鑑定士と顔のない依頼人のレビュー・感想・評価
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夢と愛
この話はやはりオチをどう捉えるかで評価が分かれるところですね。
私としては、観終えた直後は後味の良い感じはしませんでしたが、後から本編に散りばめられた伏線を思い起こしたり考察したりするのが楽しめたので良しとしよう、と言ったところでしょうか。
私がオチを観てから特に違和感を感じたのは屋敷の調度品です。
一流の鑑定士であるヴァージルに鑑定を依頼する以上、それがいい加減なものである筈がありません。
あれだけの品を、一体誰がいつ揃えたのでしょうか?
普通に考えてビリーなのでしょう。
長年ヴァージルの相棒であった彼ならば、それなりのものを仕入れられるでしょう。
ですが、あれだけ夥しい数の家具や調度品を揃えた資金や時間はどうなのでしょうか?
ビリーの仕業であれば、オークションでの裏の仕事の分け前の殆どを注ぎ込んだのでしょうね。
長い時間をかけてコツコツと揃えたものなのでしょう。
とするならば、それは大層な執念の成し得る業としか言いようがありません。
その動機は何か?
ヴァージルの所蔵品の強奪とも考えられますが、それにしては迂遠で無駄が多いですね。
思うに、ヴァージルから愛を奪うのが最大の目的だったのでしょう。
ビリーはヴァージルに画家としての夢を断たれた、少なくとも本人はそう思っている。
だからヴァージルから愛を奪ったのだ。
しかもご丁寧にわざわざ彼に愛を与えてから奪うという念の入れようだ。
これが本当に正しいかどうかはわかりません。
ですが、こんなことを考えさせる余韻こそが、この作品最大の魅力なのでしょうね。
中高年、あこがれの恋愛
この映画の予告編を観たはずなのに、どんでん返しがあることを忘れていた。
おかげで、初老の鑑定士と広場恐怖症の女性のラブストーリーに没頭できた。
著名な鑑定士ヴァージル(ジェフリー・ラッシュ)は奇妙とも言える依頼を受ける。あるヴィラに出向くのだが、依頼人の女性は姿を見せない。だんだん興味を惹かれていくヴァージルは仕事仲間のロバート(ジム・スタージェス)に相談しながら彼女の心を開かせようとする。
ヴァージルが暴漢に襲われ倒れているところへクレア(シルビア・ホークス)がついに外に出て駆け寄るシーンは感動的であった。
ジュゼッペ・トルナトーレの企みは、競売人としての仕事を終えたヴァージルの身にふりかかる。
絵画に贋作があるように、愛にも偽りのものがある。
そのことをトルナトーレは見せたのだ。
ラブストーリーに没頭していた身としては、ヴァージルほどではないにしろ、その喪失感は相当のものであった。
ヴァージルとロバートの関係、ビリー(ドナルド・サザーランド)との関係、そのスタートが見えないのは、ややずるいところではあるが、見事にだまされた。
もう一度観たら、まったく違う景色が見えるのだろうか。
やはりハッピーエンド!?
鑑定士と顔のない依頼人
落ちがあまりにも俗っぽくて…
名匠ジュゼッペ・トルナトーレの重厚で洗練された映像、それを盛り上げるエンニオ・モリコーネの音楽。
ジェフリー・ラッシュ演じる一癖も二癖もありそうな潔癖性の鑑定士、彼を取り囲むミステリアスな人々。
冒頭から先の読めぬ展開にワクワクドキドキしながら観ていましたが…
落ちがあまりにも俗っぽく、それまでのインテリジェンスな雰囲気が良かっただけに残念!
