「まるで“M”のスピンオフ映画」あなたを抱きしめる日まで ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)
まるで“M”のスピンオフ映画
メロドラマ風のタイトルとは裏腹に非常に力強く、信念に満ち溢れた作品である。
未成年で妊娠したことから修道院に入れられ、生まれた息子を養子に出されたひとりの女性が50年の時を経て生き別れになった息子を探す旅に出る。母親の息子探しという目新しくはないプロットでありながら、テンポの良いストーリーとウィットに富んだ会話でグイグイと観客を引っ張っていく。
主人公フィロミナを演じるのがジュディ・デンチ。ひとつの手掛かりを基に記者のマーティンと共にBMWに乗って息子の行方を追っていく様子はまるで007の“M”のスピンオフ映画を見ているかのような気分になる。
旅を通じて徐々に明らかになる息子の行方とその素顔。時に喜び、時に感情が揺らぐフィロミナの姿は50年間会えなかったとしても母親としての愛情の深さを感じさせる。しかし、今作の特筆せねばならないところは息子探しの旅を通じてフィロミナ自身の過去の過ちと宗教的な信仰と向き合うことになる点である。
それぞれの信念が交差する結末。この物語が実話だというから最後の驚きは半端ではない。どの価値観も考え方も決して間違いとは言えないのだろうが、もし、自分がフィロミナの立場だったらと思うとあの決断はできないだろう。そんな彼女の勇気こそ“100万年に1度の結末”を生み出している。
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Ao-aOさんのコメント
2020年2月10日
コメントありがとうございます。
「スカイフォール」がこの作品の2年前だったので、尚更Mと重なって見えてしまいました。本作のジュディ・デンチは硬派な面から、チャーミングな面まで巧く演じていて、改めて大女優だなぁと感じさせられましたね。