ブリーダー(1999)のレビュー・感想・評価
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母に捧ぐ.....
マッツ・ミケルセン演じるレニーがビデオ店店長に映画のことしか話がないのかと言われて、まるで母親みたいだともらす。このレニーは監督自身を描いたんじゃないかな。映画のラストに母に捧ぐというテロップからして。
本作はそんな映画オタクの監督による映画愛に溢れた作品だと思った。冒頭のレニーが客に世界中の監督のビデオが取り揃えてあるとして監督名を並べ立てるシーン。中には本多猪四郎の名前も。さすがこの監督はわかってらっしゃる。「ゴジラ」の本多監督は海外では黒澤明と並ぶ名監督だけど日本ではあまりそのことは知られてないんだよね。ここのシーンは嬉しかったな。
物語は青春群像劇のようなものかと見ていたら徐々に不穏な雰囲気に。意外にも後半は絵的にはギャング映画の様な展開になる。まるで彼らが普段話したり見たりしていたバイオレンスアクションものやスプラッターホラーの様な世界に自分たちの世界が様変わりしていくのが描かれてゆく。
レニーは男同士で映画見るときはイケメンの格好をするのに女性を誘うときはオタクの格好、彼にしたらオタク服が正装なのかな。それでせっかく女性を映画に誘っても怖気づいてすっぽかすダメダメぶり。これも全部監督の体験談なのかも。
ただこの後の仲間同士の醜い争いが予想を超える展開を見せる。そもそもこんな危ない奴らとオタクのレニーがどうして仲間になったんだか。彼らをつないでいたのはあの映画鑑賞の集まりだけだったのかも。レオは最後まで何の仕事をしてるかもわからない人間、でも同棲してる彼女にひどい仕打ちをしてその兄のヤクザっぽいルイスにリンチされて、なんでこんなことに、と叫んでるけど彼女の腹を蹴り流産させた自分の自業自得とも思わず、仕返しにルイスを射殺して自殺。
これ、デンマークの話だよね。日本がうらやむほど民主主義の成熟した北欧の国。一時期世界一暮らしやすいとまで言われたデンマーク。まあ、確かにどこの国でもこういう人間はいるだろうけど。
やたらとアラブ人差別が目立ったな。移民政策も厳しいながらも上手くやってるはずだけど。アラブ人を敵視するのはハリウッド映画を揶揄してるのかな。一時期のハリウッド映画はなんでもかんでも悪役をアラブ人にしてたからね。今となってはほんと罪深いプロパガンダだよね。
他のレビュアーさんも言われてた通りオープニングが登場人物の人柄を表すかのようにBGMを使い分けててすごくイカしてた。あとやはり「北欧の至宝」と言われるマッツがオタク青年演じてるというだけで半分はもつ作品だったな。不器用なナンパシーンは笑えたな。
プッシャーシリーズとメンツが一緒なので、観てて不思議な気持ちになっ...
ブルース・リー対スティーブン・セガール
オープニングからすごく惹きつけられた。主要登場人物が登場して名前が紹介されるのだが、それぞれの性格を表すかのようにBGMが違う。『The Good, the Bad and the Ugly』みたいな紹介をスタイリッシュにした雰囲気といってもいいだろうか、とにかく面白い。しかも5人の主要人物名がレニー、レオ、ルイーズ、ルイ、レアと全て“L”で始まってるのです。
そんなこんなでビデオショップ店員マッツ・ミケルセンが有名監督名をズラズラと挙げていくシーンからの小噺風展開で始まり、彼の純情ぶり、映画オタクぶりが存分に発揮される。レニー、レオ、ルイ+店長による木曜日の映画鑑賞会もいい。ちょっと参加したい。喋ったら怒られるけどね。
ミケルセンが主役なわけじゃなく、義兄弟であるレオとルイの確執部分がやがて残酷な形で発展していくのがメイン。妻の妊娠による行き場のない怒りが爆発してしまったのだ。さらにルイの店で目撃したアラブ人の発砲事件も引き金だったのだろう・・・誰でも銃を持ってるわけじゃない!映画なんだからと言う静かなミケルセンが何とも言えない。
コペンハーゲンの町外れってのはこんなに人がいないんですかね。どちらの店も閑散としてるし、経済が悪そうなイメージ。暴力が暴力を生む。暴力の連鎖を日常でもあり得そうなテーマが心に沁みる。見終わるまでペットの方のブリーダーかと思ってたけど、breeder。血を出す人なのね・・・あちゃー!
とっちらかった青春群像劇(男はクソ)
ウブマッツ
街の片隅の内輪揉め
初期PUNKの1stアルバム
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