ラッシュ プライドと友情のレビュー・感想・評価
全201件中、161~180件目を表示
もっとでかい音で!
若い時に見に行ってたF1を思い出しました。
臨場感ある画像はとても楽しめましたね。
しかし映画館であるため音はちょっと寂しいものでした。
もっとでかい音で再生して欲しかったですね。
現場で聞くと心臓を鷲掴みされたようなすごい迫力です。
多分100倍くらい大きいと思います。
この映画がきっかけでレース観戦者が増えると良いですね。
男は女より車みたいなセリフがあり何となく納得できましたね。
特に若い時は速さだけでなくメカニカルにも興味をもち部品交換なんかほとんど自分でやりました。
若い子が1BOXに乗りメンテフリーなカーライフを送っているのがかわいそうです。
皆でF1見に行きましょう!
人生最高の映画を塗り替えたかどうかはわかりませんが、良い映画です
1976年のF1を舞台に描く、ジェームズ・ハントとニキ・ラウダの友情。
良いですねぇ。単なるレーシング映画ではありません。確かに、ヒューマンドラマです。「事実は、小説より奇なり」と言う言葉がありますが、この映画の場合は「事実は、映画よりドラマティック」と言えるでしょう。
“レーシング映画では無く、ヒューマンドラマだ”とは言いましたが、F1を描いていますので、レーシングシーンは避けられません。そして、そのレーシングシーンが、これまた、リアル。それもそうですよねぇ。『アポロ13』であり得ない角度からの、アポロ13号打ち上げシーンを映像化したロン・ハワード監督ですからねぇ。ただ、この作品では、模型ではなく、実際のF1マシーンを集め、当時のF1マシーンに合うように改造して、リアリティーを追求しています。そのF1部門にはヨッヘン・マスが、統括として協力したらしいです。そりゃぁ、リアルなF1マシンになりますよね。
物語は、ジェームズ・ハントとニキ・ラウダの愛憎半ばの関係を描き出しているのですが、文字通り命を賭けて争っている相手だからこその、シンパシーとか、あるいはもちろん、嫉妬とかもあるんでしょうね。付かず離れず、頭にくることもあるけど、やっぱり信頼していると言う二人の関係がうまく描かれていました。
ラストは、FISCO改めFSWでのF1世界選手権イン・ジャパン。日本でF1チャンピオンシップのカタが付くって、昔からなんですね。セナ・プロスト時代だけじゃないんですね。まぁ、毎年終盤に開催されるので、そう言うチャンスも多いでしょうけど、F1本場のヨーロッパではなく、極東でチャンピオンシップが決まるというのも、何とも、皮肉な感じもしますが・・・。
で、セナ・プロスト時代のことではなく、映画の話。この1976年のF1世界選手権イン・ジャパンも、結末は衝撃的ですね。って言うか、あれほどの天気なら、中止と言う判断が、まともな判断だと思うんですが、興行と言う観点では、チャンピオンシップが懸かったレースを取りやめるわけには行かなかったんでしょうね。
いや、良い映画です。人生最高の映画を、塗り替えた?それはわかりませんが(笑)。
レースシーンが圧巻
レースシーンが鳥肌モノです。音で劇場が震え、レースを真近で見ている感覚。これだけで、見に行く価値が充分あり。
F1を身始めた最初が、ニキラウダの事故の後なので、この二人は良く知っていました。ドライバー視点の画像や、事故の映像。エンジン音の、すごさ。
少しのミスで、即事故になる状況が、伝わってきます。雨の中でスピードを出す事の異常さが目の前で展開されます。
予告編のポイントがずれています。友情やプライドなんかじゃない。そんなことではなく、レースを見に行く感覚です。その迫力を見に行ってください。
F1を舞台にした人間ドラマ
