鑑定士と顔のない依頼人のレビュー・感想・評価
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欲のある鑑定士と依頼人。
もしもこの依頼人が絶世のブスだったり(ゴメンなさい)、
あるいは屈強な肉厚男だったり(ホントすいません)、
まぁそういう部類だったら、こんなことには…という、
巧く描いてはいるけど、話としては大変ありがちなお話。
鑑定士にしてオークショニアの彼には、
隠し部屋に溜めた美女だらけの肖像画コレクションがある。
冒頭のこの行で、あーコイツはきっとやっちまうぞ。と、
私はすぐに思ってしまったけれど、普通はどうなんだろう。
タイトルの「顔のない」というところがミソ。
最後まで依頼人は姿を見せないかと思うと、そうではなく
後半からは頻繁に彼の生活に入り込んでくる。彼が愛し、
彼が認め、彼が許したのなら、それはコレクションと同じ。
しかし肖像画は動かないのに、人間は動く(爆)
精神病で部屋から出られない彼女が彼の徒労で変化する。
そして、生身の恋愛を知らない老鑑定士ならではの、
坂道を転げ落ちていく恐ろしい破滅に向けた助走が始まる。
確かに宣伝通りの面白さで、複雑に絡み合う?(でもないか)
登場人物達のラストでの収束は見事だ。
ただ奇想天外な話というのではないため、疑って観ていた
場合はその前に展開が読めてしまう。もう一度観たくなる
ためのカラクリを、おそらくは序盤から散りばめてあるので
そこを拾いたくなるというのは確かにあったけど。。。
終始、懸命なJ・ラッシュが大熱演。彼ならではの役どころ。
彼の恋愛相談に乗るJ・スタージェスもいい味を出している。
老人の恋愛にドキドキ?しながらも、この場面は何の為に?
と思いながら観進めていくと、ネタバレのあとが面白いかも。
立場違えど、オタク系の若者(生身のオンナを知らない)にも
通じるところがあるかな。2Dか3Dかっていう。
(観終えて思うのは、やはりカネかという事実。欲望の根源)
50歳以上の男性必見
精神力が強靭で自分で判断し選択してきた男の強さが判ります。
あんな美女が主人公の初老の男と一緒に住む展開に疑問を持ちつつ、同年の男の夢に納得している自分がいましたが、終盤背景が明らかになり反転しても、納得している自分がいます。
自分の理想の女を夢見て、30年掛けて女性画を収集した彼の行動は驚嘆に値し、彼の女性への執着も明らかにされます。ですが、この収集が単に執着と言えるのか疑問であり、どのような男も幾つになっても理想の女を追い求めているのではないかと思います。
が、果たして巷の男に全て当てはまるのでしょうか。ただ単に彼の知識が、そうのような行動に走らせただけとはならないでしょう。
ラストは幾つになっても男は純だと私は解釈しません。
強い男だけが純でいられるとの一線がそこにはあると判断しました。
誰からも束縛されず、プロとして自由に生きられる男だけが持つ純でしょう。条件として第三者が認め対価を払われる男でなければなりません。
事実が判明した後からラスト、彼の精神の復活まで道のりを言葉を一切排した描写が彼の強さです。
何年かかるか判りませんが、彼の理想の女性が現れるまで諦めず日課として淡々と実行し、推理して行くのでしょう。
50歳以上でこれを観て自分の人生を顧みても、鏡には弱い自分しか移りません。
選択を逃避した男には出来ない行動原理で貫かれています。
素敵なミステリー・ラブストーリーそして・・・
正月の3日 それも朝の9時40分の上映時間だというのに 多くの人で賑わってました。
多くは話せませんが生涯孤独な老いた一流の鑑定士に依頼をしてくる女性 しかし彼女は姿を現さない
次第に彼は姿を現さない彼女に心 惹かれていき
