「日本におけるhip-hop感」TOKYO TRIBE Hanaさんの映画レビュー(感想・評価)
日本におけるhip-hop感
園子温監督作。原作はBoonで連載していた井上三大の漫画Tokyo Tribe2。リアルタイムで読んでいて思い入れも非常にある作品だ。原作はポップカルチャーとしてのヒップホップを上手く伝えていた傑作。
今回の映画化に関して園子温監督はミュージカル仕立てといった形でヒップホップのカルチャーを描いた。現役ラッパーも数々出演しており主演のヤングダイスはカイそっくりで驚いた。ブッパを演じた竹内力はちょっとやりすぎだが、このくらいのリアリティーラインの映画としてはまあまああり。ちなみに今回で練馬ザファッカーが評価を上げていると信じたい。
今回は挑戦だった。日本でヒップホップを描くということは非常に難しい。クールに見せようとするほどダサくなっていく。それはやはり日本においてヒップホップカルチャーの浸透していなさが原因なのかもしれない。本当に素晴らしい音楽だと思うのだが、そこが少し残念。
サイタマノラッパーのように頭からヒップホップはダサいものとして作るしか今の日本だと出来ないのかもしれない。真正面から日本のヒップホップを描くのは出来ないのだろうか。今回はミュージカルという「逃げ」に思えて仕方なかった。
今回の一番の問題はライムの旨さだろう。やはりラッパーと俳優ではスキルの差が大きく出てしまう。ラップに合わせて字幕を出すというのは賛否別れる所だが、言葉遊びとしてのライムを視覚で受けとるというのはありだろう。
日本におけるヒップホップ体系をしっかりと真正面から描いたものが見たい。そこに込められた想いや音楽性は素晴らしいものだからだ。ニューヨークの小さな街で始まったパーティーがここまで届いている。何かに憧れたりかぶれてみたりすることはかけがえのないものだと信じている。