F1を舞台にニキ・ラウダとジェームス・ハントという対称的な二人のチャンピオン争いを描いたドラマです。事実を元にしたドラマですが、F1のシーンも迫力があって面白かったです。 映画では割とあっさりと描かれていますが、ラウダが大事故から早期に復帰するのは本当にすごいです。この時代のF1は既に伝説になっているので、それが実際に体験出来たようで良かったです。
静と動。F1ライバルストーリー。
いい作品だった。
迫力あるレースシーン。
響き渡るエキゾーストノート。
まるでドライバーになったかの様な
地をはうカメラワーク。
レースを、車を、良く理解している
スタッフで作成されたのであろう。
脚本も良かったです。
主人公の一人、ニキのセリフで言えば
ガキ時代(F3)の頃の確執から始まる
二人のライバルストーリー。
言うならば静のラウダ、動のハント。
性格、考え、私生活にいたるまで
対照的な主人公達。
所々でエピソードを挟みながら、
クライマックスまで突き進む。
キャストも文句なし。
全くの本物に見えました。
特にクリス・ヘムズワースには
やはり長髪が似合います
総合では満足なのだけど
不満もチラホラございます。
一つは、過剰なラウダの火傷の跡。
少し過剰演出かな。
二つ目がクライマックス時の音楽。
上手く、言い辛いのだけれども、
なんかこう感動を増長させるもの
ではなくって、車や歓声を邪魔しない
遠慮気味であるが為に、むしろマイナス
になってるのではないかな。
三つ目は同じく、クライマックスシーン。
本当のレースの時間の様に淡々と進む。
二人のカーバトルがラウダの棄権で
無くなったので、わざとかも知れないが、
ストップモーションを使った息をのむ
ゴールやこま割やカットが一つも無かった。
個人的には、同じスピードで進むより、
一瞬の溜め(静)とスローなカット割り。
そして大音量の音楽と共に訪れる
クライマックス(動)。
これが好きなんだけどなあ。
あわせて何かクライマックスの後の
余韻も何故か短いのである。
だから感動もすぐに覚める。
映画みた後、映画館から帰る際に
感動に浸る時間が短かった。
残念。
でも、最後にラウダとハント本人の
画が差し込まれていて嬉しかった。
静と動のライバルストーリー。
二人に感謝。
友情というより賢人たちの物語…
レースに興味がないからこの話は全然知らなかった訳ですが、まあ、この二人、いろんな意味ですごいですね。
最悪のコンディションの中、レースで瀕死の重傷を負うニキ。ワールドチャンピオン目前で今後のレースに参加できなくなり、更に、ライバルのハントに追い抜かれてしまいそうな気配。抜かれないために必死のリハビリでなんとかシーズン最終レースに参加することが出来たニキだったが再びそのレースは大嵐の最悪のコンディションで実施されることになり…。これが日本開催レースだったんですね。
無名時代からの二人のライバル関係が描かれるわけですが、お互い仲良くはげましあったりとか、そんな甘っちょろい関係ではありません。スポンサーまで絡めた必死の成功ストーリーから、お互い嫉妬全開のバリバリ争い。全然正反対の二人だから認め合うことなんてこれっぽっちもない。しかし、世界1を目指す目標は同じ。世界1は一人しかいないからそれは当然ライバル関係にはなるわな~。
大事故を起こした後のニキのリハビリもすさまじいです。これが事実なんだから恐ろしい。すごいを超えて常任には真似出来ません。これもライバルがいたからこそ出来た業。すごいです。
シーズン最終レースでニキが選んだ道は納得させられる結末でした。えらい!やっぱりニキもヒトなんですね。
それにしても時間がないから吹き替え版で観たのですがやはり失敗。有名人は使わないでほしいな~。中途半端に顔ちらつくし上手くないし…。おまけにラストにおまけつき。映画の雰囲気壊れるからすぐに退場しましたが…。
昔の実際のレースを知らなくても
楽しめる映画でした。二人の心の変化が分かりやすく、お互いを認め合う姿に感動。
とにかくかっこいい映画!
