「悪趣味なびっくり箱」渇き。 ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
悪趣味なびっくり箱
まず観終わって一言。「疲れた」。
物語に緩急が無いというか、何でしょうかね。心の箸休め的なものが皆無なんですよ、この映画。どこを切っても一切、落ち着ける場所が出て来ないというか、全く小休止をさせてくれない。
のっけからハイテンションですから。で、そのハイテンションがワクワク!ハラハラ!ドキドキ!みたいな「楽しい!」「ポップコーンムービー!」的な類じゃないでしょ?
エロとグロとショッキングの連続な訳ですよ。観客側はひたすらに、ずーっと歯を食いしばってなきゃいけない!みたいな、体に力入ったまんまの体勢で観なきゃいけない!みたいな。それを半ば強制されてるような感覚。
つまり、容赦がないんです。もっと言うと遠慮がないし、配慮もない。節操もない。
全く何が起こるか分からないっつー、その瞬間、その一秒先が予測不可能で。ちょっとでも油断してたらバン!ドン!グシャ!グチャ!てな感じで。だからもうね、体力の消耗が著しい訳ですよ。
だけど、それを浴びれば浴びるほど次の衝撃を期待しちゃってるみたいな。観たくないけど観たいみたいな。パンドラの箱をもっと開いちゃってくれ、みたいな欲求も高まったりしちゃって。
その、何でしょう、救いのなさをエンターテインメントにしちゃってるんですよね。登場人物に救いがないなら、もうこっちもそれを楽しんじゃえ!みたいな。
一見、なんだか社会派、推理サスペンスっぽいテーマというか、題材でありながら、その実、セックスドラッグバイオレンスですからね。
素朴な疑問なんですけど、本当にR15でいいんですかね?R18に上げた方がいい気するんだけどなあ。人によっちゃトラウマ叩き込まれる内容ですからねえ。
や、まあ本当、胸糞悪い映画です。中島哲也監督の本性見たり!てな感じで。傑作でした。