「なにゆえの「ラップ・ミュージカル」」TOKYO TRIBE しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
なにゆえの「ラップ・ミュージカル」
本作、映画ファンには非常に違和感があるだろう。
「園? 三池じゃないんだ?」
器用な(上手い、とは別)三池と違って、また人間的にやばい中島と違って、非常にシンプルな変態の園がラップ?
そもそもラップと園のベクトルは真反対。
はたして、本人にこれを撮りきる自信がなかったのは、よく絵に出てる。
「自分に素直な変態」園監督。
ラップを絡めた絵作りがまるで、画一的で、ラップのイメージの貧相なこと、極まりない。
とにかくラップが古すぎる。しかしそれ以上にはっきり言って、曲がつまんねえんだよ。
この映画の性質として、ラップで絵とシーンをつないでいく、という方法はわかる。
そのため、ストーリーは必然的にドシンプルになってんだけど、絵的には、ラップでテンポアップしなくちゃいけないのに、その曲すべてがダサく、逆に冗長に感じさせてる。
「ラップ・ミュージカル」、と銘打つならば、そこに意義を持たせるべきだろう。しつこくリズムを刻んだBGMと通常の会話がリンクしているんだから、わざわざ盛り上げるときは、いい曲を使わないと。
でなければ、何故えの「ラップ・ミュージカル」だっつうの。
この、「なにゆえ」ってところが、もうね、ごっそりと欠けてんのよ、この映画。
また、ラップと長回しの撮影をクールでダルな感じで見せたいんだろうけど、妙に中途半端でむしろ、ダサい。
また園監督大好きのパンチラアクションも、スローを駆使した「300」風のアクションもだせえし、そもそも「ラップ」じゃねえし。
アクションに熱量?ラップに熱量なんて要らねえっつの!
叫んでて、血みどろになりゃ、熱量上がる、ってそりゃ、お前らの好みの問題。
演者も、窪塚洋介は困ったもんだねえ。だれか言ってあげなよ。いつもおんなじだよって。必要とされるには大事だ。しかし、あなたの志はそんなところだったのか?と期待を込めて問い詰めたい。
追記
関東圏以外の人にはまるで訳わからないTRIBEの説明不足感、出す必要のないものをCGで出したり、登場人物のキャラ設定が、ラップの精神と真逆に、全然奥行きがないし、わざとな品格を落とすような振る舞いはまあ、ご本人の意図として、それはそれとして構わない。
しかし、観客が巻き添えになっていることを忘れてほしくないね。