二人ともご本人にそっくりでした。
静かに映画史に残る傑作
アカデミー賞も目前、『アメリカン・ハッスル』や『ウルフ・オブ・ウォールストリート』が注目されている中、私の本命は『ラッシュ/プライドと友情』だった。
先行上映で一足先に劇場に足を運んだが、やはり期待を裏切らない出来だった。F1に関しては全くと言っていいほど無知であったが、むしろF1の魅力に取り付かれてしまう映画だった。レースシーンには『スラムドッグ・ミリオネア』のプロダクション・デザイナーであるマーク・ディグビーが手がけるだけあり、最高に興奮する仕上がりとなっていた。レースカーに仕掛けた30台ものカメラが、観客をレーサー体験へといざなう。本当に死を間近に感じるようなレースシーンは何度見ても手に汗をにぎる。
しかも、そのレースシーンを無駄に多用することは決してない。この作品はF1の映画ではないのだから。ライバルとしてともに生き抜いてきたレーサーたちの熱いヒューマンドラマである。見た目も性格も全く正反対のハントとラウダ。彼らの人生の合間合間にレースという戦場がある。この映画はしっかりとラウダとハント、二人の人生にフォーカスを当てている。そのスパイスとして、抜かりのない完璧なレースシーンがあるのだ。
あえて惜しい点をあげるならば、ラウダとハントの絡みが少ないのが残念である。彼らはプライドのためか、積極的に互いに干渉せず、ライバルとして意識をしている。それがラストのいい演出へとつながっていくのだが、実はパンフレットには二人の笑っている当時の写真が載っている。私は画面の中でも彼らが心を許し、くだらないことで笑いあっているシーンも見たかった。これも友情の形なのだろうと納得するが、彼らを愛しているがゆえに、少々残念だった。
史上最高のF1映画
20年来のF1好きで、これまでいくつかF1映画も見てきたが、正直どれもパッとしなかった。
しかし、これはF1好きだけでなく、純粋にヒューマンドラマとして面白く、秀逸な作品と評価できる。2人の天才ドライバーが織り成す人間ドラマ。実話とは思えないドラマの数々。迫力あるレースシーン。素晴らしい作品に仕上がっていた。
ニキ・ラウダはF1に人生のすべてを捧げるストイックな性格で、超がつくほど真面目。学者肌で物事をとことん理詰めで考え、マシンへの理解力が高く、高いセッティング能力とマシン開発能力を併せ持つ。非常に知的で自信家。揺るぎない信念と強固な意志、芯の強さを併せ持つ。しかし、その性格と才能が故に周囲を見下し、軋轢を生み、人望もなく常に孤独。
対するジェームズ・ハントはひと言でいえば天才肌。性格は破天荒で社交的。人を楽しませるのが好きで、周囲の人望もある。女遊びが趣味で、オフはパーティに入り浸り。喫煙者で酒豪というスポーツマンらしからぬ私生活。しかし、いざマシンに乗りこむと、本能と感覚でマシンを操り、ずば抜けた速さを発揮する、まさに天才。しかし、人間としては非常に脆く、心が弱い。レース前の重圧で吐くこともしばしば。彼の私生活が派手なのも、レーサーなんて明日死んでもおかしくない。だったら、いまを思いっきり楽しもうぜ、という心理の裏返しでもある。
ここまでなにもかも対照的な天才2人が、同じ時代に存在し、F1の下のカテゴリーであるF3からライバルとして凌ぎを削ってきた。性格の違いから反目しつつも、お互いをライバルとしてその実力を認め合う。
その描き方、ストーリーへの乗せ方が秀逸で見ていてまったく飽きない。F1ならではのレースシーンも、しっかり迫力が伝わってきた。
F1のエンジン音の迫力は、テレビで観てる分にはまったく伝わってこないものだが、映画では迫力があった。
映像も、過去の実際のレースシーンを交えながらも、古臭さはそれほど感じない。カメラワークがよく、映像も再現性を保ちつつ、映画ならではの迫力ある映像が撮れていた。
特に秀逸だったのがヘビーウェットの最終戦日本GP。ウェットレースのドライバーの視界がどれほど劣悪で、そんな中レースをすることが、どれほど困難か。常人にはとても真似できないものである、ということが分かる映像だった。しかし、これはフィクションではなく、F1ドライバーとは実際このような視界で運転している。F1ファンとしては、それが分かるだけでも、この映画を見る価値があったと思う。もちろんF1にも車載カメラはあるが、映像として成立させるために、水滴がしっかり落とされたもので、ドライバーの視界がどんなものかは分からない。自分も長年F1を見ているが『こんなに見えないものなのか』と驚かされた。
