劇場公開日 2014年4月12日

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「Edgar Wright」ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う! Editing Tell Usさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0Edgar Wright

2019年1月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

興奮

エドガー・ライトは現代映画の一角をなす天才映画監督だと思う。
最近は”ベイビー・ドライバー”で一躍有名になったが、笑いをとことん追求しながら、映像にこだわりを強くみせる映画界の鬼才です。スピード感と細かいカメラワークが特徴。

フレーミング
エドガーライトのコメディを語る上で外せないのが、彼のフレーミング。シットコムなどのコメディTVシリーズでは、セリフや行動などで笑いを取るのが基本ですが、彼の作品には、それに加えて、フレーミングで笑いと衝撃を誘う映画として価値のある要素がある。
まずはキャラクターのフレーミング。キャラクターがフレームの中に入る方法と出る方法が特有で面白い。普通のドラマ映画ならありえないような画角で入ってくる。それにカメラワークを加えることで、とても癖のすごいフレーミングが出来上がります。ウェス・アンダーソンにも通じるような、コミックのような世界観が最高。
次にインサート。この作品でも、ビールの注ぎ口のインサートがなんども入りますが、そこのインサート撮りますかね?っていうフレーミングなんです笑。それが我々にはとても新鮮で、テンションが爆上げする。

カラー
意外とエドガーライトが注意深くやっているのがカラー。先ほどのフレーミングのように前面に押し出したような独特のものではないが、サブコンシャス的にコメディーに潜む映画の本質をカラーとしてスクリーンの中に隠している。今作でもビールの黄色と、ロポットたちの青、最後の赤はとても美しい。色味の薄いところにカラーを入れることで、その色がポップアップし、我々の目はそこに向く。さらにはその色、形からトーンを感じ取る。

音楽
数多くのミュージックビデオを作ってきた、エドガーライトならではの才能とこだわり。ベイビー・ドライバーではそのこだわりを120%に使っていたのだが、もちろんこの作品でも、音楽とのシンクロはとても心地いい。プロダクションの段階でここまで気を使っているのは想像を絶する労力とアイデアだろう。そこに、ポール・マクリスのリズミカルな編集。コメディとして最高レベルのリズム感を作り上げている。

脚本を書き、ここまで精密に監督し作り上げられた作品は、現代映画の象徴とも言っていいでしょう。こういう作品は観るのはとても簡単で、ストレス発散要素満載ですが、作るにはまさに職人のような、経験から生まれる工夫と、時間を惜しまない精密な計画があってのことだろう。
なぜかわからないが、エドガーライト目悪そう。んでビデオゲーム強そう。

Editing Tell Us