劇場公開日 2014年5月10日

  • 予告編を見る

「【”虚飾に塗れた人生”を懸命に生きる、愚かしくも愛しき人々の姿をウディ・アレンがシニカル要素多めで描いた作品。】」ブルージャスミン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”虚飾に塗れた人生”を懸命に生きる、愚かしくも愛しき人々の姿をウディ・アレンがシニカル要素多めで描いた作品。】

2020年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

楽しい

知的

ーウディ・アレン監督がシニカルな笑顔を浮かべながら制作した作品
 ・・・だと思う。-

■久しぶりに観ても”インパクト大”だったシーン

 ・ジャスミン(ケイト・ブランシェット)がジンジャー(サリー・ホーキンス)の二人の息子とレストランで食事をするシーン。
 ”ペテンはペテン・・”などと、自分の半生を省みながら、眼を”カッと”見開き、二人の顔を凝視しながら半身を乗り出して、喋るシーン。

 - ”怖いよ、ケイト姉さん・・。二人ともご飯、食べてないよ・・。”
 私はこのシーンの彼女の”セリフと表情”でケイト姉さんはオスカーを獲得した、と勝手に思っている。-
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ・ジャスミン(本名は、ジャネット・・)とジンジャーは姉妹。(似てないなあ、と思ったら、二人とも里子だった。)

 ・ジャスミンの夫ハル(アレック・ボールドウィン:お金持ちオーラが凄い・・)は実業家。
 (お金持ち・・だったが詐欺がバレ、逮捕。)
 ・ジンジャーの夫オーギーは建築家。
 (宝くじで20万ドル当たったが、ハルが薦めた投資に全て注ぎ込んで、全てパア。)で、離婚。

 というイタイ二人を取り巻く人々との絡みをシニカル要素多めで、描いていく。
 冒頭から、イタイのはジャスミンである。
 ハルの事件発覚後、お金がないのに、ファーストクラスを使いやってきて、ジンジャーの家へ居候。

 セレブリティな生活慣習が抜けきれない言動と、現実とのギャップに戸惑うジャスミンの姿は悲哀感も漂うのだが、流石ウディ・アレン監督。
 コミカル要素を塗して絶妙に描いていく。

 ・仕事を探しているジャスミン(飲んでいるのは、ショートグラスのカクテル)のところに、ジンジャーが呼んだのはチリ(ジンジャーが好き)と小男エディ。で、頼んだのは、ビール・・。
 二人は、落ちぶれたジャスミンの状況を遠慮会釈なく、”普通”に話す二人。悪酔いするジャスミン。
ー上手いなあ、ウディ・アレン監督ー

 で、紹介されたのは、歯医者の受け付け嬢。歯医者のフリッカー先生はジャスミンをデートに誘ったり(で、チグハグな会話。)、あの受け付けでの強引なキスシーン。(申し訳ない限りであるが、少し笑う・・)

 漸く素敵な男性、ドワイト(ピーター・サースガード)と出会い、彼の海辺の素敵な家でのキスからの、婚約。
 そして、指輪を買いに行った街で逢ってしまったのは、ジンジャーの夫オーギー・・・。過去を暴かれ婚約解消・・・。

ーあれだけ、トラブル続きだったら、精神薬も6種類”カクテル”で飲まないとねえ。独り言も多くなるさ・・。-

<ジンジャーの家を飛び出し、大好きだった筈のブルームーンの歌詞も忘れて、独りベンチに座るジャスミン。
 普通の映画であれば、悲惨な結末に思えるのだろうが、ウディ・アレン監督の手に掛かると、”仕方がないさでは済まないのは、分かってはいるが、仕方がないさ・・”と思わされてしまう。
 で、エンディングで流れる粋な曲・・。ビタースイートだなあ・・。>

NOBU
こころさんのコメント
2024年3月18日

NOBUさん
ケイト・ブランシェットの演技は勿論ですが、それぞれが違うお酒を飲んでいるシーンなど、結構細部迄作り込んであり、楽しめました。

こころ
きりんさんのコメント
2021年4月17日

こんにちはNOBU さん
たった90分でここまで魅せてくれるとは、やはり監督はムービー界の猛者ですね。

二人女優のボケ×突っ込み漫才を堪能しました。助演サリー・ホーキンスあってのジャスミンのオスカーと感じた次第。
ひとときコロナを忘れて笑かしてもらいました~

きりん