そして、ニュルブルクリンクの事故。ラウダは400度の熱風に1分間晒され、肺の中まで火傷を追う。顔はそれが誰だか分からないほど焼け垂だれ、誰の目にも再起不能に思えた。
治療は見るに耐えないほど過酷で、金属の太く長いパイプを口から肺まで突っ込み、肺に溜まった膿を吸い出す。焼け垂だれた皮膚に貼られたガーゼを剥がし、体の皮膚を顔に移植する。麻酔もない。
しかし、彼は悲鳴を上げながらヘルメットを被り、事故からたった42日でレースに復帰する。結果は見事4位完走。これがフィクションだったら、よくある展開だろう。しかし、これは紛れもない実話。それが余計に感動を呼び起こす。
ニキ・ラウダの不屈の精神に敬服し、2人の天才が織り成すライバル関係に心打たれた。
F1に興味ない方にとってはどうか分からないが、少なくともF1ファンは絶対に観ておくべき映画だと思う。
そして最後に、余計なのは承知で…
現代のF1に足りないのは、この人間味や個性だと思う。
至るところにドライバーエイド(運転を補助するような装置)がつけられ、センサーに管理された現代のF1。それがF1の進化の仕方だと言われればそうだが、やはりこの映画のような人間味も残して欲しい。もう少し機械に頼らないF1であって欲しいと思う。
ハント。ジェームス・ハント。
試写会が当たって鑑賞後、感想を書かないうちに先行上映。
F1好きの友人に誘われてニ回観ることになってしまったけれど、
却って深く観ることができたので良かったかもしれない。
車にもF1にも詳しくない私は、二人のことを全く知らなかった。
ただラウダの事故に関しては、ニュースで何度か観たので分かる。
1分間も炎に包まれてよく生還した!もうそれこそが衝撃である。
大事故に巻き込まれながら命が助かる人というのは、なにかしら
その後の人生に意味があって生かされた人なのだ、と思うのだが、
ラウダはその典型なのかもしれない。
己のプライドと闘争心が、彼を事故から42日間でレースへと戻す。
映画では、徹底的に闘うライバルとしてのみ描かれているが、
F3時代から何かと付き合いが長かったので、親交はあったようだ。
さらには資産家&実業家の両親を持ち、二人が裕福な家系出身で
あったことも言うまでもない。その後の人生が、まるで映画俳優の
ように煌びやかな結婚・離婚を繰り返したことでも一致している^^;
今作ではレース以外の双方の心理面の掘り下げが深い(さすがロン)
当時の奥さん方はかなり苦しんだだろう(女性の立場からすると)
しかし、ハントの嫁が、あのバートン&リズの離婚原因を担っていた
スージーだったとは!ビックリした。意外な繋がりがあったのねー。
驚くべきは二人同様、奥さんの方も顔がソックリ(爆)
コイツにだけは負けたくない!と思うのは普通にあることだけど、
確かにそれがあるから成長できる部分というのがある(特に仕事面で)
タイプも性格も対極にあり悉く反発し合う二人なのだが、狙う目標は
同じところにあるのが面白い。もうそれだけでかなり通じ合っている。
ラウダの事故は痛々しいものだが、あれとてハントが煽った?にせよ、
状況も判断ミスも関係しており、普段のラウダならすでに止めていた。
最終決戦の富士で、ラウダがとった選択こそ従来の彼らしいと思うが、
そういった一瞬の判断を惑わせてしまうほど、相手に勝ちたかったという
負けず嫌いにも程がある原動力が働いていた、というのが興奮材料。
命を張ったレースでのケガは途轍もないが、そこに惹かれて見ている
ファンからすれば、総てを含めて致し方ないといったところなのか。
ハント役のクリスは色男に扮し、5000人を相手にした?と噂される
プレイボーイぶりを如何なく発揮、魅力的な人物像を作りだしている。
本人は45歳で急逝したが、死の数時間前に3回目のプロポーズに成功、
喜びの最中で心筋梗塞で倒れたそうだ。実に彼らしい!何という人生。
そしてラウダ役のダニエルは監督たっての希望もあり、もう文句なし!
