劇場公開日 2014年5月10日

「帰って来たウディ・アレン やはり彼の作品ではヒロインが輝いてこそ素晴らしい!」ブルージャスミン Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5帰って来たウディ・アレン やはり彼の作品ではヒロインが輝いてこそ素晴らしい!

2014年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

楽しい

この映画を観終わって直ぐに感想を一事で述べよと聞かれたなら、「久し振りに、帰って来たウディ・アレン」と言うのがぴったりハマる気がしたのだが、みなさんはどんな感想をお持ちになったのだろうか?

私は、「アニーホール」の魅力に魅せられて以来、ウディ・アレンの大ファンになり彼の作品を見守っているファンの一人なのだけれども、私が思うにアレンの作品はやはり女性の魅力が最大限に引き出される作品が一番面白いと思う。
しかも、どこか一癖も二癖もあるような女、云ってみれば普通ではない人物をあたかもあなたの隣に住んでいる普通の友達の様に描き出してしまうところの素晴らしさが、正にウディ・アレンのマジックであるように思うのだ。

彼の描いている人物像はやはり何処にでもいそうでいて、だが実際には、あそこまでは個性的?な人物は現実的には存在しないだろうと言うギリギリの一線を本当に隣に存在しているかのように描き出すマジックがあるのだと思う。

芝居の絶妙の面白さとは、やはりヒロインの演じる人物像が、リアルな香りを色濃く残しつつも、やはり演出された人物で、本当には存在しないアクの強いキャラクターをあたかも好感の持てる人物として、面白おかしく描き出す事で、そのヒロインの持つキャラクターの一部分は、映画のヒロイン程強烈では無いとしても、極普通の一般人の中も潜在的に、ヒロインと同じ性質を持っているのですよと言う部分をさらっと、巧く流していくところの妙を、私達観客自身も、自分達の生活の中にしっかりと投影させてみて、「なる程、なる程、ああ言う嫌な奴確かに存在するな~」とくすりと笑いたくなる、その気持ちを上手に突いて来てくれる作品に快感が観ていて持てるからこそ、彼の作品は楽しいのだ。

だって実際問題、もしも家族や友人や、恋人がジャスミンそっくりのキャラクターだったらこんなに笑って観ていられないし、友達として長―く付き合いたいとは思わないし、絶縁したくなるのが普通だ。

そんな個性的で魅力溢れるヒロインを今回見事に演じきったケイト・ブランシェッドは凄い女優ですね。
やはり日本には、残念だけれどもここまで個性的で癖の有る人物を好感が持てるヒロインとして見られるような、余韻を漂わせるように演じられる女優さんはいないと思う。
映画の登場人物に巧く感情移入出来るように、演出する事が出来るのは、やはり心理学をしっかり応用して、人物のキャラを練り上げて描く脚本と演出プランを持っているウディ・アレン監督ならではの、これぞ、「帰って来たウディ・アレン映画」と言うに相応しい
本当に腹の底から笑える、大爆笑の映画であり、ほろっとさせられる最高コメディですよ!

ryuu topiann