劇場公開日 2014年1月31日

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「狂気に彩られた栄光と破滅」ウルフ・オブ・ウォールストリート としぱぱさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0狂気に彩られた栄光と破滅

2014年2月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

ウルフオブウォールストリート。
日本風に言えば『兜町の風雲児』。
一介の証券マンが如何にして巨額の
富を得、登りつめたか。
その裏には人の心を操る天才と狂気に
彩られた金への渇望があった。

背景や原作を考えるとプロットや題材自体は
特に優れた、奇抜なものとは思わない。

しかし、この作品の素晴らしさは
幾つものポイントで整理すると解りやすい。

まず、スコセッシ監督の見事な手腕。
作り方によっては只の下品なB級作品に
なりがちなものを見事にまとめ上げた。

次に脚本。
前半の土派手なサクセスストーリーから
後半のエンディングまで陽と陰の描き方。
二時間半を感じさせない様、細かな話題を
はさみつつ、観客をグイグイ引き寄せる。

次に主人公を演じるディカプリオとその
仲間たちのキャラが魅力的である。
何となくではあるが、主人公の持つ
強烈な個性が、むしろディカプリオを
狂気と共に動かしたと言えるかも。

最後にテーマ。
金と欲望。
これほどエンターテイメントとして
使いはやされ、かつ、難しい題材を
強烈な俗物作品として昇華させたこと。

娼婦やセックスシーン、様々なコカインを
始めとするドラッグ類の数々。
通常はこれらをテーマとするだけで
成立する禁断の題材なのだか、スコセッシ
監督はそれらを単なる彩りとして使いこなす。
よく、オスカーにノミネートされたな。
とにかく下品だし、登場人物はまず、
一分間に一度は「ファ○ク」という
言葉を放ち、時には連呼。
まさにR18当たり前の作品。
とても永遠にテレビのロードショーには
出すことができない(笑)過激作品。

これらの類を見ない、ファクターの数々が
この作品を魅力的なエンターテイメントと
して成り立たせている。

これほど、えぐい、面白い、まさに超ド級の
エンターテイメントと呼べる作品は少ない。

主人公がドラッグと欲望に酔いしれる様に
さあ、皆さん、この作品に酔いしれましょう!

としぱぱ
かせさんさんのコメント
2024年3月8日

シーンを露悪的に強烈に出来たのは、数々の犯罪映画をモノにしたスコセッシ監督の力量でしょうね。

かせさん
浮遊きびなごさんのコメント
2014年2月14日

としぱぱさん、
返信ありがとうございました!

『ウルフ・オブ~』は色々とトンでもない映画
でしたね。年始早々4.5判定を連発してたので
躊躇してた所があったんですが、やっぱり
4.5~5.0が妥当かなぁと思えてきました。
3時間の長尺なのに最後まで笑えて、しかも
あの血管破裂しそうなテンションですもん。
テクニックもテーマも恐ろしい映画でした。

レビュー、面白いと言ってもらえると嬉しいです。
違う意見も歓迎と言ってもらえると更に心強いです。

僕は逆にエンタメとしての面白さを度外視して
作品を評価してしまう事もあるので、冷静に
エンタメとしてどーよ?という点を考える上で、
としぱぱさんのレビューは非常に参考になります。
まずはやっぱ楽しめなきゃ!ですものね。

>限られた中で時間作って見る訳ですから
>出来るだけ楽しみたいじゃないですか。

100%同感です。
どう観ればその映画を一番楽しめるのか?
お互いのレビューで探ってければ最高ですね。
まあ、ツマランと思った映画にツマランと言える
度胸も時には必要ですが……
(例えば『怪○くん』……(笑))。

それではまた!

浮遊きびなご