ミステリーにラブストーリーに そして・・・
ラストは賛否両論あるでしょうが、私はあのラスト
好きですね
鑑定士を演じるジェフリー・ラッシュが素晴らしい。
この作品を観る決め手はなったのは 彼が出演しているから。
英国王のスピーチで 王様のどもりを直す 先生の役が素晴らしかったら
「パイレーツ・オブ・カリビアン」では 船長を演じていたとは
びっくりです!知りませんでした!観ていたのに 全く気づきませんでした。
今回も彼は 見事な演技をみせて くれました。
パンフレット(700円)にはネタバレが書いてあって
観た後に読んでくださいと 但し書きが書いてあります。
観終わった後に読むとなかなか いいです。
最近 こういう 最後まで書いてあるパンフレットがありますが
これからも ネタバレパンフレットは 観てから もう一度
読むときに とても参考になるので 大歓迎です。
満足度高い映画
こんな結末なんて…
夢と愛
この話はやはりオチをどう捉えるかで評価が分かれるところですね。
私としては、観終えた直後は後味の良い感じはしませんでしたが、後から本編に散りばめられた伏線を思い起こしたり考察したりするのが楽しめたので良しとしよう、と言ったところでしょうか。
私がオチを観てから特に違和感を感じたのは屋敷の調度品です。
一流の鑑定士であるヴァージルに鑑定を依頼する以上、それがいい加減なものである筈がありません。
あれだけの品を、一体誰がいつ揃えたのでしょうか?
普通に考えてビリーなのでしょう。
長年ヴァージルの相棒であった彼ならば、それなりのものを仕入れられるでしょう。
ですが、あれだけ夥しい数の家具や調度品を揃えた資金や時間はどうなのでしょうか?
ビリーの仕業であれば、オークションでの裏の仕事の分け前の殆どを注ぎ込んだのでしょうね。
長い時間をかけてコツコツと揃えたものなのでしょう。
とするならば、それは大層な執念の成し得る業としか言いようがありません。
その動機は何か?
ヴァージルの所蔵品の強奪とも考えられますが、それにしては迂遠で無駄が多いですね。
思うに、ヴァージルから愛を奪うのが最大の目的だったのでしょう。
ビリーはヴァージルに画家としての夢を断たれた、少なくとも本人はそう思っている。
だからヴァージルから愛を奪ったのだ。
しかもご丁寧にわざわざ彼に愛を与えてから奪うという念の入れようだ。
これが本当に正しいかどうかはわかりません。
ですが、こんなことを考えさせる余韻こそが、この作品最大の魅力なのでしょうね。
中高年、あこがれの恋愛
この映画の予告編を観たはずなのに、どんでん返しがあることを忘れていた。
おかげで、初老の鑑定士と広場恐怖症の女性のラブストーリーに没頭できた。
著名な鑑定士ヴァージル(ジェフリー・ラッシュ)は奇妙とも言える依頼を受ける。あるヴィラに出向くのだが、依頼人の女性は姿を見せない。だんだん興味を惹かれていくヴァージルは仕事仲間のロバート(ジム・スタージェス)に相談しながら彼女の心を開かせようとする。
ヴァージルが暴漢に襲われ倒れているところへクレア(シルビア・ホークス)がついに外に出て駆け寄るシーンは感動的であった。
ジュゼッペ・トルナトーレの企みは、競売人としての仕事を終えたヴァージルの身にふりかかる。
絵画に贋作があるように、愛にも偽りのものがある。
そのことをトルナトーレは見せたのだ。
ラブストーリーに没頭していた身としては、ヴァージルほどではないにしろ、その喪失感は相当のものであった。
ヴァージルとロバートの関係、ビリー(ドナルド・サザーランド)との関係、そのスタートが見えないのは、ややずるいところではあるが、見事にだまされた。
もう一度観たら、まったく違う景色が見えるのだろうか。
やはりハッピーエンド!?
