「エンダーのキャラにしびれた」エンダーのゲーム amさんの映画レビュー(感想・評価)
エンダーのキャラにしびれた
原作を読んでからというもの最も好きな小説といえば「エンダーのゲーム」と言い切ってしまう人間にとって、待ちに待った映画化でした。
多くの皆様が感じているように原作をなぞるような、あらすじを読んでいるような映画の作りがとても残念でした。
しかし、待たされ続けた私としては、今はもう映画化されたというだけで十分満足です。
日本のアニメなど多くの作品に影響を与えたと評されると、古臭いとか、おなじみの設定ね・・・などと思うかもしれませんが、改めてこの映画を見て、原作を思い返してみると、この作品をまねたものは多くても超える物はほぼ皆無だということに気が付きました。
特にしびれたのが、エンダーのキャラです。
エンダーは病的なまでに冷酷な戦略家である兄ピーターと、最高の共感力を持つ情の深い姉ヴァレンタインの両方を持ち合わせた人格で、ポイントは、この組み合わせこそが最高の指揮官足らしめる要素として描かれていることです。
単に優秀な戦略家というだけでなく、深い共感力から相手の思いも読みとってしまうエンダーは、敵であっても深く理解し共感してしまいます。
それがラストにつながっていくのですが・・・これ以上はネタバレになるので、ここまでに。
やはり、敵を知ることのできる者が最高の指揮官ということでしょうが、敵にまで情を寄せるエンダーの清らかな心と苦悩に・・・
しびれました。
原作でのエンダーは、自分の心の中に潜むピーターの部分に怯え葛藤し、揺れ動く様子が丹念に描かれていますが、映画だけではわかりにくいかもしれません。
たぶんこの映画を楽しむためにお勧めなのは・・・
ネタバレでもいいから映画の背景やプロットを理解してみたいという人は、原作を読んでから見るとよいと思います。
ラストのネタバレを知って見るのが嫌な人は、映画を見てから原作を読むのがよいと思います。
そして、最高なのは原作を8割くらい読んで、ラストは読まずに映画を見ることかな・・・
映画のつくりとしては問題がありますが、ぜひ見てほしい作品です。その他にも様々な要素が無数に盛り込まれていて、とにかく深く深い作品です。