「ケイト・ブランシェットという名の女優」ブルージャスミン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ケイト・ブランシェットという名の女優
ウディ・アレン×ケイト・ブランシェット
この顔合わせだけでも見たい!と思わせてくれる。
超セレブだったジャスミン。所が、夫の浮気、離婚、破産で奈落の底へ。サンフランシスコに住む妹の元に身を寄せるが…。
アレン版「欲望という名の電車」とはなるほど確かにそうだが、他にも「サンセット大通り」「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」「何がジェーンに起こったか?」「こわれゆく女」なども一瞬チラついた。
エゴとブッ壊れヒロインを、アレンがシニカルなユーモアで描く。
それにしてもこの人の変化球人間観察、見ていてあまり気分いいものではないのに、その巧みさにはいつもながら感服してしまう。
アル中、ノイローゼ、精神不安定、ヒステリック、独り言、見栄っ張り、セレブ生活が抜けきれない…。
あ〜ヤだヤだ、こんな女。
いけ好かないのに、ケイト・ブランシェットのエレガントな美しさと気品で、不思議とちょっと共感させられてしまう。
ラストは“人間”と“女”の醜さをさらけ出し、もはや衝撃!
思えば、「エリザベス」から15年、ずっと好きな女優にケイトを挙げてきた。そんな彼女のこれほどの熱演を見れて、ずっとファンで良かったと本当に思った。
困った女がもう一人、妹のジンジャー。
庶民的な暮らしの真っ当な人間ではあるが…、姉に影響されてか、恋人が居ながら姉の付き添いで出会った男と付き合い、元サヤに戻り…。人によっては妹の方が嫌いになるかも?
生活臭のある色気と年相応のチャーミングさで、サリー・ホーキンスが好演。
パーティーで、再び自分を社交界へ戻してくれそうな男と出会うジャスミン。
しかしこの時、自分の過去や経歴を偽る。
こんなのすぐバレるのに、隠し通せるものでもないのに、どうして嘘をつくのだろう。
結局は、自業自得。セレブの世界から転落したのも、実は自業自得。
自分で羽をもぎ取ったのに、また空へ飛びたいともがく。もがけばもがくほど堕ちていくのに、それでも悪あがき。
ラストシーンは印象的。
あの後、ジャスミンは…?
自分なら何処までジャスミンの悪あがきに付き合うだろう?