「壬生の狼を飼う事は何人(なんぴと)たりとも出来ん」るろうに剣心 京都大火編 pipiさんの映画レビュー(感想・評価)
壬生の狼を飼う事は何人(なんぴと)たりとも出来ん
シリーズ5作の中では本作が1番好きです。
原作改変や京都大火のタイミング、煉獄が破壊されない事についてなどは賛否両論ありますが、11巻に及ぶストーリーを5時間弱に収めるには適切だったかと。
「詰め込み過ぎ」ではありますが、息をもつかせぬ展開の連続で非常に面白かった。
また、藤原志々雄は原作から抜け出してきたかのような再現度で、実に見事でありました。
ただ、いくら原作と映画は別物だとはいえ「ここは許せない、譲れない」というポイントはあります。
最たるものは「左之のバカさ加減」
前作でも気になっていましたが今回の
・左之が大久保利通を知らない
これはあり得ないでしょう!
赤報隊の生き残りとして、明治政府を強く憎んでいる左之です。
維新三傑、新政府の頂点である大久保卿の事は当然知っています。
(原作では大久保卿を知らないのは、お子ちゃま弥彦の役目です)
また、前作に関して原作を知らない方の中には「最後、権力側の人間に力を貸して貰っている」という見方もありました。これは映画における「斎藤の人物像についての説明不足」の証左でしょう。
「俺が密偵として政府に服従しているのは明治を喰い物にするダニ共を、明治に生きる新撰組の責務として始末するため」
「私欲に溺れ、この国の人々に厄災をもたらすようなら「悪・即・斬」のもとに斬り捨てる」
「壬生の狼を飼う事は何人にも出来ん」
という斎藤の真意。
決して警察の犬ではなく、むしろ剣心に近い人物である事を、ハッキリと映画の中で描いて欲しかったです。
改変するなら尚のこと「皆さん、原作読んで知ってるよね?」みたいな観客任せにしちゃダメなとこでしょ。
薫を拐う必要あったかな?
大量の志々雄影武者、必要あったかな?
とも思いますが、これはまぁ絵的に賑やかになったり緊迫感増したりの効果もあるから許容範囲か。
蒼紫が微妙に痛いですねー。
やっぱり前作、観柳の守りは蒼紫&御庭番衆で良かったんじゃないかなー。
剣心と蒼紫の心理的絡みが前作で出来ていないから、蒼紫がただの問題児ってかターミネーターになってるw
伊勢谷蒼紫が格好良いだけに、勿体ないと感じました。
と、色々書きましたが、これらすべてを減点しても、まだ星5に足る面白さでした。エンタメ大作です。