「ブルー(どころの転落人生じゃない)ジャスミン」ブルージャスミン ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
ブルー(どころの転落人生じゃない)ジャスミン
ケイト・ブランシェット劇場。
完全なる彼女の独壇場ですよね、この映画。
ウディ・アレンお得意な周囲の人間模様描写もキッチリ描いてるし、主人公ジャスミンとその妹ジンジャーの恋愛を対比してストーリーが進行したりするんで、出演は彼女だけ!って勿論そんな訳ないんですけども、まあね、それよりもケイト・ブランシェットのこの異質っぷりというか突出感ね。そりゃあどんな演者も霞むでしょうよ。
ジャスミンが劇中でずっと空回ってる感じがこの映画の肝ですからね。バイタリティ溢れてるけど常に空回りしちゃうというか。その空回りを観やがれ!て映画ですから。
セレブから庶民に転落して、プライドだけはやたらに高いし棄てられない。下々の仕事なんかしてられない。習い事教室だって通っちゃいらんない。下賤な人間とは付き合えない。無一文で妹の部屋に上がり込んではいるけど、正直、妹も見下してる。じゃあどうするか!?となると、そりゃ再起を賭けた玉の輿でしょう!ということでイイ男を早々ゲット。培ったセレブ感覚は健在だから、経歴ガシガシ嘘付くし何故か自信たっぷり。そしてそしてどうなるか…どうなるか。
笑えないのに笑えてくるし、感情移入できないほどにジャスミンがクズいから、観客も傍観して行方を見守るだけという。可哀想とは思わないけど、でもハラハラする。身から出た錆で勝手に不幸になって行くんだけど、憐れで痛々しい。
おまけに彼女、終盤に脇汗なんかも掻いちゃったりして。
そんで、あの終わり方。
キッツイ。
キッツイです。
こりゃケイト・ブランシェット、こんな演技やっちゃったらオスカーも獲りますわな。納得です。
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