「まさかこんな事態になろうとは!!よもやよもやだ! …ところで、「二重の極み」は…?」るろうに剣心 京都大火編 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
まさかこんな事態になろうとは!!よもやよもやだ! …ところで、「二重の極み」は…?
「不殺」の誓いを立てた流浪人、緋村剣心の戦いを描くアクション時代劇『るろうに剣心』シリーズの第2作。
剣心は明治政府内務卿の大久保利通から「人斬り抜刀斎」の後継者、志々雄真実の暗殺を依頼される。志々雄の非道を知った剣心は彼を止める為、単身京都を目指す…。
監督/脚本は大友啓史。
○キャスト
緋村剣心…佐藤健。
高荷恵…蒼井優。
斎藤一…江口洋介。
神谷薫…武井咲。
相楽左之助…青木崇高。
清里明良…窪田正孝。
かつて「御庭番衆」の御頭を務めていた男、四乃森蒼紫を演じるのは『嫌われ松子の一生』『カイジ2 人生奪回ゲーム』の伊勢谷友介。
蒼紫を慕う「京都御庭番衆」の少女、巻町操を演じるのは『鈴木先生』シリーズやテレビドラマ『花子とアン』の土屋太鳳。
京都御庭番衆の頭領、柏崎念至/翁を演じるのは『八日目の蝉』『永遠の0』のレジェンド俳優、田中泯。
政府転覆を企む幕末の亡霊、志々雄真実を演じるのは『DEATH NOTE』シリーズや『借りぐらしのアリエッティ』の藤原竜也。
志々雄の部下である天才剣士、瀬田宗次郎を演じるのは『千と千尋の神隠し』『サマーウォーズ』の神木隆之介。
志々雄の参謀、佐渡島方治を演じるのは『踊る大捜査線』シリーズや『悪の教典』の滝藤賢一。
剣心を助ける謎の男を演じるのは『ガリレオ』シリーズや『そして父になる』の福山雅治。
原作の人気エピソード「京都編」を実写映画化。
『るろ剣』の面白さの8割がこの「京都編」に詰まっていると言っても過言ではない。それほどの名エピソードであり、少年漫画界に燦然と輝くマスターピースである。
前作は原作漫画を大きく脚色していたが、今作は原作に沿ったストーリーが展開される。
約5巻分の原作を一本の映画に凝縮しているため、140分近い上映時間があるにも拘らず少々忙しない。しかもその割に、物語運びには鈍重さを感じる。もっと原作を切り詰め、映画用の脚本に練り直すべきだったと思う。四乃森蒼紫のエピソードとか、本当に必要なの?そんなに剣心に会いたかったら、志々雄真実と合流すればいいのに。ジジイを斬っとる場合か!?
とはいえ、前作に比べてとにかく物語のスケール感はアップ!舞台を東京から京都に移し、日本政府の存亡を賭けた大バトルが繰り広げられます。
しかも今回は最強最悪の敵・志々雄真実が大暴れ。もうこれだけでつまらなくなる筈がない!!キャー、志々雄サマー💕少年漫画的な要素が前作よりも強く押し出されており、娯楽映画としてはかなり楽しめました。
ルックのカッコよさは前作同様とっても良い。
青みがかった色調、リアルな汚れ、美しい京都の街並み…。雅な映像美には目を奪われます。
前作では少々不満のあったキャスティングだが、今作に関しては特に問題なし。
志々雄真実という殆ど顔が見えないキャラを熱演した藤原竜也も褒めたいが、MVPはやはり神木隆之介くん!えっ!漫画からそのまま飛び出して来ました!?ってくらい、宗次郎にそっくりなんだもん。こりゃビビるわ…。多分漫画実写化史上最高の再現度だと思います。この瀬田宗次郎を生み出したというだけで、『るろ剣』を実写化した意味があったと言えるのではないでしょうか。
そういえば、何があったのか知らんが、武井咲がめちゃくちゃ綺麗になっていてビックリ!「こんなの全然薫じゃないやい!」とか思っていたんだけど、今回はちゃんと薫でした。前作からの僅か数年で女優として磨きが掛かったのでしょう。お見事です👏
結構楽しめたのだけど、苦言を一点。
今回は前回にも増して、コスプレ大会感が強い…。志々雄さまの包帯姿なんてかなり滑稽でほぼコミケ。もう少しリアリティのある包帯姿じゃダメだったのだろうか。
最大の問題点は刀狩りの張。お前はヤンキー漫画のキャラクターか💦流石に原作のビックリドッキリ武器「薄刃乃太刀」は出てこなかったけれども、それでもやっぱり張の存在はぶっ飛び過ぎてる。せっかく映画のルックはカッコ良いのだから、もう少し漫画感を抑えたキャラ造形には出来なかったのだろうか。漫画の見た目を忠実に再現しようとすればするほどどんどん冷めてきちゃう。操や蒼紫さまでギリギリ。それ以上はアウトっす。
……どうせ忠実にやるなら、京都御庭番衆のセクシー忍び装束まで再現してくれれば良かったのにね。
原作に忠実だと思っていたら、クライマックスで大ドンデン返し。あの煉獄がっ!よもやよもやだ!!
月岡津南の炸裂弾さえ有れば…。っらあ!!🧨🧨🧨💥💥🚢🫧
原作とは違うオリジナルな展開というのは、個人的には全然あり。だってどうせなら全く知らない物語を楽しみたいじゃん。とはいえ、正直本作はあんまり上手くない。だって完全に薫が足手まといキャラになっちゃってるんだもん。だからお前付いて来るなと言われただろうに…。薫がピーチ姫状態になるというのは前作で既に観ているので、正直「またかよ…」と思ってしまった。様式美といえばそれまでだけど、わざわざオリジナル展開でやる事だとは思えない。もっと別の切り口を見せて欲しい。
福山雅治の登場は、『龍馬伝』(2010)とのクロスオーバーか!?日本の夜明けぜよ!
…いやまぁそんなことは無いだろうけど、なんにせよここから先は原作既読組でも全く予想がつかない。東京は火の海になっちゃうの!?次回が気になります!
……あ、そういえば安慈和尚は!?
なんかモブでそれっぽい人がいたけど、まさかあれじゃないよね!?和尚がいないと左之助が雑魚のままじゃないか。
全小学生男子が真似をしたであろう左之助の必殺技「二重の極み」、どうやら実写版では拝見出来そうにないっすね😮💨
