劇場公開日 2014年8月1日

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るろうに剣心 京都大火編 : 映画評論・批評

2014年7月28日更新

2014年8月1日より丸の内ピカデリーほかにてロードショー

アクションのうねりがドラマを撹拌していくスピーディな痛快作

痛快。エンドロールまで2時間を越えていたのが信じがたいほど掴まれた。

近年、人気コミックの実写化でこれほど成功した日本映画シリーズもなかなかないだろう。前作に続き、いや、前作が序章にすぎなかったことを改めて思い知らされるクオリティだ。捕り物中の斎藤一(江口洋介)が部下を率いて登場——という、あえて前作をなぞるような幕開けからして、その自信のほどがうかがえる。

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るろうに剣心」の実写化がうまくいった理由はいくつかある。まず、佐藤健の緋村剣心をはじめとするキャラクターのなりきり具合(監督の大友啓史が本シリーズの前に演出を手がけた「龍馬伝」のイメージを上手くスライドさせているのも巧い)と身体的なリアリティのバランス。さらには、アクション・シーンの説得力。前作の時点ですでに「飛天御剣流かくあらんや」というスピードとテクニックにより日本映画の殺陣を刷新した感すらあったが、本作ではさらなるリミッター越えに成功している。

二部作連続公開の前編ということもあるのだろうが、とにかく飛ばす、飛ばす。特に神木隆之介演じる瀬田宗次郎の速度感は、その軽さと相まって凄まじいことに。四乃森蒼紫(伊勢谷友介)、柏崎念至(田中泯)、巻町操(土屋太鳳)らもキレキレである。そして、なんといっても藤原竜也演じる志々雄真実だろう。世界を呪詛する異形の悪玉を、眼差しの強さとすくっと立った発声で魅力的なものにしている。

ドラマのピークがアクションになるというよりも、アクションのうねりがドラマを撹拌していくような物語運びは、むしろ原作未読の観客にとっても乗りやすい構造なんじゃないだろうか。この「京都大火編」に関して言えば、アクション監督・谷垣健治の功績は、大友監督と並べて称すべきレベルかもしれない。

ラストに置かれたヒキも効いている。一カ月後には後編公開、というテンポもまたうれしい。

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