ラウダ本人から2週間特訓?された独特のアクセントも素晴らしかった。
(だから絶対に字幕版をお薦めします)
奥さん二人、周囲のキャストにも申し分なし。
過酷な世界で闘う二人の男のドラマというだけでなく、それを支える
メンバーがどれほど大変か(私は絶対レーサーの妻にはなりたくない)、
かのゴクミを尊敬申し上げたくなる、女性陣にも必修となるドラマ。
(ハント。ジェームス・ハント。ってのがいい。アンタはボンドかい?^^;)
トップの場所に立つ者にしか見えない景色が映し出される作品
本作のハイライトシーンとなる日本で初めてのF1世界選手権は、1976年10月24日に富士スピードウェイで開催されました。
24日の決勝は夜半から激しい雨が降り続き、コース各所に水溜りや川ができるほどの豪雨に見舞われ、レース中止も噂される中で強行されたのです。御殿場名物の霧で視界も悪化していました。
そうしたなかでのスタートシーン。スローモーションで切り取られれた映像は、まるでレースカーにシャワーを浴びせるかのような豪雨と霧を切り裂くように、各車が火花を散らしながら発進したのでした。このレースで年間王者の決着がつく、ふたりのトップレーサーの激しいライバル心にふさわしい緊迫感ある発進風景。けれどもハワード監督は、それを敢えて、真逆に静かで圧倒的な映像美に切り取ったのです。思わず全身から鳥肌がたち、映画を見る至福に包まれた表現方法でした。
本作のメインは、F1における1976年の世界王者決定に至る、激しいライバルレーサー同士の命を削るバトルを描いた作品。その栄光とリスクを秤に掛けた命がけの勝負のシーンは、まるで当時のレースの実況を見ているかのような臨場感に包まれていました。
まず目に飛び込んでくるのは、圧倒的なレースシーンの大迫力。30台のカメラを駆使して描かれるレースシーンは、どんなF1中継よりも刺激的。その分、命を落とす危険と隣り合わせているレーサーの恐怖感もまざまざに伝わってきます。
そんな危険もものとしない、今どき珍しいほどアナクロな“男の世界”を描く作品です。前途したように、そのストレートな美しさは、実話ベースの物語を神話の領域にまで高めてくれたと行っても過言ではないでしょう。
劇中でも、何度もF1レーサーの死亡率の高さが伝えられます。25人のレーサーのうち毎年2名も死んでいるというから、ストーリーテーラーを努める主人公ニキ・ラウダが自嘲気味に、こんな危険な職業を選択するのは、よほどの馬鹿か変人だというのも頷けます。でも危険だからこそ、手に入れがたいものだからこそ、あとさき顧みずプライドをかけて、ラウダを執拗に追いかけ、トップを取りに行ったジェームス・ハントの意固地な気持ちも良く伝わってくるのです。何と言っても、彼は毎年あと一歩のところで、年間王者に大手をかけながらも、ラウダに持っていかれてしまっていたのでした。何事にも派手好きで目立ちたちがりやなハントだけに、どうしてもラウダの立っている場所に己が立たずにいられないという感情がひしひし伝わってきます。
そんなハントの思いを込めて、レースシーンでは極限まで加速する車のエンジン音が爆発し、早いカット割りでレース中のレーサーの心象を表現していきます。そこに映し出されたものは、単にレース映像を切り貼りしたという代物ではなく、トップの場所に立つ者にしか見えない景色と敗れた者が噛みしめる憧憬とが交差する、まさに“プライド”そのものが、存在感をもって表現されていたのでした。
