったけど、今までに観たことも...
映画館で観た
奥深くて観飽きない宮崎アニメの原点
また観てしまった。派手さはないが、奥深くて、何度鑑賞しても飽きることのない作品である。
ストーリーは起伏に富んではいるが、全編の底流に澱みなく流れるものを感じる。終末観、自然と人間、大自然の脅威の前での人間の無力さ、自然の凄まじさ、終末期に及んでもなお戦いを止めない人間の愚かさ、そんなものが織り交ざった滔々とした大河の流れを観ている感じがした。
年を重ねながら何度観ても古臭さを感じないのは、普遍的なものを描いているからだろう。腐海は自然破壊の末路であり、王蟲は大自然の脅威の象徴である。自然と人間の共生が作品メッセージではあるが、今回の鑑賞では、共生というよりは、もっと進んで、自然破壊への静かではあるが確かな怒りを感じた。凶暴な王蟲は大自然の脅威の象徴であるとともに、宮崎監督自身の自然破壊に対する怒りを象徴していると感じた。
観終わって、作品を見切ったという感覚はなかった。これからも機会あるたびに鑑賞することになるだろう。
一番好きなアニメ映画
日本初のアニメ月刊誌「アニメージュ」
ヒット・メーカーのジブリの中でも名作中の名作。この映画でジブリファンになった人も多いと思う。但し、この作品は法的にはジブリではなくジブリ名義は次作のラピュタ以後。この後、続々と名作を生みだしているがナウシカを越える映画はまだ無い。この頃は有名タレントやバラエティで有名なお笑いタレントではなく本職の声優がお芝居してた。鈴木敏夫とジブリ展に行ってナウシカの苦労話を知った。当時はアニメーションというだけで大人は相手にしない時代だった。ディズニーですら相当苦労した時代にジブリなんて相手にされなくて当然。令和の現代なら鬼滅に東京卍會(トーマン)、平成なら君の名は。、無数の名作が社会現象になりビジネスとして金の成る木として実績を残してるが、それは昭和からすれば未来社会でいわばドラえもんのような考え方。
ナウシカのドラマが包摂する現実と倫理の相対性、東西冷戦
1)政治的構図ーー反核・環境運動の使者
本作で登場する国家は「風の谷」「トルメキア」「ペジテ」の3つである。
これらの間には覇権争いが存在するが、ここに巨神兵の卵という力関係を左右する決め手が投げ込まれたことから関係が緊張し、トルメキアとペジテが戦争に突入、辺境の地を自認し蚊帳の外だった「風の谷」も巻き込んで、さらにこれらの国家の存立基盤である腐海(環境)までも脅かす――というのが物語の背景になっている。
東西冷戦下の核開発競争を下敷に、米ソ両国に挟まれた日本から核廃絶や環境保護を訴えるメッセージを伝達する使者がナウシカだった、という構図は明瞭である。
今では中国がソ連に取って代わり、米国と覇権争いを繰り広げているが、巨神兵の卵は核兵器からさらに情報やテクノロジー、経済力にまで拡散してしまい、核と環境問題をシンボルにした本作の訴求力は弱まった。というより核戦争の危機感は後景に退いてしまったから、本作のアナロジーがもはや成立しないと言った方がいいだろう。
2)倫理の相対性について
しかし、そうした政治的メッセージとは別に、本作の構築したドラマは倫理の相対性を描いた秀逸なものである。つまり国家の違いや立場の違いが、個人の意図とは別次元から善悪を生み出すこと、善と悪双方に正当な主張があることを描いている。
ナウシカと同じように魅力的なクシャナは、大国の論理に従いながらも自国の変革を考え、人類救済の道は巨神兵による腐海焼却しかないと信じ、ペジテを侵略し、風の谷を制圧して巨神兵の卵を奪いとる。
その部下クロトワは彼女を殿下と崇めながら、隙あらば自分が世界征服でもしようという人物なのだが、風の谷の住民の要望を安易に聞いてしまう善人ぶり、無能ぶりが可笑しい。
彼らの考えも願望もある意味で正当であり、人間として魅力的である。もちろん日本人代表ナウシカや彼女を慕う老兵たちの人間味は言うまでもない。
このドラマには完全な善も、完全な悪も存在せず、双方が正当な主張をする中で、第三の要因がいずれかに味方し、当面の解決に導いていく――という現実の複雑さをきちんと描いているのである。
3)評価
上に説明したような現実を包摂する傑出したドラマ性のゆえに、本作やもののけ姫などは恐らくいつまでも残るアニメ界の傑作たりえていると思う。
他方、日本のTVドラマ界には、勧善懲悪の水戸黄門や半沢直樹、天才医師のドクター何やらが現実を空っぽなシャボン玉のように扱う作品が溢れかえっているが、ナウシカを見ると、そんな作品群ばかり見ていると頭が腐海に呑み込まれてしまうことに、ふと気づかされるのであった。
小生はこれまでにテレビ、ビデオで10回以上見てきたが、内容について考察してみることはなかった。このコロナ禍の下、たまたま日比谷の大スクリーンで鑑賞する機会に恵まれたことから、以上のようなことを考えながら見ていたら、最後にはお約束通りやはり落涙してしまい、気づかれまいと俯きながら映画館を出たのはちょいと恥ずかしかったw
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