ただ、それでも星★4つ付けたくなるほど雰囲気は良かった‼︎
圧倒されました
久々に圧倒された作品です。
主人公バージルの緊張感あふれる進行と徐々に明らかになる顔のない依頼者との遭遇。圧巻は、エンディング一歩手前のコレクター全てがロボットによって破壊されたところ。エンディングでは、彼女を待ちながら時計カフェの中をクローズダウンするのが何とも悲しくさせます。
そう来たか~。冷静に考えると、定番のサスペンスだった。
姿を見せようとしない女性の依頼人からの美術品鑑定依頼。当初は、姿を見せようとしない依頼人に反発を覚えていた鑑定士のオールドマンだったが、ある時、依頼人の姿を隠れ見て、その美しさに引かれていってしまう・・・。
互いに時には非常に失礼な態度を示し反発し合いながらも、なぜだか、鑑定を降りようとしないヴァージル・オールドマン。気に入らなければ、降りれば良いと思うんですが、最後に明らかになりますが、そこに至るまでは様々な“罠“が仕掛けられているんですよねぇ。しかも、時間もかかるし、規模も大規模な“罠”。いやぁ、『お見事!』としか、言いようがありません。
作品中、謎の美女の館の向かいのカフェが何度も出てきて、「何かの伏線?」と思ったのですが、その通りでした。って言うか、ああ言う描き方は伏線以外の何ものでもないですよね。
作品中のヴァージル・オールドマンの秘密のコレクションは、スゴいです。《ジャンヌ・サマリーの肖像》とか、世界の有名絵画がズラリ・・・。って言うか、ここにこれらの作品があるということは、世界の美術館にある作品は、どう言う位置づけなんでしょうね?(謎)
いやぁ、一級のミステリーです。「そうくるか」と唸らされました。
超一級のミステリー。超一級の哀切。
いやぁキツイっすねぇ。
トルナトーレ御大の作品にキツイって表現もどうかと思うんですけど。いや、ちょっと。本当、これはねえ。いや、キツイっす。
あの、こう、映画でも小説でも、物語への感度が高い人、感受性が強い人はかなり精神がヤラれちゃうんじゃないでしょうかね。数日間、心がドヨンと沈んでしまうかもしれない。
トルナトーレの過去作で悲劇映画の代表格と云えば「マレーナ」があるでしょ?あれなんかも相当にキッツイ内容でしたけど、あのキツさってほら、もう用意されてたというか、舞台設定が既に悲劇の片道切符的な物語だったから、何ていうか、ある程度の覚悟って出来たんですけども、今回はそういう判断材料が殆どないというか、全くの未知数でして。
まさしくミステリーなんですよね。
今このレビュー書きながらも、ミステリーの完成度っていうか、怖さっていうか、複線配置の妙味というか、舌を巻いてるのと同時に、実のところ、自分も現在かなり心がドヨンと沈んじゃってて。
こうして思い返してみても、主人公の悲劇はどっから始まってたのか?どっから破綻してたのか?とか、ずっと考えてるんですけどね。
実はもう冒頭、多分、最初からなんですよね、破綻してるのって。だから余計にキツイ。
まあ、何を以ってして破綻してると云えるのかは、観た人によるんでしょうけども。真相を見抜けなかったからなのか。はたまた、その人生が既に…なのか。
いやあ、もうね、うん。本当ね、終盤は観てるのキツかったです。
第一級の切なさですよ。
鑑定士は贋作を見抜けたのか?
映像は綺麗だし、音楽も美しい、要所で映るヨーロッパの景色も美術品も素敵だ。
ミステリーといえど愛に満ちた話になっていくのかと思いきや、「えっ、そりゃないよ(泣)」と思わず口に出したくなってしまう展開へ。
膝から落ちるような、良い意味でポカーン(゚д゚)
ああ~愛は人を耄碌させてしまうのかねえ。
そして今作でジェフリーラッシュのラブシーンも見れるとは思わなかったよ
終盤で一気に伏線が解消されていくのは、気持ちよかったな。
一体、いつからどこまでが関係者なのかよ!って感じで。
いただいた映画のフライヤーには、「バッドエンドかハッピーエンドか?」という一文があったけど、私はバッドエンドにしか思えなかった。
結局、鑑定士ヴァージルの眼は本物なのか?
それによって解釈も変わるんだろうな
ヴァージル・オールドマン…、童貞・ジジイって名前なのか。
あの絵画の部屋を見て最初に思ったのは、 「これ最後に全部なくなるんだろうな。」だった。
「女の愛は偽物。絵は全部盗まれる。」と思わせといて、 深遠な何か思いもつかない大どんでん返しがくるはずと思って見てたら、 そのまんまでガッカリした。
黒幕は女じゃなくてビリーだろうけど。
あとロバートの動機が分からない。お金もらってやっただけかな。なんか伏線見逃してる?