それにしても、ラウダとハントのふたりの天才ドライバーは、水と油というより、コインの両面のような表裏一体の存在と言えるでしょう。性格的にもその走りはコンピューターと云われた、緻密で頭脳派のラウダに比べて、ハントは自由奔放。私生活でも、独りの女性を愛し、家庭を大切にしたラウダに比べて、プレイボーイだったハント。そんなふたりが、レース後に鉢合わせでもしたら大変。ハントはラウダをネズミと蔑み、ラウダはハントのプレイボーイぶりを「人気者」といって揶揄して応戦。見ているとちょっと容姿でラウダにはコンプレックスがあったのだと思います。そんなコンプレックスが、彼をF1チャンピオンに押し上げていく原動力になったのではないでしょうか。
逆に、ハントはモテすぎ!アイコンタクトだけで、知り合ったばかりの看護師やアテンダントと速攻のメイクラブになってしまうので、余計なところに精力使い過ぎていたのですね(^^ゞ
レースコンデションに対してもふたりの考え方は、対極的。通常のコンデションでも事故率が2割あることから、ラウダは2割を越す天候リスクは負わないと、76年ドイツGPの開催強行に反対。しかしラウダを追い越すためなら死も厭わないとするハントは、目の前のレースしか頭に浮かばない一発屋でした。
トップを張るラウダも以前は、命知らずの走りで、いまの地位を掴んだのでしたが、愛する人と結婚したとき、「幸福」が「自分の敵」になってしまったのでした。その気持ちよくわかるな。
さんな真逆な性格のライバル同士は、敵愾心ばかりで憎むあっていたのかというと、違っていたのですね。例えば、ハントがドイツGPの開催強行を主張した結果、ラウダが重大事故に巻き込まれて、入院。退院後の記者会見で、醜くなったラウダの顔のことをあげつらって質問した記者を、ハントはボコボコに殴ってしまうのです。
また、ラウダもラストシーン近くで、ハントに、おまえの存在をバネにして怪我を乗り越えることができた。おまえの存在は、憎くも感じたこともあったが、今では神さまが使わしてくれた存在だと信じていると告白するのです。続けてナレーションでラウダは、ハントを唯一の友人だったと言い切ります。
きっとハワード監督は、ホントはラストで互いの友情を確認し合うシーンを描きたくて、しのぎを切るレースシーンを延々と撮り続けたのではないでしょうか。互いにプライドの高さゆえの対立が、お互いの力量を認め合ったとき生まれる友情への変異。そんな男の熱さを感じさせるための2時間だったような気がします。
持つべきは、よきライバルなんですね。おっと、隣で寝ている試写会同行者の女子!そんな男の熱さを分かってくれるのかしらん(^^ゞ
ちなみに最後のレースシーンは、1976年シーズンの最終戦であり、ドライバーズチャンピオン決定戦でした。ラウダは、3ヶ月前に開催された第10戦ドイツGPで瀕死の重症を負いながら復帰し、2年連続王者を目指してポイントランキング首位(68点)に立っていた。対するハントはドイツGP以降4勝を挙げ3点差(65点)まで詰め寄ったのです。
史実では、ラウダは危険すぎるとわずか3週でリタイア。レースカーから降りるとき、ラウダは奥さんにアイコンタクトするのですが、どんな台詞よりもそのアイコンタクトが、「幸福が自分の敵」だと思ってしまったラウダ夫妻の気持ちを表していたと感じられました。
ラウダがリタイアとした後のハントの走りは、まさに神かがりもの。勝利への執念が伝わってくる渾身の映像にぜひ注目ください。完全燃焼したハントは、このレースの2年後に引退してタレントへ転身してしまうのも納得の激しさでした。
それにしてもダニエル・ブリュールの本人そっくりなネズミチックな風貌。そして、筋肉むきむきで女性ファンを虜にしてしまいそうなクリス・ヘムズワースのなりきりぶりは、両者ともあっぱれ。ラウダとハントの当時の写真をみれば、両者の役作りの高い完成度にビックリすることでしょう。
