劇場公開日 2014年1月31日

  • 予告編を見る

「特異稀な構造のジェットコースター」ウルフ・オブ・ウォールストリート crawlonさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0特異稀な構造のジェットコースター

2014年2月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

「貯金ゼロから年収49億円 ヤバすぎる(実存:ジョーダン・ベルフォートの)人生へようこそ。」ということで、「たったの179分間」、彼の人生を追体験できる...わけがない。

金持ち自慢から始まり、金持ち自慢で終わる。もっとも貯金ゼロからヤバい手段でもってウォール街を騒がせ飛ぶ鳥を落とす勢い、果てはFBIに「撃ち落とされ」逮捕・刑罰の転覆といった物語の起伏があって単純ではありませんが、言うなれば、世界中何処にもないだろうジェットコースターに乗った感覚がお土産でした。
というのも、序盤のテンポは素晴らしく、そのギャグ調のせいもあって、まるで超高速漫才を見ているかのように感心してしまい、まさにエンターテイメント。経済学なんて分からなくとも大丈夫、一気にジェットコースターの頂まで上昇します。
しかし、その特異稀なジェットコースターの構造とは、「わ!ヤバいことをした報いが来るぞ!とんでもない急降下で皮や肉もろとも吹っ飛ぶぞ!」なんてことはない角度的に10°ないし20°ほどの緩い坂だったのです。
これは彼に対する「皮肉」でしょうか。

本作はジョーダン・ベルフォートという一人の生き様を彼の自伝を基に描いています。その内容は知りませんが、恐らく自虐調であったことは想像するに難くなく、その自虐が本作でギャグないしエンタメ性に富んだ脚本へと昇華したのかも知れません。彼を賞讃してはないでしょうし。とすると、やはり後半のズルズル感も制作者の意図するところで、結局は、料金1800円の「アトラクション」としては中々楽しめたのではないかと思い返すわけです。

(『マグノリア』のトム・クルーズを思い出す人も多かったのでは…)

crawlon