元々悪くない関係の人騙して、店畳んで失踪する位の理由がよくわからん。
二次元からの解放ってビターなハッピーエンド・救いと解釈もできるけど
正直それは後から頭で考えた事で、最初に感じた感想は後味悪りぃ…だった。
ビリーの動機は復讐で、救ってあげたいと思って誰かがしたんじゃなくて、 無理やり放り出されただけだし。
ビリーだって詐欺の共犯者として結構な報酬受け取ってたろうし、復讐ねぇ…って感じ。
老人ホームとナイト&ディの時系列は見てる人に解釈を委ねる為に敢えてぼかしてると思う。 (私には老人ホームが後としか感じられませんが。)
偽物の中にも真実が…という台詞が印象的にもちいられるけど、彼女の気持ちは偽物だったけど、自分の中に芽生えた愛は本物だった、と言う風に解釈する事にしましたが、本物だからこそ後味悪い。
登場人物は魅力的で美術や映像も美しいし、何より恋に溺れる老人の演技がすばらしい。
すばらしいからこの愛が本物であって欲しいと感情移入しながら見たが故の後味の悪さなわけですが、
みもふたもない言い方したら童貞拗らせた老人が長年の知人に逆恨みされて結婚詐欺にあう話。
主人公も自分の立場利用して不当な競売してたり、なんの罪もない善人って訳じゃないけど。
30代童貞の魔法使いアニオタが引きこもり美少女に出会って成長する話と思いきや実は騙されてて、プレミアついてるフィギュア売られちゃって、数少ない友達にも裏切られて鬱になる話として置き換えたら…。
日本でその設定で映画作ったら、女の子は途中から童貞男を本当に好きになりはじめて改心、男も二次元卒業、人生に向きあうようになるハッピーエンドの成長物になりそうだけど。
あとこれもみもふたもないけど、現実あんなに仕事で成功する人は、不器用で変人でもモテるか、それなりにコミュ力あってそつなく恋愛とすると思う。リアルを追及する話じゃないので蛇足ですが。
見逃してる伏線がありそうなので、誰か一覧表作ってくれないかな。もう一回見に行く気はない。
ジジイ
詐欺の片棒担がせてたパートナーのこともどこか一段低くみてたしな。相棒って感じじゃなくて駒みたいな扱いしてたし。元はと言えばこの爺さんが悪いのでございますから。因果応報。
あと、やはり歳くって女にのぼせ上がるもんじゃない。
パーツに気を取られていると、こっちもオールドマンの二の舞いに
鑑定士オールドマンに自ら鑑定依頼をしておきながら、顔を見せないばかりかヒステリックな対応でオールドマンを怒らせる女性クレア。
怒りを覚えながらもクレアに惹かれていくオールドマンをジェフリー・ラッシュが微妙なリズムの変化で、ひたひたと盛り上がる感情を出す。派手さはないが見事だ。
オークションでの流れるような進行も本職のようだ。
物語は、正体を明かさないクレアと、彼女の屋敷で断片的に見つかるモノとが平行して、ラスト近くまで謎めいた展開で進む。屋敷を見つめるバーの女も意味深で、話がいったいどこに向かおうとしているのか見当がつかない。
終盤になって、やっと何が起ころうとしているのか察しがつくのだが、そのときには、カラクリのすべてまでを察知できたとしても、もうオールドマンに感情移入してしまっていて逃れられない。
メロディアスで情景を盛り上げるスコアで馴染みがあるエンニオ・モリコーネ。本作ではオールドマンの心の動きに合わせた控えめなサウンドで意表をつく。ジェフリー・ラッシュの演技と同じく地味だが奥深い味わいがある。
最後まで気が抜けない❗️
重厚なミステリー仕立てで、大人の恋愛あり、ネジ仕掛けのからくり人形などちょっとファンタジックなテイストもありで、非常に楽しめました✨
映画内の小道具である美術品の美しさが、スクリーンを華やかに彩っているのも見もの。
主演のジェフリー・ラッシュの繊細な演技も印象深く、競売シーンのセリフ回しの声の良さは最高です。
映画館に観に行かれる価値は、十分にあると思います❗️
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