サントラも『天使と悪魔』を彷彿されてグッドでした。
裏切らない作品。
先行上映、一番乗りで鑑賞。
プライドと友情。サブタイトル通りの内容でした。ライバルであり心の何処かで繋がっている友でもある。こういう絆的な関係を持てている友が私にはいるだろうか?って考えてしまいました。お互い自分の本心でぶつかれる相手ってなかなかいない。相手の行動が気になりながらも自分を貫ける2人は本当に強いし尊敬できる。
さすがにアイルトンセナは知ってたけど、F1もF2とかF3とかあるのも知らなかった私でもレースシーンではのめり込んでしまうほどの迫力。F1とか興味ないし…。って方にもホントにオススメ。
早く観に行ってよかった
自分はF1好きで、今も中継をずっと観ています。とは言っても、87年のフジ中継開始以降に好きになったので、ある意味伝説の様に伝え聞く逸話の部分が題材。
鑑賞前にあまり情報を知らないままだったので、再現ドラマなのか?ドキュメントなのか?も知らずに観た。
以前作られた「アイルトン・セナ」の映画は当時の映像を元に作られたドキュメント。内容もセナ目線で政治的駆け引きの面を強く押し出した感じだったので、自分の中でもそれに近い感じなのか?という予想だったが。
しかしこの作品はラウダ対ハントの人間的な争いも細かく描かれ、とても引き込まれた。
そしてレースシーンも圧巻。映像のひとつひとつが、これ当時の中継映像なのか?新たに撮ったのか?と解らないくらいリアル。
詳しくF1を観ている人なら小さな違いを見つけられるのかもしれないが、是非DVDで細かく観てみたい。
作品はドキュメントに近い再現ドラマになっていたんじゃないだろうか。再現ドラマって表現だと貧祖に感じるが、イイ意味で。
あと気になった点をふたつ。
・吹替版で何度も使われた「阿呆」という言葉が何か、耳障り悪かった。関西人だからかな。
・PG12だと知って、事故とかそんなシーンで?って思ったら・・・そういう事か。(笑)
とにかく、いい作品だった!
終盤サイコー!
最初は好きになれない2人のレーサーだったが、
事故後は互いの生存証明がクローズアップされて共感度が急激に上がる。
F1の歴史を丁寧に描き出しながら人間性を交互に掘り下げる構成。
闘志に火を付けあって前を向き続ける友情を清々しく見せつけ、
生き抜いた感が半端ないニキ・ラウダとジェームス・ハントがカッコいい。
人がいるから人は前を向けるんだと伝える人間ドラマが力強くて感涙した!
レースの映像と音が特に良かったです。
非常に良かったです。
今まで観たレース映画の中で一番好きな作品かもしれません。
主役であるニキ・ラウダとジェームス・ハント。
この二人の確執と信頼関係にグッときました。
ニキ・ラウダは冷静沈着。メカに強く、真面目な性格。
対するジェームス・ハントは破天荒。5,000人と寝たと言われる性豪である一方、レース前に緊張で嘔吐するメンタルの持ち主。
水と油の二人はF3から衝突を繰り返し、互いをライバル視する。
両者が長年の関係性の中で相手の色に染まらない。
互いが自らの信じた道とやり方を徹頭徹尾貫き通す。
貫き通すが故に衝突して確執を生む。
でも、相手が信念を曲げないことに対して絶大な信頼を置いている。
中盤までは両者の『プライド』が表に出てきていましたが、終盤に出てくる『友情』部分。
あからさまなアノ場面を「やり過ぎ」と嫌悪感を抱く方がいてもおかしくはありませんが、私はグッときました。
もうね、「漢」の映画でしたよ。
レースの映像と音も良かった。
走行シーンの迫力、エンジン始動時の腹に響くようなエンジンの音!!