鑑定士と顔のない依頼人
落ちがあまりにも俗っぽくて…
名匠ジュゼッペ・トルナトーレの重厚で洗練された映像、それを盛り上げるエンニオ・モリコーネの音楽。
ジェフリー・ラッシュ演じる一癖も二癖もありそうな潔癖性の鑑定士、彼を取り囲むミステリアスな人々。
冒頭から先の読めぬ展開にワクワクドキドキしながら観ていましたが…
落ちがあまりにも俗っぽく、それまでのインテリジェンスな雰囲気が良かっただけに残念!
ただ、それでも星★4つ付けたくなるほど雰囲気は良かった‼︎
圧倒されました
久々に圧倒された作品です。
主人公バージルの緊張感あふれる進行と徐々に明らかになる顔のない依頼者との遭遇。圧巻は、エンディング一歩手前のコレクター全てがロボットによって破壊されたところ。エンディングでは、彼女を待ちながら時計カフェの中をクローズダウンするのが何とも悲しくさせます。
そう来たか~。冷静に考えると、定番のサスペンスだった。
姿を見せようとしない女性の依頼人からの美術品鑑定依頼。当初は、姿を見せようとしない依頼人に反発を覚えていた鑑定士のオールドマンだったが、ある時、依頼人の姿を隠れ見て、その美しさに引かれていってしまう・・・。
互いに時には非常に失礼な態度を示し反発し合いながらも、なぜだか、鑑定を降りようとしないヴァージル・オールドマン。気に入らなければ、降りれば良いと思うんですが、最後に明らかになりますが、そこに至るまでは様々な“罠“が仕掛けられているんですよねぇ。しかも、時間もかかるし、規模も大規模な“罠”。いやぁ、『お見事!』としか、言いようがありません。
作品中、謎の美女の館の向かいのカフェが何度も出てきて、「何かの伏線?」と思ったのですが、その通りでした。って言うか、ああ言う描き方は伏線以外の何ものでもないですよね。
作品中のヴァージル・オールドマンの秘密のコレクションは、スゴいです。《ジャンヌ・サマリーの肖像》とか、世界の有名絵画がズラリ・・・。って言うか、ここにこれらの作品があるということは、世界の美術館にある作品は、どう言う位置づけなんでしょうね?(謎)
いやぁ、一級のミステリーです。「そうくるか」と唸らされました。
超一級のミステリー。超一級の哀切。
いやぁキツイっすねぇ。
トルナトーレ御大の作品にキツイって表現もどうかと思うんですけど。いや、ちょっと。本当、これはねえ。いや、キツイっす。
あの、こう、映画でも小説でも、物語への感度が高い人、感受性が強い人はかなり精神がヤラれちゃうんじゃないでしょうかね。数日間、心がドヨンと沈んでしまうかもしれない。
トルナトーレの過去作で悲劇映画の代表格と云えば「マレーナ」があるでしょ?あれなんかも相当にキッツイ内容でしたけど、あのキツさってほら、もう用意されてたというか、舞台設定が既に悲劇の片道切符的な物語だったから、何ていうか、ある程度の覚悟って出来たんですけども、今回はそういう判断材料が殆どないというか、全くの未知数でして。
まさしくミステリーなんですよね。
今このレビュー書きながらも、ミステリーの完成度っていうか、怖さっていうか、複線配置の妙味というか、舌を巻いてるのと同時に、実のところ、自分も現在かなり心がドヨンと沈んじゃってて。
こうして思い返してみても、主人公の悲劇はどっから始まってたのか?どっから破綻してたのか?とか、ずっと考えてるんですけどね。
実はもう冒頭、多分、最初からなんですよね、破綻してるのって。だから余計にキツイ。
まあ、何を以ってして破綻してると云えるのかは、観た人によるんでしょうけども。真相を見抜けなかったからなのか。はたまた、その人生が既に…なのか。
いやあ、もうね、うん。本当ね、終盤は観てるのキツかったです。
第一級の切なさですよ。
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