「宇宙家族の壮大な親子喧嘩」ジュピター ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
宇宙家族の壮大な親子喧嘩
ウォシャウスキー姉弟が前作『クラウド アトラス』で扱ったテーマ的な要素、掻い摘むと「輪廻転生」とか「クローン」とか「運命」、あと「倫理」的なものですかね。を、更に一歩踏み込んで、斜め上から攻めた感じの映画です。
ああ、そういう風に説明しちゃうと何だか難しくてすっごく高尚な物語に感じるかもしれませんね。けど、実際はそんなこともなくて。なんというか、一言で表現するならば「稀代なる珍妙SF」。勿論、姉弟は至って真面目にね、この作品に取り組んだんでしょうけども。結構な厨二病ワンダーランドに仕上がっておるんですな、これ。
主軸は「宇宙一家の壮大な親子喧嘩」で、それがドンと鎮座しておりまして、その周囲をヒーロー(チャニング・テイタム)とヒロイン(ミラ・クニス)が周回してる感じで。
「ヒロインがピンチだ!俺ことヒーローが助けに行くぜ!」のパターンが延々と、延々と続きます。マジで息つく暇なくヒロインがピンチになります。そこにあらゆる厨二垂涎のキーワードが飛び交い(「DNAは輪廻転生する」みたいなハイパー理論が飛び出てきたり)、まさしく映画内はワンダーランド。
ぁいえ、まるで自分がこの映画を小馬鹿にしてるっぽくなってますが、別段DISってるんじゃないんですよ。本当に。DISりじゃないんです。まんまを言ってるんです。
で、まあ、そのワンダーランドに乗れない人、呆れた人はとことんつまんない映画になってるんでしょう。なったんでしょうね。ネット界隈じゃボロクソに言われたりしてるので。
んー、だから、人によって鑑賞パターンは数あるんですけども、なんというかね、しかし話は割とどうでもいいじゃんか、的なスタンスでしたね、自分は。
注目すべきは圧倒的なヴィジュアル革命、息をのむ美しさ、みたいな部分。眼前に映し出される美麗なシーン、シークエンスを楽しめばいいじゃんか、と。
本当に嫌いな人は坊主憎けりゃ袈裟までも状態なんでしょうけど、もう自分は映像を楽しみましたので。
つまりは、そういう感じの映画です。はい。