ぼくたちの家族 : 特集
「舟を編む」石井裕也監督の最新作が、今にわかに話題になっている──
果たして、その中身とは? 試写会で映画ファンに聞いた!
第86回アカデミー賞外国語映画賞日本代表に選出されたほか、国内の数々の映画賞も受賞した「舟を編む」の石井裕也監督が、“家族”に全力で向き合った最新作「ぼくたちの家族」が5月24日に公開される。にわかに話題を集めている同作の見どころについて、映画.comでは2回に渡る特集で紹介。第1弾は、試写会ユーザーのコメントでお伝えする。
■アカデミー賞外国語映画賞日本代表作を生んだ若き俊英が
妻夫木聡らとともに全力で《家族》と向き合った渾身作
2008年に香港アジア・フィルム・アワードで第1回エドワード・ヤン記念アジア新人監督大賞を受賞し、09年の「川の底からこんにちは」でブルーリボン賞監督賞を歴代最年少で受賞。そして13年の「舟を編む」では、第86回アカデミー賞外国語映画賞日本代表作品に選ばれるという快挙を成し遂げた石井裕也監督。日本アカデミー賞をはじめ、国内の映画賞を席巻した記憶も新しいこの若き俊英が、満を持して“家族”というテーマに正面から向き合った最新作が誕生した。
「ぼくたちの家族」は、ある平凡な一家に突然降りかかった悲劇──若菜家の母・玲子に脳腫瘍が見つかり、余命1週間を宣告されたことをきっかけに、混乱する父、ぼう然とする社会人の長男・浩介、冷静でいようとする大学生の次男・俊平の男3人が、奇跡を信じて一丸となっていく姿を追う物語だ。
どこにでもある平凡な家族に訪れた事件は、玲子が隠してきた家族への不満や、父の多額の借金など、これまで伏せられてきた数々の問題を浮き彫りにする。男たちは、とっくに壊れていた“家族の現実”に肩を落としながらも、それでも「母親を助けたい」という強い思いから、最後の“悪あがき”に奔走することになる。
映画化もされた「ひゃくはち」の新進作家、早見和真の同名小説を原作に、「これは僕自身の話だ」と驚いたという石井監督が脚本も執筆。若手実力派の妻夫木聡と池松壮亮が、優しいがゆえに苦労を背負うことになる長男と、斜に構えた振る舞いを見せながらも、実は純真な次男という兄弟役を演じ、誰にでも当てはまる普遍的な“家族”というテーマを、新しい世代の視点から描き出している。そして、頼りないながらも、家族を愛する気持ちが憎めない父親役は長塚京三、病気の影響で少女のような天真爛漫(てんしんらんまん)さを見せる母親役には原田美枝子。若手とベテランの演技派の熱演によって、見る者すべてが感情移入できる見事な家族像が完成した。
いつ、どの家族に起こってもおかしくない事件。「ぼくたちの家族」は、見る者それぞれにとっての“家族”を映し出す、若き才能たちの渾身の1本なのだ。
■“余命1週間の母をめぐる家族の物語”の試写会を開催
感動?共感?影響?──映画ファンは、本作をどう受け止めたのか?
本作の公開を前に、都内にて映画.com独占試写会が開催された。ある平凡な家族に起こった事件のてんまつ、“余命1週間の母をめぐる家族の物語”を、映画ファンは果たしてどう受け止めたのか。驚くべきことに、「今日『ぼくたちの家族』の試写会に来てよかったと思いますか?」という問いに、「はい」と答えたユーザーは100%。すべての参加者が、「見てよかった」と答えているのだ。
彼らが感じた「よかった」ということを、「感動」「共感」「気づき」「映画的評価」というキーワードで分類し、コメントを抜粋した。「ぼくたちの家族」という作品が持つエッセンスを感じてみてほしい。