劇場でただただ圧倒されました。
この映像と音を浴びにいくためだけに劇場に足を運ぶ価値有りです。
車に興味が薄い私がこれだけアガッたので、好きな方には更に発見があるはず。
兎にも角にも劇場で観るしかない本作。
後からショボい画面や音響施設で観て評価を出すような下らないマネだけはしないでいただきたい。
2/7より全国公開。
IMAXで上映する場合は改めて観に行きたいと思っています。
オススメです。
RUSH ネズミ男と絶倫野郎
なんというか凄まじい映画でした。
先行上映で観て、最近また二回目も観ました。フォーミュラカーの迫力と二人の男のせめぎ合いにちょっとシビれています。
六輪“たいれる”車が走ってたF1インジャパンでこんなことが起こってたなんて知る由もありませんでした。
絶倫野郎ハントはカッコいいんですが、何よりニキ・ラウダ氏の精神的絶倫さに敬服してしまいます。
ブルーレイ買うわ。
伝説の’76F1インジャパン富士が甦る
1976年のF1シーズンを舞台にした映画をロンハワードが撮ると聞いてからもの凄い期待をしていた。何故ならあの年は日本で初めてのF1、富士でのF1インジャパンが開催されたからだ。
当時は今のように全戦がテレビ放映されるわけでも無く、TBSで月一度程度ダイジェスト番組が放映される程度だった。そんな時代、F1が日本に来るというのは黒船来航のような衝撃があった。
劇場でも「F1グランプリ栄光の男たち」などのF1ドキュメンタリー作品が公開されて男子達は富士を心待ちにしていた。
当日は日本のテレビで初のF1生中継、私もテレビの前に齧り付いていた。土砂降りの富士スピードウェイ。開催が協議され、予定よりも1時間遅れてレースがスタートした。
しかしチャンピオンシップトップのラウダがわずか2周ででピットに戻り、マシンを降りてしまった。その時何が起こったのか分からなかったが、この映画を観て初めてその時の彼の心の葛藤を知ることが出来た。
レースは終盤夕刻が迫るなか雨も上がり、頻繁に順位が入れ替わっていく。今のような計測システムの無い時代、正確な順位が分からない。解説も混乱していたと思う。
レースが終わった後もすぐに結果が出ずに、ハントのワールドチャンピオンに決定したのはしばらくしてからだった。
初めてF1をリアルタイムで観たという満足感か、レースの内容が今ひとつ分からなくても興奮した。
翌日のクラスの男子の話題はF1が独占していた。私は当時鈴鹿の隣町に住んでいて何度も鈴鹿には行ったが、それでも私にとってF1というと富士なのだ。その位あのレースは印象的だった。
それがこの作品では見事に再現されている。あの時の記憶が完全に甦って大きな感動を呼び起こしてくれた。個人の思い入れを抜きにしても本作は「グランプリ」「栄光のル・マン」と並ぶ映画史上最高レース映画になった思う。
まだ安全性など軽視され、F1では毎年のようにドライバーが死んいた危険な時代、F1ドライバーは世界で一番危険な職業と呼ばれていた。当時のドライバーの破天荒な生活、チーム運営など興味深いエピソードがいくつも出てくる。
この作品の感動は女性には中々理解出来ないかも知れない。命をかけてレースを戦う、これは男の物語だからだ。
全201件中、161~180件目を表示